ツッコミでマスター?「意味順」で英文を書くきっかけを掴もう!【後編】

目次



みなさんこんにちは!増進堂・受験研究社、編集部の永峰と申します。

今回は「意味順」のアプローチをご紹介する記事の「後編」となります!


「前編」の記事をまだ読んでいない方は、下記のリンクからご一読いただけますと幸いです。


さて、「前編」の記事では、英語における語順の重要性に触れつつ、「意味順」の成り立ちや「意味順」を用いて英文を作る基本的な方法をご紹介してきました。


「後編」となる今回は、そんな「意味順」を用いるメリットを大きく2つご紹介させていただくと共に、より実践的な「意味順」の活用法をご紹介できたらと考えております。

英文を「書く」のが苦手で、「どうやって書いたら良いのか分からない」「書き始めるきっかけが掴めない」という悩みを乗り越えるきっかけになれば幸いです。

また、同内容を扱ったセミナーのアーカイブ動画を、増進堂・受験研究社の公式LINEにて特別公開中です。良かったらこちらもご覧いただけますと幸いです。

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「意味順」のメリット①:日本語から英語に直感的に変換できる


「意味順」を活用するメリットの1つは、日本語から英語に変換するという本来なら難しい作業をより直感的にこなせるようになることです。

ここまでにも、語順に代表されるように日本語と英語の言葉のルールが大きく異なっているというお話をしてきました。

しかし、私たちの英語学習は、まず日本語が土台にあって、その上に外国語である英語を積み立てていくという形になります。

ですので、いきなり英語で考えるのが苦手であれば、まずは日本語ベースで考えてみる方が、スムーズに英文を作ることができるでしょう。

例えば、次の日本語を英文に置き換えるとします。


「私は毎週土曜日に、家でピアノを演奏します。」

この日本語をそのまま英語に置き換えるとなると、難しいと感じるお子様もいらっしゃることでしょう。

では、この日本語の文を、情報を前回の記事でも登場した「意味順」の表を使って、意味のまとまりごとに分類してみましょう。

すると、次のように日本語が入ります!

ここまでできたら、それぞれの日本語を英語に変換していきましょう。

これで元の日本語の文を英語にすることができましたね。

このように「意味順」のアプローチを使うことで、日本語と英語の「語順」の違いで戸惑って、英文を作れないというジレンマを解消することができるのです。

また、さらに複雑な英文でも、「意味順」の表にアレンジを加えることである程度対応することが可能になります。

例えば、接続詞が入る場合でも「玉手箱」を活用して、さらに表を2段にすることで表現できます。

このように表を自分なりにアレンジしながら、英文を作っていけるのも
「意味順」の 面白いポイントの1つではないでしょうか。

日本語の段階で英語の語順に合わせるひと手間を加えることで、日本語から英語へ直感的に変換することができる。これが「意味順」を活用する大きなメリットの1つです。

また、授業で「S」「V」「O」「C」を使った文法的な英文の構造を学んだお子様もいらっしゃることと思いますが、こうしたいわゆる「5文型」のフォーマットにも「意味順」は対応することができます。

いきなりSVOCで学び始めると、そもそもSってなんだっけ?Oってなんだっけ?というところで躓いてしまって、その時間のロスがすごく勿体ないです。

そうなるのであれば、「だれ」「する」といった直感的な日本語ベースで学習を進めることで苦手意識を少しでも払拭できるんじゃないかなと思います。

英語が苦手というお子様は、SVOCではなく、「意味順」を使って英語の学習を進めても大丈夫です。

「意味順」のメリット②:自分の苦手を可視化することができる


「意味順」を活用するもう1つの大きなメリットは、自分が英語の文を作成するうえで、どこで躓いているのかが明確になる点です。

「意味順」を提唱され、『中学 自由自在 英語』の監修者でもある田地野彰先生が、英文を作る上では「ヨコ軸」と「タテ軸」の2つの軸が存在していると述べています。

「ヨコ軸」は英文を形作るために必要なもので語順や文法などのルールを指します。

例えば、「意味順」の表のどの列にどの日本語(英語)を入れるかは、この「ヨコ軸」に関わる要素です。

一方で「タテ軸」は、英文を磨くために必要なもので、ここには文法や語彙などの表現のバリエーションなどが含まれます。

例えば、先ほど挙げた「We play soccer in the park after school.」の英文を語順や形を変えずに、時制だけを変化させたとしても、様々なバリエーションが作れますよね。

他にも単純に語彙のバリエーションを活用して、同様に文の形や順番などを変えずに様々な英文を作ることもできます。

この段階で例えば、「歌う」を表す動詞が分からず、表を埋められないという問題に直面した場合は、語彙のインプット量に課題があるということになります。

前編で詳しくご紹介したように、日本の中学生は「英語の文を書くのが難しい」という漠然とした苦手意識を抱えています。

こうした苦手意識を払しょくしていくためには、自分が何を、どのように克服していかなければならないのかを明確にすることが大切です。

英文の基本的なルールである「ヨコ軸」に課題があるのか、それとも語彙や表現のバリエーションである「タテ軸」に課題があるのか。

「ヨコ軸」での課題は、「意味順」の表を何度も何度も活用して、英文を作るトレーニングをしていくうちに解消されていくと思います。

「タテ軸」の課題は、語彙や表現のバリエーションを増やしていく、文法事項を確実に身につけていくことで改善されていくことでしょう。

「意味順」の表を用いると、自分が躓いた箇所が「ヨコ軸」と「タテ軸」の交点という形で明確になるので、ピンポイントで自分の課題が見えやすいんですね。

このように「意味順」はお子様の英語学習のロードマップを作成するのにも非常に役立つアプローチでもあるのです。

「意味順」はツッコミでマスターできる?


ここまで「意味順」の2つの大きなメリットについてお話してきました。

しかし、テストや試験で英文を書いたり、話したりするときに、いちいち表を書いている時間はないですよね。

ですので、ここからはより実践的な「意味順」の活用法を1つご紹介させていただけたらと思います。

テストや試験などで「意味順」を活用していくコツ、それはズバリ「ツッコミ」です。

「意味順」の表にある程度慣れて、その要素や順番がインプットされてきたら、それをベースにして「ツッコミ」を入れながら、自分の書きたい、話したい内容を展開することができるようになるのです。

まずは、この英文を見てください。


I go

これだけだと「私は行く」という意味になりますが、もう少し情報がないと何が言いたいのかは分かりませんよね。

そこで「ツッコミ君」に登場してもらって、関西弁でズバッとツッコミを入れてもらいながら、もう少し英文を膨らませていきたいと思います。

「ツッコミ君」は「だれやねん!」「なんやねん!」「どこやねん!」「いつやねん!」という「意味順」の表に即した4種類のツッコミができます。

みなさんなら、「I go」という未完成の英文を完成させるために、4つのうちどのツッコミを入れますか。少し考えてみてください。

この英文の場合は「go」という動詞がありますので、そう考えると「行き先」が気になりますよね。

ということで「どこやねん!」のツッコミを入れてあげてください。

すると、「どこ」に当たる英語が英文に追加されます。

I go to the aquarium.

これで「私は水族館に行きます。」という意味の英文になりました。

でも、この英文もう少しだけツッコめますよね?


そうなんです。

この英文にはさらに「いつやねん!」というツッコミを入れてあげることもできます。

そうして、「いつ」に当たる英語を書き加えてあげると次のように英文が完成しました。

I go to the aquarium on weekends.

これで「私は毎週末、水族館に行きます。」という英文が完成しました。

こんな風に主語と動詞だけの状態からツッコミを入れながら情報を足していくことで、英文を作ることができるんですね。

他にもこんな英文であれば、どうでしょうか。


She is

「She is」という未完成の英文ですが、これだけだと「彼女は~です。」という意味なので、やはり通じませんよね。

ですので、ここにツッコミを入れていきたいと思います。「ツッコミ君」にはどのツッコミを入れてもらえば良いでしょうか?

そうですよね、やっぱり「だれやねん!」はツッコんでおきたいところです。

このツッコミを入れると次のような英文を作ることができます。

She is Yumi.
She is Judy.


Sheつまり「彼女」が「だれなのか」という情報が加えられたことにより、意味が通じる英文になりましたね。

他にも「なんやねん!」というツッコミを入れてあげても良いと思います。

この場合は、「医者」や「学生」のような彼女を説明する単語が入って、次のように英文が完成します。

She is a doctor.

She is a student.


このように、英文に欠かせない「主語」と「動詞」の情報を書き、そこからツッコミを入れながら不足している情報を後に続けていくことで、英文を完成に導いたり、膨らませたりすることができるんですね。

しかも「ツッコミ」を入れながら、英文を作るのはすごく楽しいですよね。

英文はコース料理?


「前編」から続いて、ここまで読んでいただきましてありがとうございます。

中学1年生になると、本格的に英語の規則や文法を学ぶことになり、英語の文を話したり、書いたりすることに苦心しているお子様も多いと思います。

私が中学生の頃は、中学1年生になってから英語学習がスタートでしたが、単純な文法問題は解けても、英作文のような自分で英文を書かなければならない問題になると途端に頭を抱えていたのを今でも覚えています。

以前に「意味順」を提唱されている田地野先生のセミナーを拝聴した際に、「日本の英語教育では始点と終点が見えない。」と仰っていたのが、印象的でした。

つまり、文法表現を学んだり、語彙をインプットしたりしていても、それが英語学習の全体像で見たときに、どのパーツに当たるのか、どう役立つのかが見えにくいということです。

また、田地野先生は、英語学習を「西洋料理(コース料理)」に例えておられます。

フランス料理のコースは一般的に次のように順番が決まっています。

この順番というのが、まさしく英文を作る上での基本的なルールや語順の話です。

そして、魚料理や肉料理、デザートなどのそれぞれの要素のバリエーションが語彙や表現、文法ということになります。

このように英語学習を概観で捉えることで、自分が今何のために語彙を増やしているのか、はたまた文法の勉強をしているのかが明確になるのも「意味順」の強みではないでしょうか。

私は中学生時代にこんなことを考えながら英語の勉強をしていませんでしたが、これを知っていれば、もっと効率よく、そして楽しく英語を学べたんじゃないかな…と思います。

ぜひ、今、中学生のお子様には、「意味順」のアプローチを学習に取り入れていただいて、苦手の克服や学習計画の構築に役立てていただければと思います。

最後に宣伝になりますが、弊社、増進堂・受験研究社から発売している『中学 自由自在 英語』は、田地野彰先生監修の元、「意味順」のアプローチを積極的に取り入れた中学3年間通年で使える学習参考書となっております。

ぜひ、こちらもお近くの書店等でお手に取ってみてください。

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