10月には多くの学校で中間テストが実施されたことと思います。
そして11月には、息つく暇もなく期末テストが実施される学校も多いのではないでしょうか。
この期末テストは、5教科で実施される中間テストと違って、副教科を含む9教科で実施されるため、1つの教科の勉強にかけられる時間が必然的に短くなります。
1学期の期末テストでは、「副教科の勉強法が分からない」「9教科の勉強の時間配分が分からない」といった理由で、苦戦されたお子様も多いかもしれません。
そこで、今回は2学期の期末テストに向けて、勉強を効率よく進めていくためのアドバイスをさせていただければと思います。
今回は、期末テストの中でも特に副教科と呼ばれる「音楽」「美術」「技術・家庭」「保健体育」に注目してみたいと思います。
副教科は、入試でも出題されないので、定期テストの点数はあまり気にする必要はないと考えている方もいるかもしれませんが、実は重要なのです。
確かに副教科が高校入試で試験という形式で課されることは基本的にありませんが、内申点という形で入試に関わってくることとなります。
都道府県、市町村によっては当日の試験で問われない副教科の点数を2倍にして評価に組み込む場合もあります。
つまり、主要5教科以上に定期テストの点数が入試に影響を与える可能性があるのです。
例えば、広島県の公立高校の入試制度を調べてみますと、中学1年生~3年生までの副教科の評定をそれぞれ2倍して内申点として扱うようですね。
中学1年生にとっては、入試はまだ先のことというイメージかもしれませんが、このように内申点という形で既にレースが始まっています。
この機会に、ぜひお住まいの地域の教育委員会の公式サイトなどで高校入試の制度を調べてみてください。
そして、副教科の評定が入試に与える影響が大きい地域で入試を受けられるお子様は、特に副教科の勉強にも注意を払う必要があります。
副教科の勉強に苦戦する大きな理由の1つは、「日常学習の中で復習している生徒がほとんどいない」ことだと思います。
主要5教科だと、日常学習で少なからずテスト範囲の内容に触れていて、知らず知らずのうちにインプットされていることもあるでしょう。
しかし、日常学習で触れることがほとんどない副教科の場合は、テスト期間に入ると、まずテスト範囲の内容を遡って思い出すところから始めなければなりません。
その点で、主要5教科とは、テスト期間中の勉強のアプローチが微妙に異なってくるわけですね。
とは言え、期末テストは9教科ですから、1つ1つの教科に時間をかけすぎず、いかにバランスよく勉強時間を配分できるかが焦点になるでしょう。
少し、私が学生時代に取り組んでいた副教科の勉強法をご紹介させていただきますと、授業ノートを作る段階で、工夫を凝らしていました。
授業で、先生が強調していたことや重要なポイントやキーワードであると説明していたことを、赤字で書いておき、後からシートで隠して見返せるようなノートづくりを心がけたのです。
授業の時点でテスト前に見返すことを意識したノートづくりをしておくと、シートで隠しながら読み返すだけでテスト前の復習を完了できます。
テスト期間に入ってから、焦ってテスト範囲を遡って思い出しながら、探り探り復習するよりも、授業で触れられた重要なポイントを効率よく振り返ることができるのが、この勉強法の強みです。
とは言え、テスト直前の時期に「授業ノートをもっとちゃんととっておけば良かった…」と後悔していても仕方ないですから、今回は今からでも取り組めるアプローチをご紹介させていただきます。
1学期の期末テストで、副教科の点数を思うように伸ばせなかったというお子様は、テスト範囲全体の内容を「思い出す」タイミングを少し早めに設けるのが良いと思います。
暗記ないし知識事項のインプットの話が挙がるときに、時折「エビングハウスの忘却曲線」という言葉を耳にすることはないでしょうか。
これは、一度覚えた内容を再び完全に記憶し直すまでに必要な時間がどれだけ節約できたかを表す割合である「節約率」が時間の経過でどのように変動するのかを記録したグラフです。
このグラフを学習に応用するにあたっては、諸説ありますが、東京大学薬学部の池谷裕二教授は、復習のタイミングは「翌日」「1週間後」「2週間後」「1か月後」の4回が効果的だと提唱しています。
計画的に4回復習するのは難しいかもしれませんが、タイミングよく復習を繰り返していくことで、1回の勉強にかける時間を節約でき、短い時間で「覚え直し」をすることができるのです。
ですので、今回の記事ではテストから「2週間前」、つまりテスト期間が始まる「1週間前」に副教科のテスト範囲に当たるであろう内容を思い出す時間を設けることをおすすめします。
具体的には、授業中に学んだ内容を思い出しながら、自作のノートを作るのが良いでしょう。
その際は、後にシートで隠しながら読み返せるように意識すると良いですね。
全体のスケジュールをまとめると次のようになります。
2週間前に勉強を始めると聞くと、ハードルが高く聞こえるかもしれませんが、そうすることでテスト期間に入ってからの副教科の勉強の負担を軽減することができ、その時間を主要5教科に充てることができますよね。
また、見て覚えた内容が定着しているかどうか、ワークなどを使って確認する工程は非常に大切ですので、注意して取り入れましょう。
その際は、まずは学校のワークから取り組んでいただき、余裕のあるお子様は『中学 得点UP問題集 実技4科』のような問題集を活用してみてください。
とは言え、いきなり2週間前は難しいという場合には、復習の回数を1回減らして、まずはテスト期間が始まったその日、つまり「テスト実施日の1週間前」⇒「その翌日」⇒「テスト前日」⇒「当日」というスケジュールで始めても良いと思います。
ノートを上手くまとめられる自信がないという場合は、受験研究社から発売されている『まとめノート 実技4科』のような要点がまとまった書籍を活用して、ポイントを押さえていくのも効果的ですね。
記事の中でも書いたように副教科は日常学習で触れることがほとんどないため、テスト期間に入ると、まずはテスト範囲の内容を思い出すところから始めなければなりません。
それも含めてテスト期間である1週間に詰め込もうとすると、どうしても勉強時間を多くさかなくてはならなくなり、主要5教科の勉強にさける時間も減ってしまいます。
ですので、副教科については、少し「フライング」してテストの準備を始めておくと、テスト期間内の勉強の負担を減らすことができ、全体の時間配分が上手くいくのではないでしょうか。
テスト勉強は、がむしゃらに量をこなすスタイルでは、期末テストのように教科数が増えたり、学年が上がってテスト範囲が広大になったり、ひいては高校入試のような中学生の学習範囲全体が対象となるような試験になった時に対応するのが難しくなってきます。
前回の記事でも書いたように
大切なのは「勉強の質」を担保することであり、自分の理解度や進度を分析し、それに応じた学習計画を立て、遂行できるようになること
です。
ぜひ、これまでの定期テストの結果や勉強を踏まえつつ、2学期の期末テストを自分なりの学習計画を考える1つのきっかけにしていただければと思います。