子どもたちはごっこ遊びを通じて、想像力はもちろんのこと創造力を鍛え、言語能力を発展させ、社会性を身につけます。
ごっこ遊びとは,ある物を別の何かに見立てたり,自分自身が別のものになりきったりして遊ぶという、こどもの遊びの一種を指します。3歳から小学校低学年くらいまでがその全盛期とされています。
では、ごっこ遊びを通じて得られる力は何なのでしょうか。
ごっこ遊びを通じて、最初にも述べたように、子どもたちには主に3つの力がつくと言われています。
まず、創造する力です。大人のしぐさや行動のまねをすることから始まり,次第に、「今・ここ」を超える想像力を駆使して、独自のストーリーや役割などを生み出します。
こうして、子どもたちは、新しいものを生み出す力を身につけていきます。
また、ごっこ遊びは、目の前に実際にはない場面や事物をイメージし、別のものに見立てたり、ふりをしたりするという象徴機能の発達を促す遊びの典型例です。
この「象徴的遊び」には、ブロックを使ってロボット等を作る遊びや劇遊びなども含まれています。
加えて、象徴機能の発達は、言語の習得と重要な関わりがあります。場面や役に合わせた言葉を話すことは、言葉に対する感覚や語彙を豊かにするのです。
よって、ごっこ遊びを通じて子どもの言語能力の発展も期待できるというわけです。
さらに、ごっこ遊びは、人とつながるきっかけにもなります。
ごっこ遊びを始める以前の子どもは、他の子と同じ空間にいても一人で遊ぶ様子が見られます。
しかし、ごっこ遊びを通じて、それぞれのイメージを相手に分かるように表現し、共有して、共通のストーリーやルールを作り始めます。
また、いろいろな役になって遊びながら、自分とは違う他者の視点や感情を味わうこともできます。
こうして、協調性や共感する力など社会生活をする上で欠かせない能力を身につけていくのです。
ここで、ごっこ遊びの代表であるおままごとを通じて、子ども達の成長の過程を見てみましょう。
おままごとを始める第一段階では、子どもは、自分の家族の口調をまねるなどしながら、自分のイメージを表現します。
そこに、友達が加わることで、友達の持つイメージと交わり、新たな世界を知ります。このように、友達とイメージを交えることで、人と関わり、社会に触れます。→社会性
また、友達に自分のイメージを伝えようとすることで、言葉の伝え方を学び、話すことに積極的になります。→言語能力の発展
そして、交わったイメージによって広がった世界の中で、独自のストーリーや役を生み出していくのです。→創造力の向上
このように、子どもの成長に欠かせないごっこ遊びを充実させるためには、保護者の方の力が必要です。
ごっこ遊びの最初は、大人のまねをすることから始まります。まねをするということは学ぶということです。
ですから、ごっこ遊びを始める最初の段階では、保護者の方が関わることで、子どもの世界が広がり、学ぶ機会がぐんと増えます。ぜひ、子どもの世界観を壊さないよう留意しつつ、一緒に遊んであげてください。
また、子どもが実際に様々な経験を重ねることも大切です。
ごっこ遊びのきっかけにもなるように、一緒に絵本を読んだり、外に遊びに行ったりと、たくさんの経験をさせてあげるのも、保護者の方の大切なお仕事です。