英単語を効率よく覚えられる?例文に隠された〈ギミック〉に挑め!/manavi探偵団 Case. 1.0

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Case. 1.0 manavi探偵団が挑む,はじめての「謎」

とある学校の片隅にある小さな教室。

そこではmanavi探偵団が日々活動している。

manavi探偵団には,2人の「探偵」がいる。

名探偵に強い憧れを抱く少年「ポワ太」と,ミステリを読むのが大好きな少女「ミカン」。

彼らは学校の生徒や地域の人から依頼を受けて,「謎」を解明するべく活動している…らしい。

なお,彼らのもとに届いた依頼はまだないそうだ。

ある日,そんな彼らのもとに1人の生徒から依頼がやって来る。

それは,manavi探偵団が挑む,はじめての「」だった……

ミカン,話は聞いたよね?

この学校では,最近,英単語の小テストで高得点を取る人が続出しているらしい。

英単語を覚えすぎて,寝言が英単語になったり,日常会話が「Classroomlunchtogetherしない?」みたいになったりしている人がいるとかいないとか。

それは,ちょっと大げさじゃない?

まあ,みんながそれだけ英語の勉強を頑張ったってことなのかも。

僕もがんばっているけど,英単語なんて全然覚えられないよ?

Youはもっとhardにstudyしないと……

あれ?まさか…?

ああ!また我慢できなかった!

最近,気がつくと,mouthからEnglish wordsが飛び出してしまうの。

大変だ。もう,これは「謎」という他ないよ。

近頃,何か英語の勉強で変わったことはなかった?

Well…,そう言えば,周りでこの英単語帳がすごく流行ってるの。

私もmy friendに勧められて1冊買ったんだけど。

ふむふむ。どうやらこの本に「謎」がありそうだね。

名探偵の僕に解けない「謎」はない!

でも,そんなのどうやって調べるの?

本を作った人に直接聞くってわけにもいかないし……

そのまさかだよ。直接問い詰めるんだ!

ちょうど,最後のページに,この本を作った会社の名前も書いてあるし。

ジュケンケンキュ……。

受験研究社」って書いてあるね。

よし,そうと分ければ,今すぐに行って,謎を解き明かそう!

記念すべきmanavi探偵団,最初の「事件」だ!

ほんとに大丈夫なの?

……でも,ちょっとワクワクしてきた。

Case. 1.5 manavi探偵が解き明かす,例文に隠された〈ギミック〉とは?

manavi探偵団としてのはじめての活動

それは,学校の英単語の小テストで高得点を取る人が続出するきっかけとなった1冊の本の「謎」を追うこと。

本の名前は『中学 英単語2100』

その紙面に〈ギミック〉が隠されているのではないかと考えた2人は,
放課後,学校を飛び出し,この本を作った人のもとへと向かう

彼らは,無事に「謎」を解き明かすことができるのか……

僕は名探偵だ。この本の「謎」を解きに来た!

受付の人,ポカンとしてるじゃない。

すみません,あの私たちこの本を作った人とお話をしたくて…。

私のことかな?

ハッ!「犯人」はあなただ!名探偵の勘がそう言っているぞ!

いきなり失礼でしょ!

あの,あなたがこの本を作った人ですか?もしそうなら,少しお話を聞かせてもらえないでしょうか?

いかにも。もちろん疑問にはすべてお答えしましょう。

ありがとうございます。

それで,かくかくしかじか…。

なるほど。

この本を使う人が増えてから,英単語を覚えすぎて,思わず口から飛び出してしまうと。

フフフ…すべて私の計算通りですね。

やっぱり「犯人」はあなただ!

それで,この本にはどんな秘密があるんだ!?

すべて話してもらうぞ!

この本にはいくつかの〈ギミック〉が仕掛けてある。

英単語を効率よく覚えるための
〈ギミック〉だよ。

すべて話してしまうのは簡単だけど,それじゃあ面白くない。

君たちには,この〈ギミック〉を暴いてもらうことにしよう。

一体どんな〈ギミック〉なの…?

ここに4つの見出し語をピックアップしてある。

ここには,人間の記憶のメカニズムを応用して,覚えた英単語を忘れないようにするための〈ギミック〉を仕掛けてあるんだ。それが何かわかるかな?

名探偵に解けない謎はない!絶対に解き明かしてみせるぞ!

※読者のみなさんも紙面を見ながら一緒に考えてみてください。

名探偵の僕が思うに,4つの単語の背景色がカラフルでとても見やすいと思うんだ。

赤,青,オレンジ,白…。単語ごとに違う背景色にして,視覚に訴えかけて,記憶させているんだ!

単語ごとに色を変えたら,逆に目がチカチカするじゃない!

う~ん。でもなかなかhardね。

重要なところが赤色になってるのは,どの英単語帳でもだいたい同じだし。

この〈ギミック〉は僕の「灰色の脳細胞」をもってしても,難しすぎる…。

少しヒントがあってもいいと思うんだ。

フフフ…。少し難しすぎたかな。

少しだけヒントを出しましょう。

「changeに注目せよ!」だ。

changeに注目だって!?やっぱり僕の推理で正解じゃない?

change → ~を変える → 色を「変える」
= カラフル

謎はすべて解けたぞ!

あなたは少し色から離れなさい…。

むむむ…。でもよく見ると,4つの見出し語の例文すべてにchangeが出てきてるね。

最初の1つは,そもそも見出し語がchangeだから当たり前だけど。

あっ…。まさか!

先に見出し語で登場したchangeを,あとのdecideやaction,socialの例文の中でも使ってある!

しかも,socialのところでは,見出し語のときと違う品詞(名詞)で使われてる!

こんなの…忘れた頃に単語の意味を復習できてしまうじゃない!

まさか,この〈ギミック〉が見破られてしまうなんて…。

なぜ,こんなことを……。すべて話してもらいますよ。

Case. 1.9 manavi探偵が聞き出す,英単語を効率よく覚えられるワケとは?

ついに,紙面に隠された〈ギミック〉を見破った2人。

この本を作った編集者は語り始める。

この〈ギミック〉に隠されたねらいとは?

そしてそれを実現するまでのプロセスとは?

みなさんは「忘却曲線」という言葉を聞いたことがありますか?

忘却曲線って?

忘却曲線というと,エビングハウスのものが有名ですが,カナダのウォータールー大学が2013年にそれを応用して「最適な復習のタイミング」についての研究結果を発表しました。

出典:https://uwaterloo.ca/campus-wellness/curve-forgetting

この研究においては,講義の内容を復習しない場合,30日後にはその内容のほとんどを忘れてしまうこと,一方でその忘却を定期的な復習によって緩やかにできることに言及されています。

でも,定期的な復習が知識の定着のために大切だと分かっていても,家庭学習で復習の計画を立てて,それをきちんと遂行するって難しいと思うんだ。

確かに頭ではわかっていても,なかなか計画通りにはいかないですよね。

そう!だから単語集を前に前に進めていくと,無意識のうちに過去に覚えた単語の復習ができるようにしたかったんだ!

なるほど。それがあなたの「動機」なんですね。

でも,どうやってこんな大掛かりな〈ギミック〉を?

それはもう,例文漬けの毎日だったよ…。

思えば,いつでも最適な例文を作っている自分がいたような気がする。

ご飯を食べながら,お風呂に入りながら,夢の中でもね…。

なんてhardな…。例文と向き合い続けてきたんですね。

作った例文は表計算ソフトで管理して,過去の単語がきちんと使えているかどうか確認をしながら,できるだけ多くの単語とその使い方をカバーできるように調整も加えていったんだ。

編集者が実際に使用していたファイルの一部

他にも,君たちは気づいていたようだが,見出しのメインの意味以外の意味や品詞,関連情報ないの表現(イディオム)を盛り込もうとしたのもこだわりポイントだ。changeを見出し語のところでは動詞として取り上げながらも,あとの例文でsocial changeと名詞として取り上げたようにね。

前に前に学習を進めていくと,新しく覚えた単語の数が増えるだけでなく,これまでに覚えたはずの単語の復習もできて,自然に英単語が定着していく。なんて「罪な」英単語帳なんだ…。

ともあれ,これで一件落着だね。

効率よく覚えられるのは,とても嬉しいし,〈ギミック〉さえ分かれば安心して使えるよ。

フフフ…。

なぜ笑ってるんだ!?

この本に仕掛けた〈ギミック〉が1つだけだとでも…?

な,なんですって!?


つづく……

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