みんなより一足先に「歴史好き」に!小学校3・4年生からできる歴史の楽しみ方とは?

目次





「歴史好き」のきっかけって何だろう?

この記事を書くにあたって,「歴史好き」のきっかけは何ですか?という質問を受験研究社の編集者たちにしてみました。

「父の部屋の本棚に歴史の本がたくさんあって,それを読むのがいつの間にか習慣になっていました。」

「母がテレビドラマ好きで,大河ドラマを一緒に見ているうちに,歴史にのめり込んでいました。」

「学校の図書館で三国志のマンガを読んだのがきっかけで,歴史の物語性やドラマ性に惹かれました。」


いろいろな声がありますね。これだけでも「歴史好き」になるきっかけがさまざまあることがわかります。

アイシェアの2009年の調査によると,「歴史や歴史上の人物にはまったきっかけは何ですか?」という問いに対する答えは以下のようになっていたようです。

少し古いデータではありますが,当社の社員に聞いた結果とそれほど大きな差はなさそうでした。また,社員の子どもたちにも聞いてみると,YouTubeという声が挙がっていたので,今,同じ調査をすると,YouTubeも上位に入ってくるかもしれませんね。

一方で,このデータから読み取れる重要なポイントは,「歴史好き」のきっかけに「物語」の存在あり,ということではないでしょうか?「小説」「ドラマ」「映画」「ゲーム」など,いずれも物語性があるものですよね。

これを踏まえると,お子様が「歴史好き」になる上でも,「物語」が重要な役割を担うのではないか?という仮説が立てられます。

では,「物語」を通じて歴史を学ぶことには,どんなメリットがあるのでしょうか?どんなアプローチができるのでしょうか?あるいはどれくらいの学齢から始めればいいのでしょうか?

この連載では,「小学校低学年」「小学校3・4年生」「小学校高学年」の学齢に分けて,それぞれの時期の歴史の学びにおいて意識したいことや具体的な学びのアプローチについて解説しています。

今回の記事で,スポットを当てるのは「小学校3・4年生」です。

意識しておきたい「9歳の壁」

冒頭の内容を読んで,「物語」が「歴史好き」のきっかけになるのであれば,小学校低学年のお子様にも「物語」で歴史を学ばせればいいのではないか?と思った方がいらっしゃるかもしれません。

もちろん,子どもの発達には個人差がありますし,興味を示す対象も人それぞれですから,それが効果的なケースもあるでしょう。

ただ,一般的に,子どもの発達の特性を考えると,「物語」を介して歴史を学ばせるのは,いわゆる「9歳の壁」を超えてからが望ましいと思います。

9歳の壁」について,文部科学省のHPには次のように書かれています。

9歳以降の小学校高学年の時期には,物事をある程度対象化して認識することができるようになる。対象との間に距離をおいた分析ができるようになり,知的な活動においてもより分化した追究が可能となる。自分のことも客観的にとらえられるようになるが,一方,発達の個人差も顕著になる(いわゆる「9歳の壁」)。
文部科学省「3.子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題」

着目したいのは,「物事をある程度対象化して認識することができるようになる」という点で,これは言い換えると「自分と他人との違いがわかるようになる」ということです。

次の章でも詳しく述べていますが,歴史を「物語」で学ぶ1つのメリットは,登場人物の感情や考え方が描かれていることにより,歴史上の人物たちをより身近な存在として具体的にイメージできることす。

ただ,このメリットを享受する上で,他人の感情や考え方,行動原理を自分と切り離して認識し,理解できることは前提条件となります。

そのため,歴史を「物語」で学ぶメリットを十分に享受できるようになるのは,「9歳の壁」を超えていく「小学校3・4年生」の時期からだと言えるのです。

物語の力を借りて,歴史の「流れ」を掴もう!

では,「物語」で歴史を学ぶことには,どんなメリットがあるのでしょうか?

メリットはさまざまあると思いますが,次の2つが大きいと思います。

① 歴史を学ぶ上で重要な「流れ」を掴むことができる


② 感情や人間らしさに触れ,歴史上の人物たちが身近な存在に感じられるようになる


それぞれについて,詳しく解説していきます。

メリット①:歴史を学ぶ上で重要な「流れ」を掴むことができる

突然ですが,みなさんにはこれから6つのキーワードを覚えていただきます。

まずは,6つのキーワードを羅列した次の<A群>を見てください。

<A群>

ロシア,遼東半島,日英同盟,日露戦争,三国干渉,イギリス

次に,順序立てた説明の中に6つのキーワードを散りばめた<B群>を見てください。

<B群>

遼東半島を巡って,ロシアはドイツ,フランスとともに日本に三国干渉をした。

②ロシアに対抗するため,日本はイギリス日英同盟を結んだ。

③同盟国イギリスの後ろ盾もあって,日本はロシアとの日露戦争に勝利した。

さて,<A群><B群>を見て,どちらの方が6つのキーワードを覚えやすそうですか?

おそらく<B群>の方が覚えやすいと感じた方が多いのではないかと思います。

<A群>はキーワードを順番も気にせずに無作為に並べています。一方で,<B群>は①~③が1つの「流れ」になっており,キーワード同士の関係がわかるようになっています。

そのため,<A群>は1つ1つのキーワードを個別に覚える必要があるのに対し,<B群>は①~③を1つの「流れ」で覚えることができるので,覚えやすいのです。

歴史とは,1人1人の人間の行動が積み重なり,それが複雑に絡まった結果であるわけですから,学ぶ上では,その「流れ」を掴むことが何よりも大切です。

一方で,マンガや小説,映画やアニメなどの「物語」にも,「ストーリー=話の流れ」があります。

ですので,歴史を題材にした「物語」を鑑賞すると,話の流れを追う中で,自然と歴史の「流れ」もインプットされていくというシナジーが生まれそうですよね。

いきなり,参考書や問題集で歴史の勉強を始めると,どうしてもそれぞれの用語を覚えることに精一杯になってしまい,大きな「流れ」を見失いがちです。

先に歴史の「流れ」を「物語」の助けを借りながら掴んでおくことで,小学校高学年から始まる教科としての歴史学習にもスムーズに対応できるでしょう。

メリット②:感情や人間らしさに触れ,歴史上の人物たちが身近な存在に感じられるようになる

「流れ」を掴むだけなら,参考書などに掲載されている年表でも十分では?と思われるかもしれません。

では,ここで1つ質問です。

みなさんがこれから歴史の勉強を始める学習者だったと仮定します。もし,次の<年表><マンガ(物語)>を見たときに,どちらであれば歴史の勉強ができそう!と思えますか?

<年表>

<マンガ(物語)>

『小学 自由自在 歴史のなぜ?新事典』156ページより

年表は確かに出来事を年代順に並べているという点で,「流れ」を内包していると言えます。ただ,あくまでも出来事の羅列であり,無味乾燥なものです。

「物語」で歴史を学ぶ,もう1つの大きな意義は,歴史上の人物の感情や人間らしさに触れられることではないでしょうか。

同じ出来事を「物語」として表現すると,そこには歴史上の登場人物たちの感情や考え方が宿り,無味乾燥な出来事の羅列に血が通い,温かみのあるものになります。

前回の記事の中で,子どもたちは自分から空間的,時間的に遠いものを理解するのが難しい傾向にあることを指摘しました。歴史上の人物は子どもたちからすると遠い存在ですよね。ですから,教科書や資料集に載っている彼らの絵や写真を見ても,なかなかイメージがつきにくく,距離が縮まらないのです。

一方で,「物語」の中に登場する歴史上の人物には感情が宿っていたり,実際にそうだったかは定かではないですが,一定のキャラづけが為されていたりします。

感情やキャラ(性格)に触れると,子どもたちは,遠い存在に思えていた彼らもまた自分と同じ人間なのだと感じることができます。愛着が湧いたり,「推し」ができたりするかもしれません。

先ほどのマンガを読むと,徳川家康には「ずる賢いおじさん」といったイメージを持つと思います。その親近感こそが歴史を面白く,魅力的なものにしてくれるはずです。

「物語」で歴史を学べるメディアはたくさん

では,「物語」で歴史を学べるメディアには,どんなものがあるでしょうか?

いくつか具体的なメディアをご紹介させていただきます。

① YouTubeなどの歴史系のチャンネルの動画

ニフティの調査によると,約70%の子どもがテレビよりもYouTubeを見ているそうです。

お子様がYouTubeを見ているのであれば,「こんな動画があるよ!」と以下に挙げたような歴史系のチャンネルの動画を何気なくおすすめしてもいいかもしれませんね。

② 歴史を題材にしたドラマやアニメ,映画

歴史を題材にしたドラマやアニメ,映画は数えきれないほどあります。

お子様だけで見ても楽しめるものもあれば,保護者の方と一緒に見なければ,少し難しいものまでさまざまあると思います。

親子で見ていると,お子様から「わからない!」という声が挙がるかもしれませんが,それはお子様がわかろうとしている,つまり興味を示しているシグナルです。

もし,保護者の方が答えを知っていたとしても,停止ボタンを押して,一緒に調べたり,一緒に悩んであげたりしてくださいね。

おすすめできるのは,以下のような作品です。

おすすめの映像作品

・大河ドラマ(『鎌倉殿の13人』『どうする家康』『光る君へ』など)

・アニメ(『ドラえもん 新・のび太の日本誕生』『平家物語』『信長協奏曲』『この世界の片隅に』など)

・映画(『のぼうの城』『本能寺ホテル』『杉原千畝』など)

※お使いのブラウザ設定によっては画像が表示されません。

③ 歴史を題材にしたゲーム

ゲームが好きなお子様には,歴史を題材にしたゲームを進めて,遊びと学びの両立を試みてもいいでしょう。

『信長の野望』シリーズは,人気のある歴史シミュレーションゲームで,当社にもこのゲームがきっかけで歴史にハマった社員がいるようです。

また,『るるぶ偉人カードで遊ぶ日本の歴史ゲーム』のようなボードゲームも発売されているので,休日に家族で遊んでみるのも,いいですね。

おすすめのゲーム

※お使いのブラウザ設定によっては画像が表示されません。

④ 各種学習マンガ

学習マンガは,日本の歴史を扱ったものだけでもさまざまな種類があります。

おすすめの学習マンガ

・角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』
・学研まんが『NEW日本の歴史』シリーズ
・ドラえもん学習シリーズ『日本の歴史』
・歴史漫画 サバイバル シリーズ

※お使いのブラウザ設定によっては画像が表示されません。

書店等でお子様と一緒に読み比べてみて,お子様が読みやすそうなもの,興味を持てそうなものを選んであげるとよいでしょう。

まとめ:「歴史好き」になったお子様の「好き」を深める

YouTubeの動画やドラマ,アニメ,あるいは学習マンガなどを経て,お子様がある程度「歴史好き」と言える状態になると,お子様の興味は「歴史」をもう少し詳しく知りたいという次のステップに進んでいきます。

そこで,おすすめしたいのが,2024年5月に受験研究社から発売される『小学 自由自在 歴史のなぜ?新事典』です。

マンガやイラスト,ビジュアルを大胆にあしらいながら,疑問をトリガーにして,日本の歴史の各時代の内容を詳しく解説した書籍です。

小学校の歴史の学習内容をきちんと網羅しているため,楽しみながら,歴史を詳しく,深いところまで知ることができ,お子様の知的好奇心に応える1冊になっています。

詳細は受験研究社の公式サイト,特設ページにてご確認ください。

『小学 自由自在 歴史のなぜ?新事典』
 特設ページは➡こちら

次回の記事では,「小学校高学年」の時期の歴史の学びにおいて意識したいことや具体的な学びのアプローチについて解説します。

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