こんにちは!今回も引き続き、2021年度より始まる中学校の新学習指導要領に関わるお話をさせていただきます。
さて、2021年度から中学校で新学習指導要領に基づく新課程がスタートします。
具体的に前の学習指導要領とどんなところが違うのか?それによって子どもの学びはどう変わっていくのか?
第3回の記事では、新しい学習指導要領の中で何が強調され、学びの捉え方がどう変わったのかを全体的なところでお話させていただきました。
良ければ、こちらの記事もご一読ください。
その中で、特筆すべき点は、「知識」を単にインプットするだけではなくて、それを「使える」ものにしていくという部分でした。
加えて、「知識」と「資質・能力」の関係の捉え方が変わり、それらを別々に涵養していくのではなく、円環構造の中で連動させて養っていくという方向性も示されました。
前回とそして今回の記事では、この変化を踏まえて、では実際に各教科では、どんな「学び」がこれから求められていくのか?という部分を、教科ごとの「変化」にも言及しながら、皆さんにお伝えできればと考えています。
「英語」「国語」「数学」に言及した前編の記事はこちらから!
また、「後編」に当たる今回扱うのは、「理科」「社会」です。
ぜひ、ご一読いただければと思います。
お伝えするにあたり、今回も『中学 自由自在』の担当編集者にインタビューしながら進めていきます。
ここからは増進堂・受験研究社の新しい『中学 自由自在』を担当した編集スタッフに話を聞きながら、学習指導要領の教科ごとの変更のポイントを整理していきます。
その上で、具体的にどんな学びが有効なのかについても聞いていきます!
変更点は?
理科の新学習指導要領では、大きくどんな点が変更になりましたか?
まず単元についてですが、学ぶ順番が変更されました!
生物分野を例に挙げると,従来は
1年生で植物
2年生で動物と進化
3年で生殖と遺伝
を学ぶという流れでした。
しかし、新学習指導要領では
1年生で植物,動物を合わせた生物の観察と分類の仕方,からだの共通点と相違点
2年生で生物と細胞,植物のからだのつくり,動物のからだのつくり
3年で生殖,遺伝,進化
を学ぶという流れになりました。
単純に動物と植物で区切るのではなく、学習する内容に基づいて段階的に深めていけるようになっていますね!
その通りです!
従来よりも単元間の関連性がわかりやすくなり,より学習内容の比較や関連づけがしやすくなったと考えられますね。
求められる力という観点ではどうでしょうか?
日常生活と科学の結びつきが重視されるようになりました。
例えば、自然災害については3学年すべてで扱うようになり,放射線についても2,3年と2回に分けて扱うようになっています。
2011年に起きた震災とそれに伴う原子力発電所の事故を受けて、私たちの生活に密接に関わることをしっかりと学んでおく必要があるというメッセージですね。
なるほど。理科で学ぶ内容を教科の勉強として完結させてしまうのではなく、日常生活とリンクさせて考えることが重要視されるのですね。
まさにそうです!
「問題発見能力」が指導要領の中でフィーチャーされていますが、理科で学んだ知識・技能を通じて、日常の様々なことについて、自分なりに疑問を持ち、探求していくことも1つの「問題発見」の形です。
その素地を授業や家庭学習を通じて育てていくことが、まさしく求められているのだと思います。
具体的に有効な学びは?
新学習指導要領下の理科では、どんな学習が有効なのでしょうか?
用語を単純に暗記して終わりの勉強では苦しくなっていくかもしれません。
むしろ学習していくなかで,「どうしてこのような実験結果になるのか?」や,「どうしてこのような自然現象が起こるのか?」といったことを考えながら,自分なりに問題意識をもって主体的に学習することが重要です。
それを家庭学習に取り入れるってすごく難しい気もしますね。
そうですね。
ただ、先ほども述べたように、新学習指導要領では理科の知識と日常生活のリンクが重要視されています。
ですので、日常生活の中に、何か理科で学んだ知識が役立つギミックを用意してあげるというのはどうでしょうか?
なるほど、面白いですね!例えばどんなものが挙げられるでしょうか?
そうですね~例えば、家庭菜園なんてどうでしょうか?
家庭菜園で作物をうまく育てるためには理科の知識が必要ですよね。
例えば、どこに置くか1つとっても、植物が光合成をするという植物分野の知識と太陽に当たりやすい場所を見つけ出すための天気の分野の知識が絡んできます。
確かにそうやって、日常生活と関連させると学んだ知識が定着しやすいですね。
もちろん家庭菜園を実際にやるとなると、場所や手間、お金もかかります。
ただ、知識事項を文字で覚えていくだけでなく、その知識を実際に使いながら自分なりに「問題解決」をしていくプロセスはとても重要です。
理科の学習における「主体性」は、まずは楽しむことから生まれます。
知識を習得することの意義みたいなものも見えてきますよね。
そして知識習得の際には『中学 自由自在 理科』をぜひ活用してください。
本書では、1つ1つの事象に対してかなり詳しく記載していますので,じっくりと考えながら読んでみてください。
変更点は?
社会の新学習指導要領では、大きくどんな点が変更になったのでしょうか。
社会は、他の教科のように単元の大きな移動があるということはありません。
しかし、理科と同様に自分たちの生きる社会や日常生活に学習した内容をリンクさせて考えていくことが強く求められています。
学んだ知識を活用して、まさしく今の社会について自分なりの考えを持てるようになるということですね。
まさしくその通りです。
例えば「地理」においては、理科と同様に未曽有の大災害である東日本大震災を経て、災害大国日本の一員として、国土や災害の状況について理解し、現在そして未来について主体的に考えていくことが問われています。
どんな問題があって、それをどう解決できるのか、自分には何ができるのかを考えていくわけですね。
他にも2016年6月22日より選挙権年齢が20歳から18歳に引き下げられましたよね。
そのため、中学生は今まで以上に「主権者」としての意識を持つ必要が出てきます。
そのため「公民」においても、単にテストのために覚えて終わりではなく、身につけた知識をベースにして、今の日本の在り方について、主体的に考えを深めていくことが求められています。
まさしく「問題発見能力」や「主体性」の涵養が欠かせないわけですね。
具体的に有効な学びは?
新学習指導要領下の社会では、どんな学習が有効なのでしょうか?
やはり自分から社会科に関する様々なことがら・できごとなどに興味・関心を持ち,自分から進んで調べ,学んでいったり,自分の意見を文章できちんと表現できたりするための学習が大切だと思います。
主体的にということですね。例えば、どんな学習が望ましいでしょうか。
自分なりの考えを持つためには、まず最低限の知識事項はインプットしておかなければなりません。それが考えを深めていく上の土台にもなります。
なるほど。従来通りの学びも依然として大切ということですね。
はい、それが変わることはありません。しかし、その次の段階として、それを実際に使って考える機会を持つことが大切になってきます。
例えば「公民」では主権者教育が行われます。
中学校を卒業して3年後には,選挙で1票を投じることができる立場となります。選挙で1票を投じる時,自分ならどういう観点で候補者・政党に投じるか?を学び得た知識をもとに考えてみるのは大切です。
まさしく教科としての社会と実際の社会のリンクが生まれるわけですね。歴史や地理ではどうでしょうか?。
地理であれば、日本は災害が多い国ですから、そこと関連づけてハザードマップを読み解いてみるのも面白いですね。
読み解くためには、地形に関する知識、地図を読み取る技能、その他様々な「知識・技能」が要求されます。
歴史だと、時代を超えて「比較」して考えてみるのも良いかもしれません。例えば、今、世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスがあり、これにより社会の仕組みが一変しています。
じゃあ、同じようにかつて世界的に流行し、全人口の三分の一が死亡したともいわれるペストはどう社会を変えたんだろう?と考えてみる。
単に「14世紀にペスト流行」という知識だけを頭に入れておくよりも、ずっと深い学びになりますよね。
確かにどちらも面白そうな活動です!
そうした活動の前段階の基礎知識の定着という部分では、ぜひ『中学 自由自在 社会』を参照してみてください。
この参考書では用語や重要事項を単に羅列しているというわけではありません。それぞれの重要事項がどのように結びついているのかまで分かるように、工夫して作ってあります。
ですので、1日に10分、15分でも良いので、学校で学んだ単元を『自由自在』で読み直してみると良いでしょう。頭の中が整理されて、考える源になっていくはずです。
第3回から続く、中学校の新しい学習指導要領に関連したトピックをお読みいただきましてありがとうございました。
こういった記事を読むと、熱心な保護者の皆さまは「あれもしないと、これもしないと」と焦ることもあるかもしれません。
しかし、まずは目の前のことから1歩ずつ進めていくことが肝心です。
お子様がなかなか自発的に考えることがまだ難しい場合には、基礎学力として知識事項を丁寧に理解することから始めましょう。
『中学 自由自在』シリーズならお子様の興味や関心を自然と刺激するようなコラムも充実していますので、眺めているだけでも、興味が湧いてくるかもしれません。
また、好奇心旺盛なお子様なら、自分の考えや意見、解答についての根拠や関連知識を調べるために『中学 自由自在』を活用してみるというアプローチもできます。
資質・能力 ⇔ 知識 =『中学 自由自在』⇔ 活動 = 高次の資質・能力
上記のような円環的なイメージで学びを捉えていただき、「知識」のところに『中学 自由自在』を位置づけてみてください。
この知識の部分が安定すれば、あとはどのような場合でも、学び方は”自由自在”です。
●概要
・『中学 ⾃由⾃在』 国語、社会、数学、理科、英語
・定価:2,900円(+税)
・判型:A5判
・ページ数:本⽂592〜656ページ、解答編(数学)160ページ
・発売予定⽇:2021年2⽉15⽇
●『中学 自由自在』シリーズを全⾯改訂!
このたび、『自由自在』の中学⽣シリーズを2021年度の新学習指導要領に合わせて全⾯改訂しました!
豊富な写真や図版を使ったオールカラーの構成で、学習の要点をきめ細かく段階を区切って解説しており、理解をサポートします。
また、マンガで始まる導⼊部や、⼊試にも教養としても役⽴つコラムやトピックを織り交ぜ、学習者がひとりでも学びやすく飽きのこない⼯夫を凝らしています。
●⾳声・動画による学習理解の促進!
英語では基本⽤例の英⽂やリスニングの⾳声をQRコードから再⽣。リスニングや⾳読の反復練習がしやすくなりました。
理科では実験の理解度を深める動画「科学実験ライブラリー」を⽤意。付属の⼩冊⼦にあるQRコードから⼿軽にアクセスできるようにしました。
発売されましたら、ぜひお手に取ってみてくださいね。