【第1回】「分かる」の意味を研究?川村康文先生が語る科学教育の魅力

どうすれば,子どもの本当の意味での「分かった!」を引き出せるんでしょうか・・・。


今週から4週にわたって東京理科大学の川村康文先生にお話を伺っていきます。


川村先生には、弊社の『科学のなぜ?新事典』の監修を担当していただきました。


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小さなお子様は,好奇心旺盛で身近な物事に「なぜ?」「どうして?」といった疑問をたくさん抱いています。


その疑問を持つ姿勢を肯定し,涵養していくことを目指し,「なぜ?」を「分かった!」へと導くための全く新しい理科事典として発売されました。


そんな川村先生に,今回はご自身が専門とされている「科学教育」という分野の面白さについて解説していただきました。


保護者の皆さまは日頃、お子様の学習をサポートしていて,本当に「分かって」くれたのだろうかと疑問に感じることはありませんか?


どうすればお子様が真の意味で「分かった!」に辿り着けるのか?


これはすごく難しい問いですし,お悩みの方も多くいらっしゃることと思います。


川村先生の「科学教育」のお話はまさしくそんな悩みを抱えている方にこそ読んでいただきたい内容です。


それでは先生,よろしくお願いいたします。

■ 科学教育の研究とは?


「科学教育」という言葉だけを聞くと,学校現場などで科学について教えることというような印象を与えますよね。


しかし、 川村先生は少し違った視点から研究されているようです。


まずは、川村先生の専門である科学教育について,一体どんな研究をしているのかお聞きしてみました。


川村先生の専門分野では,どのような研究をしていますか?

科学の内容が「分かる」というのはどういうことか,という研究をしています。

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人間は,これまで,五感をフルに活用して,自然のなぞを解き明かし,自然の猛威に対してきました。

現在でも,自然の猛威にはまったく手がでないというのが現状ではありますが,それでも,1つずつなぞを解き明かし,少しでも安全で安心な生活を送れるように,自然を研究してきた歴史があります。

自然を解明するという研究のうち,物理学の分野を中心として,人類がこれまでに獲得した知見を,次世代のみなさんに,どうわかりやすく説明するかの研究を続けています。

よく,「分かった!」と言いながら,自分で観察できなかったり,問題が解けなかったりする場合があります。

印象としての「分かった」ではなく,科学を科学者に近い目線で「分かった」と言えるようにする方法を研究しているのが私の研究です。


■ 「分かった!」に出会える面白さ


「分かる」とはどういうことなのか?その意味を探っていくかのような試行錯誤を,科学の分野において繰り返しているのが川村先生の「科学教育」研究なんですね。


では,次に先生がご自身の研究のどこに面白さや魅力を感じているのかについてもお話を伺ってみましょう。


先生の専門分野である「科学教育」の面白さを一言でいうと?

人がちょっと難しいと思うことを,みなさんが,「分かった!」と言ってくれ,役に立てたと充実感を感じる時です。

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科学の知識のなかには,なかなか人に理解されない内容が多くあります。

そのような理解困難とされる内容を,人の理解の道筋を明らかにしながら,その検証を行っています。

同じ学年でも,こんな風に授業をしたら理解されたけれども,ちがうように授業をしたら理解されなかった,ということを丹念に比較しながら,「きっとこうすればもっと理解されるはずだ!」という仮定をします。

内容を理解してもらうために立てたその仮定が検証(実証)されたときに喜びを感じます。

自分がこうすれば理解してもらえるだろうと仮定して設計した授業や教えた方で,子どもが「分かった!」に辿り着いてくれた瞬間に,それまでの様々な試行錯誤が報われるのです。

これが,科学教育の分野の面白さだと思います。


■ 他の研究分野との違いや関連は?


人がどのようにして物事を理解するのか?


どうすればより理解しやすくなるのか?


これって心理系の学問や研究の内容にも関連しているように思えますよね。


第1回の最後に、「科学教育」についての特徴をより明確にしておくために,関連分野との関係や違いについてお話を伺ってみました。


関連する分野との,似ているところ・違うところを教えてください。

認知心理学ですね。人がものを感じ,理解する過程を研究する心理学です。

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認知心理学も,「分かる」ということはどういうことなのかを追求する学問です。

科学教育においても,認知心理学的アプローチがよく用いられます。概念の構成について研究する分野は共通ですね。

人工知能などの研究でも,両分野の研究者がいます。科学教育の分野は,この「分かる」ということを共通にあつかいつつも,科学の最先端の内容理解などもあつかうという点で,認知心理学とやや独立した分野といえます。

このように人間の「理解」を扱う学問はいくつかあります。他にも,脳科学,学習科学,心理統計学など・・・。

もし,「分かる」ってどんなことなんだろう?と疑問に思えたら,科学者たちが多様な方法で研究していることを思い出し,図書館の「教育」「心理」などの本棚を眺めてみてください。

お子様を「分かる!」に導くヒントが隠されているはずです。


■ 学びのヒント

川村先生ありがとうございました。


今回は「科学教育」の研究の概要や魅力についてお話を伺ってみました。


学びのヒントとしては「お子様が心の底から『分かった!』と感じる瞬間こそが学びの喜びである」という点でしょうか。


試験のための学習を指導・サポートする中で,「分からないままでもとりあえず覚えておきなさい!」と理解させることから逃げるような発言をしてしまうことがあります。


しかし,これは本当の意味での「学び」ないし「学びの喜び」からお子様を遠ざけてしまう発言です。


試験のために知識や技能をどんどんとインプットしていくことも大切です。


ただ,そこにこだわりすぎるのではなく,時にはお子様と一緒に「なぜ?」と感じたことについて本気で語り合い「分かった!」に辿り着く瞬間を与えてあげることも同じく大切なことです。


今回の川村康文先生のお話の中にもありましたが,「教育」「心理」などの本はチェックしてみると良いかもしれませんね。

■ おすすめの本

関連書籍

科学のなぜ?新事典

c§?a-?a?(R)a??a??i 1/4 ?ae?°a??a?,お子様は身の周りのすべてに興味や疑問身の周りのすべてに興味や疑問をもち,「なぜ?」「どうして?」と聞きたくなるものです。

そんな「なぜ?」を「わかった!」へと変えていくことで、お子様の成長を促す全く新しい理科事典が誕生しました!

詳しくはこちらから


今回,インタビューにお答えいただいた川村康文先生監修の参考書です。



『科学のなぜ?新事典』は様々な「なぜ?」にヒントや答えを提示していくという疑問解決式で構成された全く新しい理科事典です。


お子様の本棚に1冊入れておくと,お子様の様々な疑問にご対応できるかと思います。ぜひ書店等でお手に取ってみてくださいね。

今回の賢者

川村 康文

東京理科大学理学部教授。

京都教育大学卒業。高等学校に勤務しながら,京都大学大学院エネルギー科学研究科博士課程修了。

NHK Eテレ「ベーシックサイエンス」監修・ガリレオ先生として出演。「所さんの目がテン!」など科学番組に多数出演。パナソニックセンター東京リスーピア監修者。

川村先生の詳しい情報はこちらから

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