【第1回】カフェ経営もこなすPR・広報のプロ、鈴江恵子先生へインタビュー

広報・PRのお仕事に迫っていきましょう。

こんにちは。manavi編集部です。

新しい賢者の先生のご紹介をいたします。

今回からお話を伺うのは、『SUZU PR COMPANY』代表の鈴江恵子先生です。

鈴江先生は、老舗企業で広報担当を務めたのちに独立し、 『SUZU PR COMPANY』を起ち上げ、様々な企業から依頼を受ける「広報・PRのプロフェッショナル」でいらっしゃいます。

『SUZU PR COMPANY』のサイトは⇨こちらから

先生がPRプロデュースされた商品・サービスは上記のサイトからご覧になれますが、こちらでも少しご紹介させていただきます。

『BURDIGALA』リニューアルオープン・新メニュー発表の様子:鈴江先生提供

『堀内果実園』新店オープンの様子:鈴江先生提供

美味しそうなスイーツ、おしゃれできれいな店舗の写真が印象的ですよね!食品に限らず、雑貨・インテリアや、イベントのPRなども数多く手がけていらっしゃいます。「食べてみたい!」「行ってみたい!」という印象を消費者に与えるには、どうすればよいのでしょうか。

また「ケーキ屋・パン屋さん」といった、「食」に関わる職業は、お子様の「将来の夢ランキング」上位の常連です。鈴江先生は、子どもたちのあこがれのお仕事に広報・PRの立場から携わっている、とも言えそうですね。

今回からの連載を通して、鈴江先生が 「広報・PR」のプロとして商品・お店の価値をターゲットにきちんと伝えていくために、どのような視点・視野を持ち、活動されているのか、また、どのような学びを通してスキルを磨いてこられたのか、お聞きしていきたいと思います。

それでは鈴江先生、よろしくお願いいたします。

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鈴江先生の2つのお仕事

様々な商品・サービスをおしゃれにPRされている鈴江先生。まずは先生のお仕事の内容について、概要をお聞きしていきましょう。

鈴江先⽣の職業・お仕事はどんなことをされているのですか?

現在の職業は⼤きくわけると2つあります。「PR」「カフェ」と、⼀⾒全く別もののようですが裏では繋がっています。

ひとつは「広報/PRサポート業務」。

前職の中川政七商店で広報業務を担当していたことから学んだノウハウやネットワークを活かして独⽴し、現在ではニットメーカーやメガネのフレームメーカー、アロマやコスメ、ベーカリーやカフェなど幅広い業種のクライアントのPRをサポートしています。

『ビッグチョイス』新商品企画提案・試食会の様子:鈴江先生提供

案件によりますが基本の動きとしては、企業の活動から情報発信すべき内容を精査し、プレスリリースという資料を作成し、様々な⼿法でメディアやその他の対象にアプローチしていきます。

また内容により内覧会や発表会などを開催し、世の中への露出を促進します。

SNS が重視される最近ではインフルエンサーを対象にすることも増えてきています。

プレスリリース記事:鈴江先生提供

もうひとつは「カフェ運営」。

⾃分⾃⾝のライフワークでもあった全国のカフェ巡りでインプットしたことやこれまでの経験を活かし、 PRとは別会社として⽴ち上げました。

コロナ禍であることも考慮した上で、完全キャッシュレス化や電話⾮設置など様々な点で効率化し、ちょっとよそゆきの朝ごはんを提供するカフェ『プルミエメ』をプロデュースし、運営しています。

『プルミエメ』のムイエットプレート:鈴江先生提供

この『プルミエメ』では、PRをサポートしているお好み焼の老舗『ぼてぢゅう』さんにアドバイスをいただいた鉄板調理と、PRしたパンを一緒に提供しています。

また、PRする新作の眼鏡をスタッフが着⽤したり、PR商材をショーケースに並べたりもします。

⽴ち上げ時は毎⽇、現在では半分ほどの頻度で⾃ら店に⽴ってホール・接客業務を進んで⾏い、お客様やスタッフとコミュニケーションを取りながら、プロデュースの答え合わせをしつつ、改善点や次の戦略を考えています。

お店で提供している『考えた人すごいわ』の食パン:鈴江先生提供

今後は、クライアントが開発中のスイーツの新商品をカフェのメニューに先⾏して取り⼊れお客様に提供する他、メディア発表会やインフルエンサーへの試⾷会などを⾏い、カフェを通した情報発信やフィードバックを⾏う予定です。

PRしたものをご自身のカフェでも提供し、情報収集されているのですね!

先生がかつて在籍されていた「中川政七商店」は、手積み手織りの麻織物を中心に、様々な雑貨も取り扱う企業です。そこでの広報業務が現在のお仕事のノウハウとして活きているとのことでした。

PRとは別に、カフェ経営のお仕事をされているのにも驚きました。PRの業務で関わった食品やインテリアをカフェで採用・提供されていることからも、先生のお話にあった「裏ではつながっている」というのが実感できますね。

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「食」に関するお仕事が多いワケ

SUZU PR COMPANY 』のwebサイトから先生のお仕事の内容を拝見すると、食べ物や食に関する話題が多いと感じます。

何かこだわりや理由があるのか、伺ってみましょう。

特に「⾷」を中⼼にお仕事をされている理由はありますか?

カフェ運営に関しては「好きが⾼じて」とも⾔えますね。ただ現状ではPR業務に関しては営業活動はこれまで⼀度も⾏っていませんし、意図して「⾷」を中⼼にしているわけではないのですが…

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⼦どもの頃から美味しいものが⼤好きで⾃他共に認める⾷いしん坊であることや、フランスでの⾷体験、国内外の⾷材、料理やお菓⼦づくりが好きで周りに振る舞ったりしていたことなどから、⾃然と「⾷」が好きな⼈脈が形成されているようです。

また、 Instagramのプライベートアカウントで⽇々「⾷」関連の情報を発信していることもいつの間にか⾃分ブランディングとなり、多少発信⼒もついてきたことなどから、⾷のクライアントが増えてきているように感じています。


「⾷」に関わる商材やサービスは対象となる⼈が多く、様々なシーンでみんなを笑顔にしてくれ、⼈とのコミュニケーションを潤滑にしてくれるツールにもなり得ます。

“好き”から仕事と関連付けられないかということは常に頭の⽚隅にあり、このたび物件探しにもご縁がありPRと紐づけたカフェのオープンに⾄りました。

プライベートと仕事の境界線のないスタイルは⾃分にフィットしているので、この先もずっとなんらかの形で「⾷」に関わっていきたいと考えています。



SNSでのコミュニケーションがお仕事に発展することもあるんですね。

Instagramが話題に挙がりましたが、今は様々な手段で、個人での情報発信ができるようになりました。

「YouTuber」が顕著な例だと思いますが、個人の投稿・発信がいつの間にか世間に広く認知され、「一緒にコラボしませんか」「宣伝活動のパートナーになってくれませんか」といった仕事の案件になることも珍しくありません。

鈴江先生のお仕事の根底に “ 「食」好き ” から始まった経験やコミュニティがあるように、個人の“好き”を追求することに価値のある時代になったとも言えそうです。

お子様自身が持った興味や、打ち込んだことを広げ、自立していくサポートを心がけたいですよね。

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広く知ってもらうために!重要な3つの要素

鈴江先生ご自身の “好き”がお仕事の原動力になっていることをお聞きしてきました。では、それをより不特定多数の人に「PR」するには、どのような工夫が必要になるのでしょうか。

初回のインタビュー最後の質問は、先生のお仕事での「心がけ」についてお聞きしましょう。

広く⼈に知ってもらう、という点で⼼がけていることはどんなことですか?

広く知らせる(報せる)=広報とは“対象に正しく理解してもらい、信頼関係を築き、ファンになってもらうためのコミュニケーション活動”です。

かつてはその対象のほとんどはメディアで、メディアのフィルターを通して知らせる流れが⼀般的なサイクルでした。

近年ではソーシャルメディアの普及など社会の⼤きな変化により、メディアリレーションだけではなく広範囲にわたってターゲットに直接アプローチすることも可能となり、チャンスは格段に広がっています。

よく混同されがちな広告と⽐較しても、広報はより信頼度が⾼く、広告予算のない中⼩企業や個⼈レベルでも活⽤でき、活⽤しないと勿体ない⼿段でもあります。

広く知ってもらうためには、できるだけ多くの受け⼿側にどれだけ⾃分ごととして捉えてもらえるかが⼤切になり、常に以下の3つの要素について意識します。

広く⼈に知ってもらうための要素

① 新規性

→○○初!・○○No.1・○○唯一など、他と差別化できる新しいこと

例:パン屋らしからぬ名前・食パンのみ販売・スーパーの食パンと格段に違う美味しさ

② 関心ごと

→旬ワード・時事ネタ・限定・季節ものなど、世の中の関心ごと

例:食パンブーム・コロナ禍おうちごはんやおうちカフェが注目・テイクアウト需要

③ 影響力

→ 関係者の数・持続性・拡散力など、社会的な影響力があること

例:多くの家庭で毎朝⾷卓に登場・⽇本⼈なら誰もが⼝にしている・つい⼈に話したくなる

※例は⾼級⾷パン専⾨店『考えた⼈すごいわ』での⼀例です

全てが揃うとマスメディアの注⽬も集まり露出も次々と連鎖していきます。

まずはその商材の業界を知り、⾃分が興味を持った上で、この要素と照らし合わせながらみなさんに“いかにファンになってもらうか”を⼼がけています。

お客さんと信頼関係を築くには、業界の勉強やアプローチの研究も重要なのですね!

3つの要素を揃えることをポイントに挙げていただきました。知ってもらい、ファンになってもらうには、新しいだけでは上手くいかず、流行や話題に乗っかるだけでも足りない…「多角的な視点で考える」ことや「それらをかけ合わせる」ことも重要と言えそうです。

また、「商材の業界を知る」ことにも触れていらっしゃいました。多角的な視点を得るためにもリサーチは欠かさない、といったところでしょうか。このあたりの「勉強方法」についても、次回以降のインタビューでお聞きしていきたいと思います。

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学びのヒント

鈴江先生、ありがとうございました。

今回のインタビューから、以下のような学びのヒントが得られたと思います。

ヒント

「自分が好きなもの」の良さや特徴を他の人にも伝えてみよう

趣味や好きなことに関して、大人がビックリするほどの情報量がお子様の口から出てくる…といった経験はないでしょうか。記事を書いている私は、 小中学生の子どもたちに勉強を教えていた際、ゲーム「Minecraft」の話題になったとたん、よく知ってるなぁと思えるような豆知識や攻略法の話が、湯水のように沸いてきて収拾に困ったのを思い出します。

興味を持ったことや好きなことは、誰に言われるでもなく、自然と色々調べたり、考えてしまうものです。さらにその次のステップとして「上手に伝える活動」にも取り組んでいただければ、と思います。

昨今の教育現場でも、分かりやすくレポートにまとめる、大勢の前で発表する、といった学んだことを伝える活動が重要視されています。

お子様の興味に対して「どこが好きなのか教えて?」「他のものとどう違うの?」といった、ご家庭の簡単な会話からでも、「 伝え方の工夫をする」ことや、「知らない人の立場で考える」 ことの良い機会になるのではないでしょうか。

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manaviおすすめの本

今回の記事に関連したおすすめの書籍をご紹介させていただきます。

関連書籍

小学 クイズと絵地図で 世界の国々 基礎丸わかり

★この本では,世界・州(アジア州・ヨーロッパ州…)・各国の順に,世界の国々に関するいろいろな事がらを理解し,学んでいくことができます。

★「世界を知ろう!」では,大陸や海に関することや気候について学習します。また,食べ物・住まい・衣装・宗教などもまとめました。

★各国の学習では,イラスト満載の大きな絵地図で,観光地や特産品などがひと目でわかるようにしました。また,各国に関するクイズや知っておきたい歴史や日本とのかかわりをまとめたコラムもあります。

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イラストやクイズが豊富で、楽しく読み進めつつ、様々な国の「好き」のきっかけとなればと、おすすめさせていただきました。 「世界のおいしい食べ物」の特集もあります。

日本と世界を対比して考えたり、統計データやグラフを示して話したり…社会科の知識は「伝える活動」の引き出しを増やしてくれると思います。お子様が気軽に手に取って読めるような、ご家庭の本棚の1冊にしていただけたら幸いです。

今回の賢者

鈴江 恵子

高知県生まれ。
フランスに5年間滞在後、中川政七商店で社内広報を努める。
2015年に独立しSUZU PR COMPANYを設立。幅広い分野のクライアントのPRをサポートしながら、2021年にPRと食を絡めた”ちょっとよそゆきの朝ごはん”を提供するカフェ「プルミエメ」をオープン。これまでにないPRの手法を模索している。

鈴江先生の詳しい情報はこちらから

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