ご家庭の方針もありますが、「約束を守る」「役に立つ喜びを感じてもらう」ことを体験してもらうチャンスです。
お手伝いは自発的にする子に育てたいので、家庭内で決まり事として実践したくない、とおっしゃる方がいます。
確かに、本来は自分で「お母さん、何か手伝おうか?」と言える子にしたいですね。
ただ、これはやはりハードルが高いです。
その難しさの原因は以下の2つが同時に揃っている必要があるということです。
(1)何をすれば相手が助かるのかという「知識」
(2)お手伝いをした方がいいと判断する「状況理解」
(1)についてですが、この知識は辞書のような知識ではダメで、いわゆる「実践的知識」と呼ばれるものになります。
つまり「実際にやってみることで理解すること」です。実際にお手伝いをしてみて、その行動が「褒められる」と子どもが感じることが大事です。
お手伝いとして有益な「行動」の見通しができるくらいまで、お手伝いを「経験しておく」という必要があります。
(2)についても、(1)ができることが前提で、行動を「今すべきなのか」という判断をすることになります。
つまり、(2)の力だけを磨くということは普通はあり得ません。
まず、(1)について理解できるように、何をしてもらったら保護者の方が喜ぶのかを体験させることが重要です。
そのためには、「お手伝いの約束」という形で、生活の中にお手伝いを入れていきましょう。
例えば「新聞をとってくる」「食事の後にお皿をキッチンに運ぶ」などです。保護者の方が「ありがとう」と言ってくれるというのは、何事にも勝る動機づけになります。それを、最初は「約束」ということで決めることも、きっかけづくりにはちょうど良いのです。
他にも、「お父さんが朝ご飯を食べる前に、新聞を持ってきてあげてね」という約束をしたとしましょう。
最初は、周囲の人が「お約束、してくれる?」のような補助的な声掛けも必要なことがあると思います。しかし、繰り返していると、徐々に自発的にできるようになってきます。
ただし、一点だけ注意点があります。
本来、お手伝いなどは、他者がどのような状況なのかを考慮して、何をしてあげたら喜ばれるかと判断することが求められます。
ですので、「約束したことしかしない」という態度はNGです。
約束をする⇒約束を自発的にできる、という具合にお手伝いが定着してきたら、約束していること以外でも、「〇〇をしてくれるかな?」と、徐々にお手伝いのバリエーションを増やしていきましょう。
何事も固定させ過ぎないようにすることが大事です。そのうち、自分で状況判断ができるようになります。その時は、その成長を褒めてあげてください。