『大豆田とわ子と三人の元夫』に見る!参考書・問題集が「演出」するとわ子のキャラクター

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こんにちは。増進堂・受験研究社の永峰です。

突然ですが、質問です!


友人から送られてきた手紙を自室で読んでいて、その時に机に置いてあったコーヒーをこぼしてしまい、手紙を汚してしまったと仮定します。この時、あなたならどんなリアクションを取りますか?


思わず「あっ!」と声を出してしまう方もいるかもしれませんし、黙々とふきんやティッシュを取ってきて、拭き取るという方もいるでしょう。

先日公開された大泉洋さん主演の『騙し絵の牙』という映画の冒頭で、実はこれに似たシチュエーションが描かれていました。

この映画では、手紙ではなく小説の原稿だったのですが、新人編集者の高野という女性が、送られてきた原稿にコーヒーをこぼしてしまいます。

さて、彼女はどんなリアクションを取ったと思いますか?

その時、彼女は「ごめんなさい!」と誰も見ていないのに、声に出したんですよ。

この行動を見たときに、まだ本編は始まったばかりなのに、「高野」というキャラクターの人間性のようなものがスーッと自分の中に入ってきたような気がしました。

ドラマや映画といったフィクションでは、現実には存在しないキャラクターをゼロベースで形作ります。

そのため、こうした細かなセリフや行動の積み重ねがその「輪郭」を少しずつ確かなものにしていくのであり、それこそが「演出」です。

さて、少し前置きが長くなってしまいましたが、今回は少しテレビドラマのお話をしたいと考えております。

なぜ、教育情報サイトでドラマの話?と思われるかもしれません。

しかし、今回話題に挙げる『大豆田とわ子と三人の元夫』というテレビドラマには、実は弊社、増進堂・受験研究社も関係しているのです。


そして、今回協力させていただいているのは、劇中で登場する参考書や問題集の部分になります。

実は、主人公の大豆田とわ子が取り組んでいた数学の問題集や彼女の娘の学習机に置かれていた参考書や問題集などは弊社から発売されているものなのです。

そう聞くと、ちょっと気になりますよね。第1話でも第2話でも登場しておりますので、ぜひ、馬のマークの本を探してみてください!

今回は『大豆田とわ子と三人の元夫』について、私からは、参考書や問題集がキャラクターの人間性の表現に繋がっているという点についてお話させていただきます。

劇中のどの場面で、どんな状況で、誰が、どの参考書・問題集を使っているのか。

そうしたこのドラマにおける「演出」を紐解きながら、参考書・問題集と学習者の関係についても考えていけたらと思います。

良かったらご一読ください。

大豆田とわ子と『トレーニングノート 数学』


第1話の中で主人公の大豆田とわ子の悩みごとの多い夜の過ごし方に関する描写がありました。

どうやら彼女は、数学の問題集を解いて過ごすようです。

彼女は建設会社の社長でもありますから、学生時代は当然数学には熱心に取り組んできたのだと思いますし、むしろ数学が好きなのでしょう。

ここで彼女が使っていたのが、増進堂・受験研究社から発売されている高校生向けの問題集『トレーニングノート 数学』シリーズでした。


「トレーニング」というワードがタイトルに入っているシリーズになりますが、その内容はひたすらに問題に取り組んでいくいわゆる「問題集」です。

ここで彼女が使っているのが、「参考書」だった場合、すごく印象が変わってくると思いませんか?

なぜなら、「参考書」は解説の分量が多く、理解度を深めたり、分からない部分を補ったりする際に使える書籍だからです。

大豆田とわ子がこのシーンで数学の「参考書」を眺めているような描写になっていれば、彼女は数学の学び直しをしている、または子どもの勉強に付き合うために読んでいるといった印象を与えるのではないでしょうか。

しかし、彼女が使っているのは、繰り返しになりますが「問題集」なのです。

「問題集」は、基本的に既に学習した単元の内容を確認したり、問題の演習をしたりするために使われます。

つまり、高校時代に習った数学の内容は当然頭の中に入っていて、彼女はそれらを活用して黙々と問題を解いているのですね。

そして、改めて注目したいのが、彼女が問題集に取り組んでいるシチュエーションです!


「悩みごとの多い夜」

細かいですが、該当のシーンで問題が解けたときに、とわ子が、モヤモヤが晴れたようにハッと目を見開くような瞬間がありました。

つまり、解決策が見えない問題に悩んでいるときに、数学の問題という「論理的に1つの解を導き出せるタスク」に取り組むことで、頭をリフレッシュしているのではないかとも読み取れます。

もう1つ面白いのが、彼女の娘の唄がまだ中学生3年生という設定なのに、彼女が取り組んでいるのは高校生用の問題集だということです。

ここで、さらりと彼女の数学学習が娘の受験勉強とは切り離されたものであるということが示されていたのだと思います。

このように、「どんな参考書・問題集を使っているのか?」に注目するだけでも、このドラマにおける「大豆田とわ子」の人物像の一端が垣間見えるような気がしますよね。

第2話でも彼女が『トレーニングノート 数学』に取り組んでいるシーンがありましたので、ぜひ注目してみてください。

大豆田とわ子と『自由自在』


第1話の中でもう1つ注目したいのが、とわ子が会社で起きたトラブルに対処すべく徹夜で作業に取り組んでいるときにインサートされた回想シーンです。

とわ子と母の懐かしい日々を振り返る内容なのですが、ダイニングテーブルで縫物をしながらうたたねをしている母と、リビングのテーブルで勉強中に同じく居眠りをしている学生時代のとわ子が映し出されていました。

ここで注目したいのは、次の2つです。


(1)とわ子が使っていたのが『自由自在』シリーズである
(2)とわ子が勉強していたのが母親の目の届くリビングである


まず(1)についてですが、この回想シーンに入る前にこんなナレーションが入っていました。

「やれるかなぁ。多分無理。いつもそう思う。まぁ…でもなぁ…。」


とわ子が仕事で困難なタスクに取り組んでいるときに、学生時代のリビングでの勉強風景を思い出すのは、それが彼女にとって何かを乗り越えた「成功体験」だからなのかもしれません。

居眠りをしている彼女の傍らに置かれていたのは、『中学 自由自在』シリーズです。


このシリーズは「参考書」に分類される書籍で、日常学習から高校受験への橋渡しをしてくれるような内容になっています。

そこから、とわ子にとっての学生時代の「困難なタスク」というのが、高校受験だったのではないかと考えられますよね。

そして、もう1つ重要なのが、(2)の彼女が自分の部屋ではなく、リビングで勉強をしているというシチュエーションです。


そもそも親子の関係が上手くいっていないと、リビングで勉強はなかなかできません。

ですので、とわ子と母親と心を通わせていたという事実が必然的に浮かび上がってきます。

リビングで母の温かなまなざしの中で安心してヘトヘトになるまで勉強したこと。

そして、母の支えがあって、高校受験という困難なタスクを乗り越えられたこと。

母の在りし日には、母の「まなざし」が彼女の困難を乗り越えるための原動力となり、母亡き今は、その「思い出」が彼女の原動力になっているということが『自由自在』という1つの参考書を中心に上手く表現されているのです。

この一連の描写からは、学ぶシチュエーションないし環境というものの大切さが透けて見えますよね。

演出から逆算的に読み解く「学び」の在り方


さて、ここまではドラマの演出における問題集や参考書の果たした役割について考察を加えさせていただきました。

この記事の冒頭で、

「劇中のどの場面で、どんな状況で、誰が、どの参考書・問題集を使っているのか。」


がフィクションにおけるキャラクター像を構築しているというお話をしましたよね。

言い換えると、そのキャラクターに合った参考書や問題集、そしてそれを活用するシチュエーションを選ばなければ、視聴者に人物像がうまく伝わらないということでもあります。

実は、これって保護者の皆さまがお子様に参考書・問題集をご購入いただく際、そしてお子様の学習に向き合う際にも言えることではないでしょうか。

例えば、まだまだその単元の内容についての理解が追いついていないのに、「問題集」を与えて、とにかく問題に取り組んでみなさいとお子様に言ったとしても、問題が解けずにかえって苦手意識を抱いたまま挫折してしまう可能性も考えられます。

一方で、リビングで勉強をしているお子様に、「ここでは集中できないから、自分の部屋に行きなさい。」と声をかけてしまったことが、かえって勉強している自分を認めてほしいと考えているお子様のやる気を削ぐことに繋がってしまう可能性もありますよね。

ドラマにおけるキャラクター像を作り上げる上で、どんなシチュエーションで、どの参考書・問題集を使うことが適切なのかが緻密に計算されているように、お子様の「学び」においてもこうした「演出」が非常に大切なのだと思います。

自分に合った本で、自分に合った環境で学ぶ。

当たり前のことなのですが、これがすごく大切なことなのだと改めて考えさせられます。

増進堂・受験研究社は、たくさんの参考書・問題集を世に送り出してきました。

それらが「どんな特性の、どの段階のお子様に最適な本なのか?どんな使い方ができるのか?」を知っていただくためのサポートするのは、弊社の役割だと自負しております。

一方で、最適な環境を用意してあげられることは、お子様をよく知る皆さまだからこそできる役割の1つです。


保護者の皆さまと参考書・問題集や問題集を提供している増進堂・受験研究社と。

手を取り合って、協力しながら、お子様にとって最適な学びを「演出」していけたら…と考えております。

そして、ぜひ現在放送中のテレビドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』もご覧になってみてくださいね。

ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』公式サイト