科学への興味と学びが自然と深まる!『おもしろ科学まつり2025』を取材

目次




こんにちは!manavi編集部の安藤です。
みなさん、理科してますか?

秋が深まり、涼しくなってきた11月初旬、今年もmanaviでは『青少年のための科学の祭典 - 2025 おもしろ科学まつり - 和歌山大会』を取材してきました。


おもしろ科学まつり2025 ウェブサイトより
 

『おもしろ科学まつり』とは、理科や数学あるいは科学技術といった分野の実験や工作を一同に集めて来場者に楽しんでもらうイベント「青少年のための科学の祭典」の和歌山地区大会です。

なんと20年以上の歴史があります!
https://www.kagaku-wakayama.com/index.html

(実行委員会公式ウェブサイト)

 

manaviでの紹介も4回目ということで、今年は科学の中でも「生物分野」をテーマに取材を行いました。

本記事では、そんな『2025 おもしろ科学まつり』のブースの様子や、取材を通して感じたことをご紹介いたします。

植物の種類や形に注目!

まずはじめに、植物に関係したブースをご紹介します!

こちらは、和歌山山野草植物研究会のブースでつくることができた、ドングリの標本です。

みなさんは、ドングリには種類があって、いくつかの仲間に分類することをご存知でしょうか?

こちらのブースでは、5種類のドングリの違いが分かる標本や、昔ながらのドングリゴマ・やじろべえを作ることができました。

ドングリは、ちょっとした林や、公園などでも見かける植物です。お子様にとって身近なドングリが綺麗に種類分けされていたり、おもちゃに加工されていたりするのが新鮮だったようで、当日のブースは大盛況でした。

私も子どものころ、夢中になって「ドングリ拾い」をしたことを思い出しました。

今も昔も変わらないドングリの人気ぶりに、何だか嬉しくなりますね。

続いてこちらは和歌山県立向陽高等学校のブースで作った「カエデの種子の模型」です。

カエデの種子は、プロペラのような実に包まれていて、くるくると回転しながら落下します。風に乗って、より遠くに種子を飛ばすためのしくみです。

講師の高校生のお兄さん・お姉さんも皆さん理科好きということでした。

彼らの丁寧なレクチャーもあって、お子様たちは綺麗に回転する模型を作ることができました。

2つのブースの取材で印象的だったのは、「家の近くでもこれと同じドングリを探してみたい!」「もっと長い時間回るドングリゴマを作りたい!」「どうして種が回転するの?」「飛行機みたいに飛ぶ種はある?」など、講師の先生や学生にどんどん話しかけているお子様の姿です。

興味や疑問を持つことは、文部科学省が学習指導要領において小学校理科教育の目標としている「科学的に解決するために必要な資質・能力」になります。

『おもしろ科学まつり』ではお子様が楽しみながら得た体験や知識をきっかけに、新たな興味や疑問が自然に生まれる仕掛けがたくさんありました。講師との距離が近く、交流の敷居が低いのが仕掛けのひとつと言えるでしょう。

学びと交流の機会を提供してくれる『おもしろ科学まつり』は、理科教育の観点からみてもオススメなんです。

ユニークな生物観察。きっかけは?

続いて、小さな生き物についてのブースを紹介します。
取材を行ったのは、和歌山県立海南高等学校科学部のブースです。

お子さんが顕微鏡で観察しているのは何でしょうか?

このブースでは、和歌山県内の海岸で採取された砂を使って標本(プレパラート)を 作り、その中の小さな生き物「有孔虫」を顕微鏡で観察することができました。

有孔虫は水中で見られる原生生物で、石灰質かつ砂粒状の殻をもちます。沖縄土産で知られる「星の砂」の正体は、この有孔虫です。

星の砂のイメージ
手作りのプレパラート

本格的な顕微鏡を扱うのは初めてというお子様も多い中、海南高等学校科学部有孔虫グループの学生さんが、観察の仕方や見える有孔虫について、丁寧に説明されていました。

顕微鏡は、「見慣れないけどいかにも科学っぽい装置」ということで、テンションが上がったお子様も多かったのではないかと思います。

一方で私が気になったのは、生態や形状がユニークな有孔虫をテーマにしている科学部のみなさんのバックグラウンドです。

普段から県内各地の海岸に出向くなどして、有孔虫の採取や標本づくりを行っているそうですが、彼らの研究活動のきっかけとは何なのでしょうか?

きっかけについて伺ったところ、科学部の活動の一環で小学生向けの実験教室を開催した際に、海岸の砂から有孔虫を探し出す顕微鏡観察をテーマにしたのが活動の始まりなのだそうです。

お話を聞いた部員の学生さんの中には「高校生になるまで有孔虫を知らなかった」という方もいました。

その人は、自宅が海に近かったこともあり、海岸で貝を拾うのが小さいころの趣味だったそうです。「色々な貝を集める楽しさを知っていたことで、有孔虫の分布や形状を調べる研究に興味が湧いた」ということでした。

学生さんのお話を聞いていて、小さい頃の経験の大切さを感じました。

おもしろ科学まつり」での学びはもちろんですが、お子様の日常の小さな体験も、思わぬ形で将来の活動のきっかけになるのかもしれませんね。

「動いて」深まる科学

これまでご紹介してきた生物系のブースを振り返ると、種を拾ったり、種子を投げたり、標本を採取・工作・観察したりと、お子様の手や身体を動かす活動が多かったように思います。

他にも「大きなシャボン玉を作ってキャッチしてみる」、「ひたすら磨いて、カラフルでピカピカの泥だんごを作る」といった活動を行っているブースもありました。

手や身体を動かして体験したことは、記憶に残りやすいものです。各ブースからは、楽しい体験を学びにつなげて欲しいという、おもしろ科学まつりのメッセージを感じました。

一方で、身体を動かすことは理科・科学の研究に必要な要素でもあります。特に生物分野の研究では、研究対象の生物やその生息環境を現地で直接観察・採取し、データを収集するフィールドワークによる調査手法が求められることがあります。

「科学」と聞くと、実験室にひたすらこもって行う「インドア」なイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

ですが身の周りの事物・現象をテーマにする「自然科学」においては、このように「アウトドア」な一面もあります。

例えばハイキングや釣りといったアウトドアスポーツで自然に触れる経験も、将来お子様が理系分野で活躍することになったときに活きてくるのかもしれませんね。

まとめ

今回は、和歌山市で開催された『おもしろ科学まつり』の取り組みの一例を紹介させていただきました。

記事では生物分野に着目しましたが、他にも物理、化学、地学、工学など、様々な分野に関連する出展があり、まさに“科学のおまつり ”といえる内容でした。

またどのブースも「動き」のある体験を通して、科学に対する興味や学びが自然と深まる、楽しいイベントでした。

こうしたイベント以外にも、地域の科学館や資料館などへ足を運ぶことで、学校やご家庭ではできない体験があったり、様々な科学知識や社会課題に触れたりできます。

受験研究社が先日リリースした「おでかけプラス+ 」では、「遊んでいたら、自然と学びになっていた」をコンセプトに、大阪市内のおでかけスポットと学びが深まるコンテンツを紹介していますので、活用してみてください。

おでかけプラス+専用ページ

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おもしろ科学まつりは、 毎年開催されていますので、和歌山地区や、その近隣にお住まいの方は、ぜひ足を運んでみてください。

また、青少年のための科学の祭典は例年、全国各地で開催されています。
皆様も、相似形のイベントを探してみてくださいね!