【第6回】入試本番までのラストスパート! 高校受験を突破するための7つのポイント

目次



こんにちは。元進学塾講師の谷津綱一(やつこういち)です。

いよいよ高校入試へのカウントダウンが始まりました。最終回は入試までへのチェックポイントをまとめました。

1.冬休み明けぐらいまで

(1) 融合問題への取り組みは十分か

多くの入試問題は単元や分野を横断した融合問題です。このことからたった1つの単元の抜けが大きな失点につながりかねません。

市販の問題集や塾のテキストを使いながらこれらに慣れていきましょう。その単元の抜けがわかったら、一刻も早く単元別へ戻り強化しましょう。このように融合問題と単元学習を行ったり来たりしながら進んでいきます。

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(2) 記述問題対策はしているか

記述練習も重要です。記述問題には大きな配点が振られていることもあります。

この対策は、数をこなすことよりも作法を身につける方が近道です。数学の証明問題や解法欄の書き方もそうですが、書いたものの正誤や部分点を自分で判断するのは難しいですから、学校や塾の先生に目を通してもらい過不足を指摘してもらうとよいでしょう。

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(3) 過去問で形式チェック

もちろん相手(入試問題)を知ることを忘れずに。この時期は時間をきっちり測り、解く順序などの技巧的な工夫も意識しましょう。

過去問の活用法の詳細については、こちらの関連記事を参照ください。

(4) 学習スケジュールの管理

もうだいぶ学力がついてきているので、これまで手を焼いていた設問にも見通しが立つようになっているはずです。

そこで逆にアレもコレもと手を出しやすいので、どの教科をどれぐらいの時間勉強するかという優先順位をつけましょう。この時期に大事なのは分量ではなく時間の使い方です。

2.1月の学習

(5) 習慣付けてほしいこと

① 基盤をなす重要語句の再チェック

特に理科や社会は語句を丸暗記するのではなく、説明できるように。

② 知識分野は頭に入っているか

これは主に英語や国語についてです。読めない/書けない単語や漢字は一つでも減らしましょう。

③ 計算練習をする

これはスピードアップと耐久力をつけるための訓練です。テキパキとこなすための自身のリズムを作ります。

(6) 学力のアップ

(5)と並行して、学力をさらにアップさせるための学習も必要です。

もし塾に通っているならば、塾のテキストの苦手教科や苦手分野の克服に立ち向かうことです。いよいよここからが本当に学力が伸びていきます。それも急激に伸びます。

塾に通っていないならば、市販の問題集を購入するとよいでしょう。まとめ的なものもいいですし、今ならまだ一から鍛え上げる骨のある参考書でもいいです。

3.入試直前のポイント

(7) 学習上の注意点は

重要項目を確認するだけ、要点をただノートに写すだけ…、という作業中心の勉強になると、考える力や解く力が低下してしまいます。

実際の入試同様に考え抜く訓練が大事です。どんなに学習時間がとれなくても作業だけに浸らずに「考える」ことを入試前日まで続けましょう。

入試は初見の問題がほとんどなので、 冬休み・1月に取り組んできた問題集や過去問を解き直してそれに打ち勝つだけの応用力を得ましょう。

さてここからは、過去にいただいた保護者からの質問を紹介します。

いつ頃から朝型に切り替えますか?

私は冬休み中から朝型にして、それを入試まで継続するよう勧めています。ただ無理をさせない範囲でやることが大事です。

体調面が気になります

おっしゃる通りで体調面を第一に考えてください。焦る気持ちもわかりますが睡眠は十分に。

入試が近づき気持ちのコントロールが難しくなったようです

何をしても手につかず上滑りのようになってしまうタイプや、逆にまったく意識しないで普段通りに入試を迎えられるタイプと様々な生徒がいます。

私の経験から、高校受験に限っては直前の精神状態が入試に影響を与えることは少ないようです。ですのでご家庭はあまり過敏にならない方がいいでしょう。お子様にご家庭であまり言い過ぎると受験から気持ちが逃れてしまいます。

もし不安であれば塾の先生に相談して、お子さんへ一声かけてもらってください。

入試まで1週間を切ってからの勉強は

もちろん重要項目のチェックは怠らず、そして私はこれまで手を付けていなかった問題も少し解くように勧めています。何が出題されてもいいように、穴を減らすという理由からです。

今さらと思われるかもしれませんが、ほんの少しだけ手を拡げましょう。

入試当日の注意点は

実力のすべてを出し切れる受験生ばかりではなく、多かれ少なかれ失敗はつきものです。実力に近い力を入試で発揮するには、失敗をどれだけ最小限に減らせるかにもかかってきます。

一限目の科目がうまくいかなかったことを、残りの科目すべてに引きずって苦い経験をした私の教え子がいます。

一方、二限目の苦手科目をうまく乗り切ったことで、気を良くしてそれ以降も波に乗ることができ合格したケースがあります。気持ちをうまく切り替えられた結果だと思います。

試験当日はこのような気持ちの強さが勝機を生みます。それはここまで頑張ってきたという自信からきます。

試験当日の休み時間はどう過ごせばいいか

間の休み時間をうまくリラックスに充てるのが効果的です。

試験独特の雰囲気に飲み込まれて落ち着けない可能性もあるので、お守り代わりに参考書を持っていくのもいいでしょう。

休み時間は解くことに没頭できて、集中力を高めるにも効果的です。

最後に

よく言われることですが、受験は通過点でしかなく人生のほんの一瞬にすぎません。受験の合否結果が成功と失敗を分けるものではないので、ご家庭はあまり過度に不安に陥らないで見守っていただきたいと思います。

第一志望に受からなかった悔しさを、その後の人生に活かした私の教え子もいます。

受験で得てほしいのは合格という結果なのではなくて、挑戦する気持ちや努力する姿勢です。

皆様の健闘を祈ります。

著者紹介

谷津 綱一


元進学塾数学科講師。進学塾講師時代には最上位クラスを担当し、数多くの生徒を筑駒や開成などの超難関校合格に導いた実績がある。教室長を歴任したのち、教務部長を務める。

主な著書は『高校への数学 入試を勝ち抜く数学ワザ52』『高校への数学 入試を勝ち抜く数学ワザ・ビギナーズ52』(ともに東京出版)。

趣味は和算の研究。2020年より月刊『中学への算数』(東京出版)で「新・江戸の算術に挑戦!」を連載中。著書『親子で楽しむ 和算の図鑑』(技術評論社)では、生活に根差した和算の考え方をわかりやすく解説している。

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