【第3回】身近な会話で「分析力」を磨く!広報・マーケティングに活きる力を聞く。

こんにちは。manavi編集部です。

先週に引き続き、『SUZU PR COMPANY』代表の鈴江恵子先生にお話を伺っていきましょう。

前回の記事では、広報のお仕事との出会いや、先生の今を支えている学生時代、社会人になってからの学びについてお話しいただきました。

manaviでも何度か取り上げさせていただいておりますが、近年「課題解決型学習(PBL)」や「産学連携」という取り組みが中等教育以降の教育現場で注目を集めています。

自分たちの地域社会が抱えている問題を解決する商品・サービスの開発設計に携わったり、それらを消費者までどう届けるかを考えたりといった、マーケティングや広報に通じる学びを、高校生・大学生のうちから体験する機会も増えているのです。

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そこで今回は、プロとして現役でご活躍されている鈴江先生へのインタビューを通して、マーケティングや広報で重要になる視点や力とは何か、またそれらをどのように養っていけばよいのかを考えていけたらと思います。

これまでの記事も含め、PRや広報のお仕事への興味のきっかけや、ご家庭での取り組みの参考となれば幸いです。

それでは鈴江先生、よろしくお願いいたします。

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「PR力」ってなんだろう

まずはじめに「広報やマーケティングに必要な力」について、プロフェッショナルの視点でお話ししていただきましょう。

広報・マーケティングに必要な⼒とはどんなものだと思われますか?

私が主に担当している広報に関しては「PR⼒」が⼤切であることをよくお伝えしています。

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「PR⼒」とは、コミュニケーション⼒のほか、情報収集⼒・⽂章⼒・表現⼒・コーデイネート⼒・巻き込む⼒・⼈間⼒・スピード⼒など広報に必要なものを全て備える⼒で、どれかひとつに⻑けるよりはバランス良く持つ必要があります。

ただし PR⼒を発揮し広報していくにあたり、当たり前のことですがまずは対象となる素材やサービスの「商品⼒」。マーケティングやブランディングにより⽣み出された商品が絶対的に良いものであることを前提に、第 1 回でお伝えした、新規性・関⼼事・影響⼒などを⾒つけ出していきます。

私が広報で⼤切にしているのは、対象のクライアントやプロデューサーやデザイナーとお話をして初めて商品の説明をしていただく際に、私⾃⾝が「そうなんだ!すごい!知らなかった!」と驚くポイントを素直に感じ取り、その後の活動で差別化ポイントとして掘り下げていくようにしています。

それに「PR ⼒」が掛け合わされることで、「商品⼒×PR⼒」で最もパフォーマンスの⾼いシナジーが⽣まれるため、広報担当者の⼿腕の⾒せ所になります。

クライアントやその商材について正しく理解し、関連する業界動向を把握し、伝えたい内容を伝えるべきターゲットに正しく伝える⼿法を⾒出します。

マーケティングでは市場調査をし分析する⼒が必要になりますが、広報と共通して「コミュニケーション⼒」が⽋かせない⼒です。


PR力」は何か尖った資質で成り立つのではなく、「コミュニケーション力」をはじめとした様々な力をバランスよく持つことで形成される、とのことでした。前回の記事でお話しいただいた、学生時代からの「様々なことへのチャレンジ」が鈴江先生の「PR力」の礎になっているのが伝わりますね。                                 

お子様の学校での学びにおいて「PR力」が育つシーンを考えますと、特定の科目・単元を学ぶとき、というよりも、グループワークや委員会活動、部活動などを通して先生やクラスメイトととのやり取りの中で育まれていく力なのかな、とも思います。

一方で、マーケティングで求められる「分析力」は、算数・数学におけるグラフ資料を読む力や、国語における読解力も重要になってきそうですね。

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広報の勉強に役立つ「アンテナ」はどこへ向ける?

ひとつ目の質問では広報担当者に求められる力として、コミュニケーション⼒や、情報収集⼒⽂章⼒表現⼒コーデイネート⼒巻き込む⼒⼈間⼒スピード⼒といった様々な「PR力」やマーケティングにおける「分析力」の重要性を語っていただきました。

では、これらは具体的にはどのような教材から学べばよいのでしょうか。

将来、広報・マーケティングの職に就きたい学⽣の皆さんにおすすめの本など、鑑賞するものや、取り組めば良いと思われる活動はありますか?

⽇頃からアンテナを張り巡らしておくことが⼤切です。

私の場合は、クライアント様によって、カフェやベーカリーから、医療・リユース・アパレル・コスメなど、業界が様々で広範囲にわたることや、地域も⽇本全国様々であることから、その時々で張るアンテナを変えることになりますが、その都度、必要な分野について詳しくなり、必要な各地のメディアを0からリサーチしてコネクションやメデ ィアリストを積み上げることができるなど、幅広さを強みに変えるように意識しています。

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⽇々のニュースで社会情勢を把握しておくほか、ビジネスのヒントは、「カンブリア宮殿」や「ガイアの夜明け」、「ワールドビジネスサテライト」などのテレビ番組をチェックしておくのがおすすめです。特に、WBS の「トレンドたまご」は、取材に⽴ち会ったこともありますが、基本的に当⽇に取材したものを報道するので信頼度が⾼くとても参考になります。

その他、テレビの情報番組は時間があれば⾒ていなくてもつけておき、アンテナに引っ掛かったら⾒るようにしています。

⼤学のゼミで⾒るようになってからずっと⽬を通しているおすすめは「⽇経 MJ」です。業界向けの新聞になりますが⾝近なことも多いので読みやすいと思います。前職では社内に参考になる記事を共有することもしていました。新商品や新サービスにとっては⽇経 MJ に紹介されるかは登⻯⾨とも⾔えます。今は電⼦版アプリを利⽤していますが、検索性も良く過去にも遡れるので、資料作成時などにも便利で重宝します。

その他、カフェや電⾞の中で様々な年代のお客様のリアルな会話を⽿にしたり、SNSチェックから情報を得ることも多くあります。



1つ目の質問で、「先生自身が商品に対して驚くポイントを掘り下げる」というお話もありました。 日ごろから様々な業界の情報を仕入れて感覚を研ぎ澄ましているからこそ 、自分や多くの人が驚くポイントを見つけることができるのだと思います。

テレビの情報番組の視聴は、お子様にとっても気軽に実践できそうです。保護者の方と一緒に視聴することで、子どもには難しいワードや知らなかった情報も、その場で聞くことができます。親子が家に揃っている時間帯はテレビをつけておいて、 ふとしたタイミングで話題にするのを習慣にしてみてはいかがでしょうか。

鈴江先生は、『 広報・PR 担当者のためのデザイン⼊⾨ 』( ビー・エヌ・エヌ新社 )の第1章も監修されています。是非ご一読下さい。

『広報・PR 担当者のためのデザイン⼊⾨』
井上綾乃,山賀沙耶 著・ビー・エヌ・エヌ新社

画像クリックで販売サイトにジャンプします。お使いのブラウザ設定によっては表示されません。

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子どもの「なぜ?」を保護者が受け止めよう

これまでの質問で、「広報・PRに必要な力」やそれを育む「教材」についてお話しいただきました。

こうした個々の資質も含めて、「PR力」をお子様がバランスよく身につけるにはどうすればよいのでしょうか。今回最後の質問は「保護者に求められるサポート」について、先生のご意見を伺ってみましょう。

お子様が「PR力」や「コミュニケーション力」を養うために、保護者の⽅に理解・協⼒してもらいたい点はありますか?

「PR ⼒」に関しては、どこかで学ぶよりも、⼦どもの頃からの⽇常で磨き上げられる素質も多いので、周りの⼈とのコミュニケーションが好きで、興味をもつ分野や素質があればそちらに注⼒して伸ばしてあげるのが良いかと思います。

学校での友達や先⽣、先輩後輩との関わりの他、様々な課外活動で、年齢や性別、国籍など関係なく、ジェンダーレスに幅広い層の⼈々と接する機会が多くあることで、視野や知⾒も広がり、コミュニケーション⼒やバランス⼒も磨かれていきます。

また、マーケティングに必要な分析⼒に関しては、⽇常⽣活にもヒントはたくさんありますので、常に⾝の回りで流⾏っているものなどに⽬を向け、それはなぜブームになっているのかや、なぜ特定の年代に⼈気があるのかやなど疑問を投げかけて話し合えるような環境があると良いですね。


例えば最近の⼈気スイーツでは、ブリオッシュにたっぷりのクリームをサンドしたイタリア由来の「マリトッツォ」のブームが興味深くとてもわかりやすかったと感じました。

⽕付け役となる店で⾷べたインフルエンサーたちの映えの SNS投稿と、⽐較的簡単に商品化できることから後を追うベーカリーやカフェ、イタリアンのお店などが後を絶たず、エリアとしては東京から関⻄、主要都市へと広がり、⼤⼿のマーケティングが⼊り、マスメディアにも露出。最初から知っているインフルエンサーたちにとっては少し飽きてきた頃に、⼤⼿コンビニエンスストアや⼤⼿メーカーも販売をスタート。

このブームの兆しから商品化までの時差をいかに縮められるかが、マーケティングの腕の⾒せ所です。Instagramのタグ(#マリトッツォ)が直近で17万件以上に増えていることも納得です。(2021年秋現在)

ただし、SNSの台頭、コロナ禍のオンライン化、AI 化などなど、社会は想像よりも容易に変わりゆくため、その変化をいかに早く察知し、先を⾒越して柔軟に対応していけるかも⼤切ですね。

インタビュアーの私は子どもの頃、スポーツ行事で違う地域の子と交流して、普段の友達との話題がいわゆる内輪ネタだったことに気づいて衝撃でした。「県をまたぐとテレビ番組も変わるんだなぁ」だとか「学校ごとに教科書も違うんだなぁ」といった些細な気づきですが、 以降は「みんなに通用する共通の話題って何だろう」と考えるようになりました。鈴江先生のお話しにもあった「幅広い層の⼈々と接する機会」を通じて得た「視野や知⾒の広がり」は大人になっても印象強く残っていると思います。

一方で親子間の会話を「育った時代が異なる層のコミュニケーション」と捉えることもできると思います。お子様は両親の持つスマホが、15年前にはほとんど流通していなかったということを想像できません。「昔はこうだったんだよ」といった会話が、身のまわりの物事に対して時代変化という焦点をあてる機会になる思いますし、それをきっかけに「技術の進歩ってすごいなぁ」「歴史を調べるって面白いなぁ」と感じてくれたら嬉しいですよね。

また分析力に関しては「日常生活からのヒント」や「話し合える環境」をキーワードに挙げていただきました。 マリトッツォのブームに対する先生の分析は、流石プロ!という感じでしたが、小さなお子様でも身近なブームに触れ、学びに変える機会はあると思います。ありがちなのは、「学校のみんなが持ってるから自分も欲しい!」 です。

例えばそこで、「みんなはどういうときに使っているのか」「あなたはどのあたりを気にいっているのか」というのを親子で話し合ったり、お子様に説明してもらったりすることで、冷静にブームを見つめなおし、影響される自分や友達を分析する力を育む機会になるかもしれませんね。

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学びのヒント

鈴江先生、ありがとうございました。

今回のインタビューから、以下のような学びのヒントが得られたと思います。

ヒント

幅広い層の⼈々と接して、視野や知⾒を広げよう。

・「なぜ?」を親子で話し合って分析しよう。

今回話題になった「PR力」や「分析力」のどちらでも重要性が取り上げられたのは「コミュニケーション」でした。お子様の活動の場を、ご家庭や学校以外にもどんどん広げることで、「凄い!」と思えるような出会いや経験の機会になり、同時に「なぜ凄いんだろう?」を探究し、学ぶチャンスが訪れると思います。

保護者の皆様はお子様にとって一番身近な大人として、新しい視野や知見を伝えることができます。しかし、常に一方的に伝えるだけでなく、時には一緒に学び、考える「パートナー」でもあって欲しいと思います。

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manaviおすすめの本

今回の記事に関連したおすすめの書籍をご紹介させていただきます。

関連書籍

科学のなぜ?新事典

★取り上げるテーマを,地球・宇宙のふしぎ,植物のふしぎ,動物のふしぎ,私たちのからだのふしぎ,身近なふしぎの5つの分野に分けて,いろいろな「なぜ?」を紹介しています。

★カラーの写真・イラストをふんだんに使って,小学生が理解しやすいように本文をまとめています。

★AI博士,ペンすけ,ペンジーの3つのキャラクターが協力して,みんなの疑問に答えてくれます。

★実験・観察の方法なども紹介しています。

詳しくはこちらから

科学のなぜ?新事典をご紹介させていただきました。科学的な現象やことがらについて、子どもたちが「なぜ?」と思っている疑問に答える形式の事典です。

「身近なふしぎ」としてLEDやリニアモーターカーなどの科学技術に関する「なぜ?」は、保護者の世代では勉強しなかったようなことも掲載されています。お子様と一緒に親子で知識のアップデートをするのはいかがでしょうか。

本書がお子様の科学的な知見や視野を広げてくれるサポートになりましたら幸いです。

今回の賢者

鈴江 恵子

高知県生まれ。
フランスに5年間滞在後、中川政七商店で社内広報を努める。
2015年に独立しSUZU PR COMPANYを設立。幅広い分野のクライアントのPRをサポートしながら、2021年にPRと食を絡めた”ちょっとよそゆきの朝ごはん”を提供するカフェ「プルミエメ」をオープン。これまでにないPRの手法を模索している。

鈴江先生の詳しい情報はこちらから

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