子どもたちがこれからの社会で輝くために求められることって何なのでしょうか?
今週からは、新しい賢者の先生にお話を伺っていきたいと思います。
インタビューにお答えいただいたのは、小金丸大和先生です。
先生は、演出家、劇作家、脚本家、音響監督、漫画原作者などエンタメ業界でマルチな才能を発揮し、ご活躍されています。
また、TBSでドラマ化もされた『ハンマーセッション!』や「月刊ヒーローズ」に連載されていた『VOICE CUSSION』などの漫画の原作を担当していたことでも知られています。
また、 小金丸先生は近年、大学や専門学校で講師を務められたり、劇団で演技指導をされたりと、後進の教育にも力を入れておられます。
そこで、今週から4週にわたって、小金丸先生に芸能の世界で求められる力や姿勢、さらにはそこから一般化して、子どもたちがこれからの社会で活躍するためにどんなことを身につければ良いのかについてお話を伺っていけたらと思います。
第1回となる今回は、確固たる「自分」を持つことというのが大きなテーマになってきます。
ぜひぜひ最後まで読んでみてくださいね。
それでは小金丸先生、よろしくお願いいたします!
記事の冒頭で、「演出家、劇作家、脚本家、音響監督、漫画原作者など」と先生が多様なお仕事をされていることをご紹介しました。
これを見ると、一体どんな活動をしているのか?と疑問に思う方も多いのではないかと思います。
第1回記事の最初の質問なので、小金丸先生の紹介も兼ねて、活動の内容について、まずはお聞きしました。
小金丸先生は普段、どのような活動をされているのですか?
舞台の演出やTVの脚本・漫画の原作執筆です。最近では大学や専門学校で講師の仕事もしています。
芸能関係の仕事であれば、どんなことでも!な勢いで様々なことに取り組まれているんですね!
お子様の話に置き換えると、勉強や習い事に関して、あまり手を広げすぎると、「浅く広く」になってしまうと懸念される保護者の方もいらっしゃると思います。
しかし、小金丸先生は、多岐にわたる芸能関係のお仕事をされていますが、どんどんと自分の活動範囲を広げることで、むしろご自身のキャラクターを確立していっているように見受けられます。
例えば、2015年から「月刊ヒーローズ」にて連載されていた小金丸先生原作の漫画『VOICE CUSSION』は声優を題材に扱っています。
読んでみると分かるのですが、この作品は声優や声優の養成に通じていないと描けない世界観や物語を扱っています。
そんな作品を描けるのは、小金丸先生が単なる漫画の原作者としてだけではなく、「声優や俳優の養成所のプロデュース」のお仕事をされているからですよね。
つまり、たくさんのことに手を出し、経験することは、むしろ自分だけの「武器」を作ることになるわけで、同時に「自分」という存在を確立していくことにもつながっています。
1つのことを極めるというのももちろん大切なことです。
一方で、たくさんのことを経験し、それらを組み合わせることで自分にしか作れないものを作り出したり、自分にしかできない活動を見出していくことも非常に大切なことであり、これからの社会で求められることです。
そういう意味でも、小金丸先生の現在のお仕事についてのお話は非常に興味深いものに思えます。
先ほどは、先生の現在の活動についてお伺いしました。
次は、もう少し踏み込んだ質問をしてみようと思います。
本当に芸能分野の様々なお仕事に取り組まれている小金丸先生ですが、ご自身のお仕事に喜びや楽しみを見出す瞬間ってどんな時なのでしょうか。
現在の活動の中でどんなことに対して「面白さ」を感じますか?
自分の面白いと思う事を沢山の人に見て貰えること。そしてそれを通じて、たくさんの人と出会えることでしょうか。
なるほど。「他人との出会い」が先生の活動の原動力となっているんですね。
自分の活動や作品を自分だけが知っているという状態では、もちろん何の広がりもありません。
しかし、それらが「他者の視点」に触れることによって、その可能性は一気に増幅していきます。
子どもたちにとって、自分以外の他者がいて、そして考え方や価値観が異なっているのだと実感することはとても大切です。
そして他者と関わるということは、同時に他者と比較して相対的に「自分」を見る視点を獲得するということでもあります。
その視点の獲得が、自分にしかできないことや他者との協働の中で自分が果たすべき役割を考えていくことにもつながります。
「他人との出会い」がお子様の成長においても重要な役割を果たすということを念頭に置き、そのための機会や環境づくりを保護者の皆さまがサポートできると良いですね。
ここまで、小金丸先生のお仕事やそれに対してどんな「面白さ」を見出しているのかについてお聞きしてきました。
最後に、大学や専門学校で講師や劇団の指導をされている先生に、教える上で、どんな力を身につけて欲しいと願っているのか?についてお聞きしてみました。
演劇での役者さん・声優さんの育成にあたって、先生が心がけていることは何ですか?
自主性・自己哲学を育てること。オリジナリティのあるクリエイターに育てること。この2点でしょうか。
どんな状況でも見失わない確固たる「自分」を持っていることが大切なんですね!
アーティスト、クリエイターとして活動していくとなると、当然自分の世界観を持っていることは必須です。
しかし、これはアーティストやクリエイターに限った話ではありません。
日本では、協調性を美徳としてきたというと聞こえは良いのですが、とにかく空気を読んで、周りに合わせるという風潮が非常に強いです。
だからこそ、今、学習指導要領で「主体性」という言葉が強調され、そんな風潮を教育現場から変えていこうという方向に進んでいます。
確固たる「自分」を持つことというのは、頑固やわがままとは異なります。
桐蔭学園の溝上慎一氏は「自分」を持つこと、つまり主体性を持つあるいは主体的な学びについて以下のように解説しています。
「自分」を持つというのは、きちんと自分のやりたいことやビジョンを持って他者と関わるということです。
小金丸先生も先ほど「他人との出会い」が面白いのだとお話されていました。
自分のビジョンや考え方で相手に影響を与えたり、逆に相手の意見や考え方に影響を受け、それを自分に還元していく。
そういう自主性と独自性を兼ね備えた人こそが、これからの社会で求められるのではないかということを見据え、小金丸先生は講師や指導の活動に取り組まれているということですね。
小金丸先生、ありがとうございました。
今回の「学びのヒント」としては、やはり「『自分』をしっかりと持つことが大切」という点が挙げられると思います。
クリエイターやアーティストに限らず、これからの社会で求められるのは、滅私奉公することではなく、むしろ「自分」のビジョンや考えをしっかりと持って他者と協働することです。
そして、そうなるためには小金丸先生のお話にもあった2つのことが大切です。
様々なことを経験し、様々な人の考え方に触れることで、「自分」というものの輪郭が徐々に見えてきて、やがて確立されていきます。
自主性・独自性・主体性が大切だといわれる中で、子どもにどうすればそれらを身につけさせられるか?とお悩みの保護者の方は、ぜひ今回のインタビューの内容を参考にしてみてください。
今回の記事に関連したおすすめの参考書・問題集をご紹介させていただきます。
増進堂・受験研究社から発売中の『自由自在』シリーズには「自由自在引き学習法」というものがあります。
これは、中部大学の深谷先生が提唱されている『自由自在』シリーズを活用して、主体的に自主学習を進めるメソッドです。
『自由自在』シリーズは、授業で学習する基礎的な内容から、難関校受験レベルも超える発展的な内容まで幅広く収録しております。
そのため、⼦どもたちの「もっと知識を広げたいという好奇心」を満たしてくれます。
自分から「知りたい」「学びたい」という主体的な自学の姿勢をお子様に身につけさせるには、本書とそして「自由自在引き学習」を推奨します。