小学生で学ぶ同音異義語!意味まで理解して使い分けられるメリットとは?

語彙力ハ思考力ナノダ!③:同音異義語
小池 陽慈先生

こんにちは。現代文講師の小池です。

第1回は「熟語の組み立て」、第2回は「対義語」というテーマから、小学校での国語学習と、高校での学びや大学受験との深いつながりについて考えてみました。

前回までの記事は以下のリンクからご覧いただけます。

そして、今回も引き続き小学校で学ぶ知識が、後の勉強の支えになるという視点でお話していきます。

今回お話させていただくのは、「同音異義語」についてです。

「同音異義語」は小学校の漢字の書き分けの問題などでしばしば目にすることがあるかと思います。

まずはしっかりと書き分けられることが大切ですが、後の中学校や高校での学習を見据えた時に、「書き分けられる」だけで終わってしまうともったいないのです。

この記事では、「同音異義語」を掘り下げて考えていくことが、後の学習にどんなメリットをもたらしてくれるのかをお伝えできればと考えております。

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熟語としての同音異義語にフォーカス!

それではまず例によって、「同音異義語」の辞書的な定義と、その具体例を確認してみましょう。

発音が同じで意味の異なる語。「せいかく(正確)」と「せいかく(性格)」、「いし(意志)」と「いし(医師)」、「かき(柿)」と「かき(牡蠣)」など。同音語。
小学館『デジタル大辞泉』より

なるほど。例えば、「工場にキカイを設置する」の「キカイ」は「機械」ですが、「絶好のキカイをみすみす逃す」の「キカイ」は「機会」です。

「機械」と「機会」、どちらも同じ音ですが、意味はまったく異なりますよね。こうした語のことを、「同音異義語」と呼ぶわけです。

なお、『デジタル大辞泉』の事例では、「『かき(柿)』と『かき(牡蠣)』」も挙げられていますが、本稿では、前々回と前回同様、「二つ以上の漢字が結びついて一つの言葉になったもの」である「熟語」(『小学3・4年 自由自在 国語』による定義)としての同音異義語に限定して解説させていただきます。それはもちろん、

「熟語」は、〝具体的な記述内容を抽象化・一般化する〟という読解に必須の実践において、最も頼れる語彙知識となる
「語彙力ハ思考力ナノダ!②:類義語/対義語」より

からです。

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まずは同音異義語の「書き分け」にチャレンジ!

ここで簡単なチェックテストです!

テストと聞いて「うぇ~」となってしまう方もいらっしゃるかと思いますが、肩肘張らずに、気楽に取り組んでみてくださいね。

以下の例文中のカタカナを漢字に直しなさい。

①‐A シンシンの作家。
①‐B シンシンともに健康だ。

②‐A 小鳥のタイグン。
②‐B 敵国のタイグン。

③‐A カイシンの作だ。
③‐B カイシンして勉強する。

④‐A 消化キカンの働き。
④‐B 食物がキカンに入る。

⑤‐A 火のヨウジン。
⑤‐B 政府のヨウジン。

どうでしょうか。例文はすべて、『小学3・4年 自由自在 国語』(p.63~67)から選んだものです。

前回も対義語の例を紹介した時、「いやー、難しいですね!」などともらしてしまいましたが、今回もまた、「小学3・4年でこんな使い分けを習うのか!」と、小学国語の高度な内容に、僕もあらためて驚いてしまいました。

では、まずは解答です。

解答

①‐A 新進の作家。
①‐B 心身ともに健康だ。

②‐A 小鳥の大群
②‐B 敵国の大軍

③‐A 会心の作だ。
③‐B 改心して勉強する。

④‐A 消化器官の働き。
④‐B 食物が気管に入る。

⑤‐A 火の用心
⑤‐B 政府の要人

このようになります。

さて、繰り返しますが同音異義語とは、「発音が同じで意味の異なる語」のことです。

つまり、当たり前すぎるほどに当たり前ですが、その使い分けにおいては、「意味」の違いを理解し、意識せねばなりません。

また、そのように「意味」にこだわればこそ、その漢字やで熟語を自らの語彙にすることができるのです。

そうです。

ここ、本当に大切なことなので、声を大にして強調しておきたいと思います。

漢字や熟語の学習の目的は、語彙を増やすことにある! したがって最もこだわらなくてはならないのは、漢字や熟語の"意味"ナノダ!!

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意味を理解して「使い分け」よう!

では、意味に注目して、先ほどの問題を振り返ってみましょう。

例えば、

①‐A 新進の作家。
⇒新進:〈新たに+進む〉➡その分野に新しく登場して活躍すること、活躍する人。
①‐B 心身ともに健康だ。
⇒心身:〈心+身〉➡精神と身体。心と体。

②‐A 小鳥の大群
⇒大群:〈大きな+群れ〉➡動物などがたくさん集まった群れ。
②‐B 敵国の大軍
⇒大軍:〈大きな+軍〉➡兵隊がたくさん集まった軍勢。

③‐A 会心の作だ。
⇒会心:〈心に+出会う〉 ➡ 心に思い浮かべていたものに出会い満足する、気に入る。
③‐B 改心して勉強する。
⇒改心:〈心を+改める〉➡自らの悪を認めて、心を改めること。

④‐A 消化器官の働き。
⇒器官:〈器+官 *両方とも、体の中で特定の働きを有する組織〉➡生物を形成する一つの部分。
④‐B 食物が気管に入る。
⇒気管:〈空気の+管(くだ)〉➡のどの下から気管支へとつながる管。空気の通り道。

⑤‐A 火の用心
⇒用心:〈心を+用いる〉➡良くないことが起こらないように、注意すること。
⑤‐B 政府の要人
⇒要人:〈重要な+人〉➡重要な立場にある人間。

漢字の意味や、第1回で紹介した「熟語の組み立て」などを参照し、個々の熟語の意味の違いを理解することができれば、やっかいな同音異義語もかなり正確に使い分けられることがご理解いただけましたでしょうか?

もう一つだけ例を挙げるなら、「同音異義語」の「異義」ですが、「異」はもちろん〈異なる〉という意味で、そして「義」はここでは〈意味〉という概念を表します。

したがって、〈異義=異なる+意味➡異なった意味〉となるわけです。

対して「異議」はどうでしょうか?

「異」は同じく〈異なる〉でいいのですが、「議」は、〈言=口にする+義=あるべき正しい道〉という組み合わせから成り、すなわち〈あるべき正しい道を口にすること⇨意見〉と理解することができます。

したがって、〈異議=異なる+意見➡反対意見、反論〉となる。

このように、漢字の意味にこだわっていけば、どうして「異義」の「義」には言偏(ごんべん)が付かないのに「異議」の「議」には付くのか、迷うことがなくなるわけですね。

そしてもちろん、双方の語を、しかるべき文脈で正確に使い分けられるようになる。つまり、自らの語彙とすることができる。

語彙を増やすための漢字学習。

同音異義語もまた、そうした観点からの理解と暗記を心がけていきたいですね。

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大学入試の文章読解のサポートに!

おそらく多くの小学生……いや、僕たち大人をも悩ませる同音異義語に、〈三つのタイショウ=対象・対照・対称〉があります。

小学高学年 自由自在 国語』p.53でも、

・左右対称の図形。
・新旧を対照する。
対象となる年齢。

という例文を挙げながら紹介されていますが、それぞれのタイショウの意味を『明鏡国語辞典』は、

【対称】互いに対応してつりあっていること。シンメトリー。

【対照】①二つのものを照らし合わせて比べること。
    ②相違が際立っている二つのものが並ぶこと。コントラスト。

【対象】働きかける目標となるもの。めあて。

と定義しています。このうち「対象」については、すみません、僕の知識では恥ずかしながらうまいこと説明することができないのですが、けれども他の二つに関しては、

対称:〈対=二つで一組を作るもの〉+〈称=はかり(てんびん)⇒つりあう〉
➡互いに対応してつりあっていること。

対照:〈対=二つで一組を作るもの〉+〈照=つき合わせて見くらべる、照らし合わせる〉
➡二つのものを照らし合わせて比べること。
➡相違が際立っている二つのものが並ぶこと。コントラスト。

と理解を深めることができます。例えば上に挙げた『自由自在』の例文で説明するなら、

・左右対称の図形。
 ➡左のモノと右のモノとのペアが、つりあっていること。

・新旧を対照する。
 ➡新しいモノと旧いモノというペアを照らし合わせて比べる。
 ➡照らし合わせて比べる以上、新しいモノと旧いモノというペアの間には、おそらく際立った相違、コントラストがある。


・対象となる年齢。
 ➡そのモノが相手として想定する年齢。

などと解釈することができるのですね。

では最後に、こういった同音異義語の意味への着目が、小学校以降の学びでどう活きてくるのかを実例を示しながら考えてみたいと思います。

『大学入試 ステップアップ/現代文(基礎)』p.4から、成城大学で出題された文章の一節を引用してみましょう。なお、    は、小池が塗りつぶした箇所となります。

自分と他人とは違う。自分のことはよくわかるが、他人のことはよくわからない。いま自分が何を考え、何を感じているか、それは手を取るようによくわかる。しかし、いま他人が何を考え、何を感じているか、これは手に取るようにはわからない。この自他の非対称性は、誰もが知っている事実である。(成城大-改) 永井均『〈私〉の存在の比類なさ』講談社学術文庫による

この文章では、「自分のことはよくわかるが、他人のことはよくわからない」ということが話題として提示され、それについて筆者は、「非対称」的であると述べています。

「非対称」であるということ。すなわち、〈互いに対応してつりあっているとは言えない状態〉であるということ。

要するに筆者は、〈自己理解のレベルと他者理解のレベルは、前者が圧倒的に高く、後者は圧倒的に低く、その意味でつりあいがとれていない〉ということを問題意識として持っていると理解されるわけです。

〈対象・対照・対称〉という、小学高学年で学ぶ同音異義語の知識が、まさに重要な語彙として、大学受験の現代文読解のキーワードとなっているのですね!

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「同音異義語」の意味理解が読解の際の「体力」に!

それでは、今回はここまでとなります。

小学生の皆さんにとって「大学入試なんて遠いもの」と思いがちですが、山頂を目指す登山と同じでまず第一歩が重要です。

高校生になったら各教科の勉強は非常に難しくなります。

それに備えるためにも、まず小学校で熟語を学ぶ時に、答えることを目的とするのではなく、その「意味」や「仕組み」について考えたという経験が後々役に立つと思って、じっくりと考えたり調べたりすることに取り組んでみてください。

最初に体力(語彙力)をしっかりつけておくと、高度な問題を後々解く時に楽になります。

次回は、「語彙力ハ思考力ナノダ!④『国語辞典の使い方/漢字辞典の使い方』」というテーマを扱います。

小学生のみならず、中学生・高校生、そして大学生や大人になっても有効な勉強法をご紹介しますので、ぜひともご期待ください! 

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著者紹介

小池 陽慈


1975年生まれ。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。早稲田大学大学院教育学研究科国語教育専攻修士課程中退。現在、大学受験予備校河合塾および河合塾マナビスに現代文講師として出講し、テキスト作成の全国プロジェクトも担当している。また、国語専科塾博耕房でも教鞭をとる。

単著に『無敵の現代文記述攻略メソッド』(かんき出版)『大学入学共通テスト国語[現代文]予想問題集』(KADOKAWA)

共著に、紅野謙介編『どうする? どうなる? これからの「国語」教育』(幻戯書房)。その他、執筆記事多数。


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