こんにちは。NEXT LEARNING Labsの岡田です。
朝夕、涼しくなってきましたね。皆さん、お元気に過ごされていますか?
今日は、先日プレスリリースをしました「なぜ?プロ」というイベントについて書いていきます。
こちらのイベントですが、もうご確認いただけましたでしょうか?イベントの詳細は以下のリンクからご確認ください。
この企画は年齢不問で、どなたでもTwitter上でご参加いただけます。
簡単に言いますと、Twitterでハッシュタグ「#受験研究社なぜプロ」をつけて、みなさんの日常の何気ない科学の「なぜ?」をツイートしていただくという趣旨になっております。
そして、今回のイベントのゴールは「みんなの科学の『なぜ?』という疑問を集めて、それを出版しよう!」というものです。
読者参画型イベントですので、皆さまの積極的な参加をお待ちしております。
そしてツイートしていただく「なぜ?」ですが、もちろん何でも疑問を投げかければ良いわけではありません。最低限のルールがあります。
これらは、対象外となります。この中で、今日は(4)について触れたいと思います。
実は、科学と科学じゃないものを区別する基準は研究者の中でもいろいろ議論が存在します。
学問領域としては「科学哲学」「科学基礎論」という分野があります。
これらの分野では科学として成立するとはどういうことか・・・というような難しい議論が為されています。
今回は長くなってしまうので、その詳細について書くことはやめておきましょう。
ここでは、一言で言うと、「科学的かどうかとは、実験や観察や計算を通じて、確認できること」と一旦決めておきます。
あるいは、確認できそうな見通しが立つ場合(実際にまだ実験方法が確立されていなくとも、近い将来に確立されそうだと信じることができそうな場合)も、科学的と言っていいこととします。
例えば、次のような文章は科学的でしょうか。
(ア)はどうでしょうか?確かめればいいだけなので、科学的、と言えるのではないかと思いますよね?
ところが、フランスは民主主義の国なので、国王はいないのです。昔は居たんですけれどね。
つまり、この世の中にいないものについて、それがどうなっているのかを観察しようとしてもできません。
そういうものは、虚構(きょこう)とかフィクションと言われます。
これは「ペガサスって本当は何色なの?」と尋ねるのと同じです。空想の話は科学的ではありません。
(イ)については、確かめるような内容でしょうか?
独身者という言葉の意味の中に「結婚していない」という意味が入っています。
つまり、辞書に書かれている意味を書いているだけで、それは実験や観察によって正しいか間違っているかが確かめられるような文章ではありません。
これも科学的とは言えません。
(ウ)これは確かめられそうですね!確かに、「明日は雨が降る」は確かめられます。また「明日は、雨は降らない」も確かめられます。
しかし、文章が「どちらかだ」となっているところに注目です。
言うまでもなく、どちらかになるのは「当たり前」のことですよね。
各々の事柄であれば、科学的に観察することができるのですが、合わさって、「どちらか」と言われると100%どちらかになってしまう。
文章全体では、観察しなくても、絶対に「どちらかにはなる」ので、これも科学的とは言えません。
(エ)これは、宇宙の端まで行ってみて観察すればいいのかもしれませんね。
でも、そこまで行けるというのは本当に「宇宙の端」なのでしょうか?逆に端はなく、どこまでも果てしないのでは?
これは、例えば、死後の世界についても同じような問いをたてることができます。
カントという哲学者は、このように人間が考えてもどちらとも言えないようなことがらを、「アンチノミー」(二律背反)と名付けました。
つまり、この「なぜ?」は人間の科学や技術では到底議論できないのです。
このように科学的ではない問題というのは、いくつもあります。
これは科学で解決することが少ないというのではなく、世の中の疑問や「なぜ?」の中には、科学とは別のものがある、ということです。
では、科学以外にある「なぜ?」とは実際はどんな問いでしょうか?
私が小さな頃、よく両親に尋ねた質問は、「なぜ、2人は結婚したの?」でした。
答えは「お父さんのことが好きだったからよ。」というものでしたが、この場合の「好き」っていうのが良く分からなかったんでしょうね、その頃は。
人が何かをする時に、周囲の人が「なぜ、それをしたの?」と尋ねることがあります。人が何かをするには、原因があったり、理由があったり、目的があったりします。あるいは、好みなど。
A君が夜中にラーメンを食べたとします。
翌朝、「どうして夜中にラーメンを食べたの?」と尋ねられて、「お腹が空いて眠れなかったから」という答え方もあるでしょう。
「ラーメンが好きだから」、「ラーメンを食べているのを母親に見つかると叱られるので、夜中にこっそり食べた」という答え方もあるかもしれません。
一つの行動に対しても、その理由はいくつもあるものです。これが、個人的なことで、他の人に当てはまらないなら、それは科学ではありません。
科学的であると言えるためには、「確認ができそうであること」というのがありました。
たまたま偶然に起こったことは、次に起こりそうかどうか分かりませんので科学的ではありません。
また、一人の人に当てはまって、他の人に起こりそうにない場合も科学的とは言えません。
一人の人に当てはまったことでも、条件が揃えば他の人にも起こることが分かっているものは、もしかしたら、科学的な問いになるかもしれません。
例えば、夜中にお腹が空いてラーメンを食べたくなる場合が他の人にもあるのであれば、それをもっと深い「なぜ?」にするのです。
つまり、A君だけが夜中にラーメンを食べたくなるのではなくて、他にも、Bさんも、Cさんも…結構多くの人が夜中にお腹が空くということが調査で分かってきたら、「なぜ、夜中にお腹は空くのか?」という問いが立てられます。
また、ラーメンを食べる人が多いということが分かれば、「なぜ、夜中にお腹が空いたら、ラーメンを食べる人が多いのか?」という問いを立てることができます。
「なぜ、夜中にお腹は空くのか?」という問いに対しては、「消化」という人体についての科学の研究が答えてくれるでしょう。
「なぜ、夜中にお腹が空いたら、ラーメンを食べる人が多いのか?」というのは、もしかしたら、夜中だからお店が開いていない場合が多く、簡単に調理して食べられるものとして、インスタントラーメンが普及しているから…というような現代社会についての調査が答えになるでしょう。
このように、A君の行動についての問いだけでは科学的ではなかったものが、ちょっと問い方を変えてみると、科学的になったり、社会の問題になったりするんですね。
科学だけではなく、他にも私たちは様々な「なぜ?」を使って、疑問を解決しています。
また、ちょっと問い方を変えるだけで、様々な「なぜ?」があることも忘れないでいただきたいポイントです。
世の中に、様々な学問がある理由はこれです。学校で、科学(理科)だけではなく、数学や国語、社会や家庭科などを学ぶ理由も、そうです。
ぜひこの機会に「科学のなぜ?」というのはどういうものかを、改めて考えてみてください。
科学的な問題と、そうではない問題と、区別して使いこなせると、もっと勉強も楽しくなると思いますよ。
そして思いついた「なぜ?」をぜひハッシュタグ「#受験研究社なぜプロ」をつけてツイートしてみてくださいね!
科学のなぜ?新事典
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