いよいよ夏休みが始まりました。
中学1年生にとっては,中学校での初めての夏休み。
小学校の夏休みとは違って,部活動などで学校に行く機会も多く,さらにはたっぷりと宿題が出されて,思っていたよりも忙しいと感じるお子様も多いのではないかと思います。
話は変わりますが,1学期には多くの学校で5月に5教科の中間テスト,7月に9教科の期末テストが実施されました。
中学校生活で初の定期テストということで,思ったよりも得点を取れたケースもあれば,小学校のテストとのギャップに驚き,点数が伸び悩んだケースもあるでしょう。
そして,夏休み明けには「実力テスト」が実施される学校もあり,10月には早速2回目の中間テストが多くの学校で実施されます。
少しこの記事を書いている私自身の話をさせていただきますと,私自身は1学期の中間テストで,学年で300人中10番台の順位を取り,「思ったよりも得点を取れたぞ!」と浮足立った状態で夏休みを迎えました。(当時は2学期制だったので期末テストは9月でした。)
しかし,ひたすら部活と友人との遊びに時間を費やした夏休みを過ごし,いざ休暇明けの「実力テスト」に臨むと,順位が50番台まで下がっていたのです。
その時は、過去に戻って夏休み前の自分に「勉強もやっておけよ!」と声をかけたい気持ちになり,両親にタイムマシンを所望しましたが,もちろん時間は戻せません。
今回の記事では,そんな中学1年生の夏休みに勉強と部活や遊びのバランスを上手く取れなかった自分の経験も踏まえつつ,夏休みの勉強のアドバイスをさせていただければと思います。
また,この連載シリーズでは恒例ですが,各教科の学習のポイントについては,『中学 自由自在』シリーズの担当編集者たちにもインタビューしていきます。
ぜひ,夏休みの学習計画を考えていくうえでもご一読いただけますと幸いです。
先ほど,この記事を書いている私自身の勉強が上手くいかなかったエピソードをお話させていただきましたが,一方で中学1年生の夏休みは私にとってすごく充実していました。
大好きな部活動に打ち込む時間はとても有意義でしたし,家族や友人と普段は行けない場所に出かけ,かけがえのない経験や思い出を得ることができました。
勉強ももちろん大切ですが,夏休みは自分の「やりたいこと」や「好きなこと」に思いっきり時間を割けるまたとないチャンスです。
習い事や部活動に打ち込む,自分の興味のあるものをじっくりと調べてみる,好きな作家の本を一気読みしてみる,植物や昆虫を育ててみる…なんでもOKだと思います。
保護者の皆さんはお子様が勉強にあまり時間を充てていないと不安になるかもしれませんが,「やりたいこと」「好きなこと」に前向きに取り組んでいるのであれば,まずはその姿勢を認め,応援してあげてください。
一方で,夏休みには,学校から大量の宿題が出されます。これは「やらなければならないこと」に分類されますね。
こうした記事では,「夏休みの宿題は計画的に!」とお伝えするのがセオリーだとは思うのですが,私自身がそう言われながらも,ギリギリに終わらせるタイプでしたので,ここではあえて言いません。
その代わりにお伝えしたいのは,宿題はゆっくり時間をかけても良いので,丁寧に取り組んで欲しいということです。
夏休みの宿題は基本的に「最低限これくらいはやって欲しい」という基準で先生が分量を決めているケースが多いので,宿題として出されているドリルにじっくり取り組むだけでも,十分1学期の範囲の復習ができます。
ですので,夏休みの家庭学習について考えるときは,ハードルを上げすぎず,まずは「宿題を丁寧に終わらせる」ことをスタートラインに据えてみましょう。
夏休みの終わりが迫ると,つい「答えを写せば…。」と魔が差すこともあるかもしれませんが,グッとこらえ,時間をかけてでも自分の力で取り組むことを大切にするよう伝えてあげてください。
「やりたいこと」「好きなこと」に取り組みつつ,宿題もこなしつつ,その上で「+α」の勉強にも取り組んでみようとやる気に満ちたお子様もたくさんいることと思います。
もし夏期講習などで塾通いをさせているのであれば,そこでの授業や宿題にきちんと取り組むことを最優先にしましょう。ここに市販の参考書や問題集も,となると負荷が大きくなりすぎることがあるので注意が必要です。
一方で,中学1年生の夏休みの段階で通塾している生徒は50%ほどというデータもありますから,塾には通わずに家庭学習で「+α」の勉強に取り組むというケースも少なくないでしょう。
ただ,自分で計画を立てて1学期の内容を総復習したり,2学期の内容を先取り学習したりするのは,少しハードルが高いと感じるお子様も多いです。
そこで,ぜひとも夏休みの家庭学習における1つの指標にしていただきたいのが,1学期に取り組んだ「中間テスト」「期末テスト」といった定期テストです。
この記事の冒頭で,筆者である私が夏休み明けの「実力テスト」で成績を大きく落としてしまったお話をしましたが、その原因の1つは各教科の定期テストで露呈していた苦手をそのまま放置していたことでした。
特に数学や英語では,中間テストでしていたのと同じような間違いを夏休み明けの「実力テスト」でもしていました。
これは逆に言うと,1学期の「苦手」を夏休みのうちに克服しておくことができれば,夏休み明けの学習やテストにポジティブな効果が表れる可能性が高いということです。
中学校の定期テストは内申点に関わることもあり,ついついその点数にばかり目が行ってしまいますが,お子様の苦手を可視化してくれるツールであるという視点も持っておいてください。
その上で,1学期の定期テストで間違ったところ,苦手に感じられたところを夏休みにピンポイントで復習していくのが,夏休みの「+α」の家庭学習としては短い時間でも効果が出やすいアプローチでしょう。
では,ここからは上記のポイントを踏まえた上で,各教科のおすすめの学習の仕方などを『中学 自由自在』シリーズの編集担当者にインタビューしていきます。
まずは,「数学」で夏休みに取り組んでおきたいことは何でしょうか?
1学期の単元に苦手なところがないか,定期テストの結果等を参考にしながら振り返っておきましょう。
これまでの記事でも答えてきたように「数学」は積み重ねの教科です。
特に中学1年生の1学期に学習する「正負の数」や「文字式」は,中学で初めて習う単元であり,その後の中学数学の土台にもなる非常に重要な単元です。
こうした基礎的な単元で苦手意識や理解不足を放置してしまうと,後の単元もドミノ式に理解できないということになりかねないので,夏休みの機会にしっかりと弱点を補強しておきたいですね。
確かに「正負の数」や「文字式」で躓くと,続く方程式や比例・反比例の理解度にも影響が出てしまいそうですね。
「英語」では,夏休みにどんな勉強をしておくのが良いですか?
「英語」も同様に1学期に学習するのは,基本的な英文の作り方(語順など),be動詞,一般動詞など,その後の英語学習の土台になる重要なものばかりです。
1学期の定期テストを振り返ってみて,英文の構造そのもので躓いていると思うのであれば,『中学 自由自在 英語』で扱っている「意味順」のページをしっかりと読み込んでおくと良いと思います。
be動詞や一般動詞といった英文法は,教科書の本文では理解したつもりだったけど…教科書外の英文になると途端に分からなくなるケースもあります。宿題で出された夏休み用のドリルで自分の躓きが可視化されることもあるでしょう。
教科書本文の場合、その文章がどの文法事項に当てはまるのかを判断するのが難しいものですが,ドリルの場合にはちゃんと表題にテーマや文法事項が書いてくれているので,苦手分野が分かりやすいのです。
そうした苦手が見えてきたら,教科書や『中学 自由自在』のような厚物参考書に立ち返り,しっかりと読み込んでください。
難しいことや発展的なことをやるよりも,まずは基礎ないし土台をしっかりと固める夏休みにするのが良いと思いますよ。
定期テストや夏休みの宿題で見えた自分の躓きや苦手をピンポイントで補うということなら,短い時間でも取り組めそうな気がします!
「社会」はどうでしょうか?
「社会」とおそらく「理科」もですが、暗記事項の多い科目で夏休み後に陥りがちなのが,1学期のテストのときには覚えていたことを2学期になると忘れてしまっているという状況です。
それを防ぐためにも,まずは学校から出された宿題の問題集やドリルをしっかりとこなしてください。
その上で「+α」として,『自由自在』で「ミニ読書」をおすすめします。
『中学 自由自在』には教科書には載っていないような情報やコラム,イラストや写真などが豊富に掲載されていますので,読み物としても非常に楽しめます。
ぜひ,スキマ時間に『自由自在』をパラパラとめくりながら,1学期に習った単元を振り返ってみてください。
「理科」も『自由自在』で「ミニ読書」は非常におすすめです。
いきなり単元の内容を読み込まなくても良いので,まずはコラムのページからでも読んでみてください。理科実験の動画を見てみるのでも構いません。
大切なのは「うわ!面白そうじゃん!」と感じてもらうことです。その好奇心や興味は巡り巡って教科学習へ向かう姿勢にも還元されていきます。
苦手意識が強いお子様には,とにかく興味を持つ,面白さに気づく「きっかけ」がある夏休みの「+α」になると良いですね。
なるほど。「理科」や「社会」については教科学習と気負いすぎるのではなく,「ミニ読書」に取り組んだりしながら,その純粋な面白さに触れるきっかけ作りと捉えてみても良いわけですね。
最後に「国語」はどうでしょうか?
国語の定期テストは教科書に掲載されている文章から出題されることもあり,定期テストを軸に復習というのも少し難しいところがあります。
ですので,多くの学校で宿題として出される「読書感想文」の機会を活かして,自分なりに1つの作品を深く読み込んでみるのも良いかもしれません。
たくさん本を読むとなると,冊数を重ねることがゴールになりがちなので,自分が決めた1冊を熟読することをおすすめします。
『中学 自由自在 国語』には、文章を読み解く上でのテクニックがたくさん掲載されていて,それらは作品を読む上でも役立ちます。
授業で扱われる題材はどうしても先生が解説した解釈や読み方に引っ張られてしまいますが,自分で選んだ読み物や作品であれば,自分なりの読み方で読み進めることができます。
そのプロセスで「読み」の面白さに自発的に気づくことができれば,「+α」としては十分すぎる収穫だと思いますよ。
こうした記事を読むと,つい「+α」で何かしなければと思われるかもしれませんが,当サイトのスタンスとしては,まずは「やりたいこと」や「好きなこと」に思いっきり取り組んで,学校の宿題を丁寧にこなすことを1つの目標にしていただければと考えております。
その上でもし「+α」の勉強に取り組むのであれば,
① 1学期の定期テストで見えた自分の弱点や苦手を重点的に復習する
② 教科の内容に興味を持てたり,学びの面白さに気づけたりするような「スキマ学習」から始めてみる
というように,あまり時間的な負担が大きくならない範囲で取り組んでみるのが良いと思います。
1学期の苦手が2学期以降の学習に直結する「英語」や「数学」では,①のアプローチがかなり有効です。
一方で,「社会」や「理科」,「国語」では②のアプローチが,時間のある夏休みだからこそ有効だと思います。
こうした小さな「+α」が,夏休み以降の学習に大きな恩恵をもたらしてくれるはずですので,無理のない範囲で取り組むようアドバイスしてあげてください。
夏休みを終えたお子様が,いつかの私のように「タイムマシンが欲しい!」と言っていないことを願いつつ,記事を締めくくらせていただきます。
次回は,10月の定期テストの前に,具体的な定期テスト対策に関する記事をアップしようと思います。
こちらもぜひご一読いただけると嬉しいです。
●概要
・『中学 ⾃由⾃在』 国語、社会、数学、理科、英語
・定価:2,900円(+税)
・判型:A5判
・ページ数:本⽂592〜656ページ、解答編(数学)160ページ
・発売予定⽇:2021年2⽉15⽇
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このたび、『自由自在』の中学⽣シリーズを2021年度の新学習指導要領に合わせて全⾯改訂しました!
豊富な写真や図版を使ったオールカラーの構成で、学習の要点をきめ細かく段階を区切って解説しており、理解をサポートします。
また、マンガで始まる導⼊部や、⼊試にも教養としても役⽴つコラムやトピックを織り交ぜ、学習者がひとりでも学びやすく飽きのこない⼯夫を凝らしています。
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書店にてぜひお手に取ってみてくださいね。