「エネルギーの未来を描く」ために大切なことはなんでしょうか?
こんにちは。manavi編集部です。
今回も東京理科大学 工学部電気工学科 准教授の山口順之先生にお話を伺っていきます。
前回のインタビューでは、「大学での研究活動に必要な力」についてお話しいただきました。
また、電力システムに興味を持ったり、学んだりしたい方へ向けたおすすめの本や映画も紹介されていますので、合わせてご覧ください。
連載最終回の今回は、エネルギー問題に関する質問を通して、家庭でエネルギー問題を話題にし、お子様の気づきや学びにつなげるためのヒントを探していきたいと思います。
それでは山口先生、よろしくお願いいたします。
先生のご専門である「電力システム工学」、そして「エネルギー問題」は、地球規模のグローバルな研究課題です。とはいえ、私たちが住む日本以外の状況は、想像しづらいものがあります。
そこで第4回最初の質問は「エネルギー事情における日本の特徴」や「外国との違い」についてお聞きしていきたいと思います。
エネルギー問題に関して、諸外国と日本とで異なる点などあれば教えていただけますでしょうか。
日本は、エネルギー資源に乏しい島国で、しかも人口が1億2千万人もいる大きな先進国です。これは世界的に見ても珍しいと思います。
大陸国だと、隣国と直接電気のやり取りをすることもできるのですね!
国内のエネルギー自給率が十数パーセントしかなく、ほとんどが海外に依存しているというのは衝撃です。
社会科ではこうした「日本の自給率」の話題や問題が取り上げられています。教科書や参考書での記載も多い「食料自給率」と比較してみるのも面白そうですね。
またお話にあった「国際連携線」も日本で暮らしていると想像しづらいシステムですよね。このように「自分たちの地域の特徴に気づくために、あえて地域外の情報を調べる」というのも学びの機会になるかもしれません。
続いての質問は、山口先生がご監修されている、経済産業省「未来の教室」STEAMライブラリーの講座についてです。
詳しくは、以下のリンク先をご覧ください。
「エネルギーの未来を描く:カーボンニュートラル社会実現のために」
コンテンツの統括責任者として、自らも講座にご出演なさっている山口先生ですが、どのような想いを講座に込められていらっしゃるのでしょうか。
先生がご監修されている、「未来の教室」STEAMライブラリーの講座もリニューアル公開されています。この講座を通じて、広く伝えたいことはありますでしょうか?
エネルギー問題は、自分たちの問題で、すべての人が解決に貢献できる問題であることを知っていただきたいです。
エネルギー問題に関する学びを通して、未来社会と、自分自身の生き方を思い描く講座なんですね!
山口先生は東京“理科”大学の先生でいらっしゃいますが、「暮らし・仕事・社会」の大切さを繰り返しお伝えいただきました。まさにSTEAM教育の「A」の部分、「Arts(人文社会・芸術・デザイン)」に相当する分野になります。理系・文系の括りに囚われない、幅広い視野を持ちたいですね。
お話で紹介されていた 「歌う大学教授」 川村康文先生には、manaviでもインタビューを行っておりますので、そちらの記事も是非ご覧ください。
さて、先生へのインタビューもいよいよ最後になります。
最後に山口先生から、家庭での親子の会話や、調べ学習の種になりそうな「問い」をお聞きしたいと思います。
ご家庭でエネルギー問題を考える際に考えてもらいたい「問い」はありますか?
ご自身のご家庭の電力消費はどのくらいでしょうか。詳しく調べると何かわかるかもしれません。
詳しくは、以下のリンク先をご覧ください。
「家電シミュレータ」
また、STEAMライブラリーコンテンツ「エネルギーの未来を描く」の水力、風力、手回し発電を実際にやってみたときに、どのくらいの発電できたのか、測り方を考えてみても良いですね。
買うと高いので、自分でどうやって測るか考えてみるとよいです。
たくさんの「問い」をありがとうございました!
山口先生、4回に渡ってありがとうございました。
今回のインタビューから、以下のような学びのヒントが得られたと思います。
・自分の将来を思い浮かべながら学びに取り組もう
・身近なことを考えたあとに、拡大して考えよう
STEAMライブラリーのコンテンツを「自分の将来のキャリアを思い浮かべながら学んでほしい」というお話にあったように、学びの先にある「こうしたい・こうなりたいという夢やワクワク感」は大切だと思います。
こうした夢やワクワク感は、長期的な取り組みに対するモチベーションになります。具体的な職業まではいかずとも「有名人の○○さんみたいになりたい」「漫画の○○みたいに暮らしたい」といった、人物像やライフスタイルを目標にしても良いかもしれませんね。
また「家電シミュレータ」のように「身近な話題に落とし込む」ことも学びを自分事にするヒントになると思います。
まずは身近なことで考えることで、具体的にイメージしやすかったり、課題点を見つけるための情報を整理しやすかったりします。一見理科の話題に見えるようなものも、社会や算数の話題からヒントを得るなど、考え方の枠組みを徐々に拡大して「STEAM」的に考えることも覚えておきたいですね。
今回の記事に関連したおすすめの書籍をご紹介させていただきます。
小学 クイズと絵地図で 都道府県基礎丸わかり
★この本では,はじめに日本の国土のありさま・地方・都道府県の順に,都道府県に関するいろいろな事がらを理解し,学んでいくことができます。
★日本の国土のありさまに関する学習事項は,山地や河川・湖などの地形に関することや気候について学習します。
★都道府県の学習では,イラスト満載の大きな絵地図で,観光地や特産品などがひと目でわかるようにしました。また,都道府県名や都道府県庁所在地名などをなぞって覚える問題や観光地や特産品・祭りの名称などを当てる問題を設けました。
★手軽に都道府県が覚えられる付録として,「都道府県ジグソーパズル」を付けました。
都道府県の特徴を楽しく学べる一冊、『小学 クイズと絵地図で 都道府県基礎丸わかり』をご紹介させていただきました。
本書では各都道府県の河川や地形などの地理的な情報に加え、名産品や歴史なども学ぶことができます。イラスト満載で視覚的ですので、初めて都道府県を学ぶお子様にもおすすめです。
川やダムがないところで水力発電はできません。エネルギー問題のみならず、人々の暮らしに密接した話題と向き合うとき、その地域固有の事情を考慮する必要があると思います。
本書をきっかけに、お子様が土地や地域に着目して考えられるようになっていただけたら幸いです。