保護者は何をしたらいい?正頭先生に聞いてみた!

目次





こんにちは。manavi編集部です。

2021年夏に行われた保護者向けオンラインセミナーの内容をお届けしています。

前回の記事では、実際に保護者の皆様から寄せられた質問の中から、「○○が苦手!」「○○を身につけたい!」というお子様にどうしたらいいのか、正頭先生からのコメントをご紹介しております。

第3回では、保護者の「○○したい!!」というアクションに関する質問、「こんなことが悩み」という話題をピックアップしてご紹介いたします。

セミナー内での正頭先生のコメントを紹介しながら、保護者はどのように環境づくりを行っていけばよいのかを考えていきます。

是非最後までお読みください!

子どもの成長に合わせるにはどうしたらいい?

学校や家庭で幼児→児童→生徒と発達に合わせて環境をどう変化していけたらよいか?

環境は一概には言えないですけども、幼稚園児、小学生、中学生、高校生みたいなことでざっくり分けるとします。

基本的には幼児が一番完成形であるという前提で、その後は「何を大人がしないようにするか」ということが重要じゃないかなと思っています。

続きはコチラ

幼稚園児くらいの子どもたちは「何で何で?」といった感じで、自然といろいろなことに興味関心を持って、目をキラキラさせながら取り組めると思います。

「今から説明するね。」なんて言おうものなら、5秒で飽きるのも幼稚園児です。とにかくやってみること、体験を欲している。どんなことにもチャレンジするし、疑問に思ったことは「なんで?」とすぐ言えるんですよね。

この状態が一番素晴らしいなあと思っているし、「何で?」と言えるということは、セミナー冒頭でもお伝えした、問題発見力と通じるところがあると思っているので、幼児が一番の完成形であるということなのです。

一方で、「なんでなんで?」といろいろなことに対して言える中高生は想像しにくいと思います。1クラス40人とか30人いる中で、そういう子どもたちって多分1人か2人くらいでしょう。

幼稚園児はほとんどみんながそんな感じなのに、高校生になると、多くの子ができなくなるということは、何かのきっかけでその力が奪われていったということです。

大事なのは、「何をして」その力が奪われていったのかをちゃんと洗い出すことです。幼児の状態から高校生になるまでいろんなことへの探究心や興味を持ち続ける力をキープするためには「何をしないか」を考えることが重要だと僕は思っています。

これまでの教育は何かしらで与えすぎたのだと思います。その結果、得られた力も確かにありますが、探究力とか疑問を持つ力とか、知的好奇心といったものが失われてきたんじゃないのかと私は捉えています。

できるだけいろんなことを体験させてあげて、いろんなことに興味を持たせてあげて、「スピード・ポジティブ・ハイテンションフィードバック」なんかを駆使しながら、ある意味で幼児のときの考え方とかメンタリティー・知的好奇心みたいなものが、中学・高校まで続いていくといいと個人的には思っています。


子どもの質問に答えてあげたいけど…

子どもの「どうして?なんで?」の質問にどう答えたらいいのかわからないとき、どうすればいいのか?

なるほど、これもよく訊かれる質問ですね。

子どもに「なんで?」と訊かれたときには、先ほども言った「スピード・ポジティブ・ハイテンション・フィードバック」がよいと思います。「それはまた後でね。」とは言いません。どんなことに対しても、ポジティブに反応する、できるだけハイテンションで返答する、ということをまず前提とします。

子どもの「なんで?」にも程度があると思います。例えば「今日の晩御飯は何?」「カレーだよ。」「なんで?」と言われても、あんまり理由なんかないですよね。基本的には、次の3つに分けると良いでしょう。

続きはコチラ

(1)「調べてみようか。」という返答パターンです。
(2)「作ってみようか。」というパターン。
(3)「試してみようか。」です。

調べてみようか。作ってみようか。試してみようか。この3パターンで落とし込んでいくと、いいかなと思います。

で、この3パターンで落とし込めないものに関しては、基本的には質問をしてくれたことが面白いよとか、そういった質問に興味を持てたことって素敵なことだねとか、なんでなんだろうね、というようなことを言いながらも適当にあしらわないような形で、やさしく寄り添いながら巻き取っていくということが重要かと思います。

これが大変で、全国の保護者の方が悩んでいるところだと思いますけども頑張ってください。応援しています。


これだけは家庭学習で!というものはある?

我が家の子ども達は、それぞれのフリースクールを利用しながら、自分達の好きなことを追求する学びを実践しています。(正頭先生の「やめる勇気」という言葉に背中を押して頂きました(^ ^))

そんな中で、これだけは勉強しておいた方が良いと思われること、また家庭で親ができることについて、アドバイスをいただければ嬉しいです。

中学生・高校生ぐらいだと仮定してお話させて貰いますね。

中学生・高校生ぐらいで絶対に押さえていた方がいい勉強があります。むしろ価値観の話になりますが「お金」です。お金の価値観を正しく捉えるように教えてあげることはすごく重要だと思います。

続きはコチラ

一番ダサいなと思うのは夢とお金どっちが大事みたいな議論なんですよね。大人だったらわかると思うんですよ。両方大事だって。

生活して稼いで子どもを養っていくという状況になってはじめてお金の大切さがわかるものですよね。でも、こういう価値観を中学生とか、高校生のうちから学んでいくということはすごく重要だと思っています。

お金がこの世の全てだとか、お金よりももっと大事なことがあるとか、そんなに両極端なことではなくて。お金は自分の夢を叶えるための必要な道具でもあるし、これから一生付き合っていかなきゃいけない道具でもあるんですよね。

だからそこに対して正義とか悪とか善いとか悪いとかという感情ではなく、それを正しく使わなければいけない、あるいは正しく稼がなければいけないツールなんだというように、お金についての価値観をきちっと教えておく方がいいかと思っています。

お金に関する話題はすごくセンシティブな内容でもあるので「お金を稼ぐにはこうだ」だとか「お金の価値観はこうだ」といったことを、学校では教えることが非常に難しいです(とはいえ、逃げてはいけない問題だとも考えています)。

ですから、ご家庭で保護者が子どもと一緒にお金の価値を考えていくことはとても大切です。

私はお金を捉えるときに、あなたが一番大事にしたいものを守るために必要な道具だと言っています。

例えば家族が一番大事だったら家族を守るために、お金というのは必要になる。 プロ野球選手になると決めたら、どうしてもお金が必要になってくる。道具を買ったりだとか勉強しに行ったりだとか、練習時間とか食費を稼ぐとか。

お金がすべてじゃないけれども、あなたが一番大切だと思っているものを守るために、お金は必要なんだよと、子ども達には言います。


小学校入学前にやるべきことは?

小学校入学前に経験しておいた方がいいこと、親が意識したほうがいいことはありますか?小学校の先生からの視点をお伺いしたいです。

私の中では単純な結論があります。「好き」が多い方がいいと。「何が好き?」とたずねられたときに「あれが好き。これとそれも好き。」のように、たくさん答えられる子がいいなと思っています。

小学生では、好きがものすごく言える子と、あんまり言えない子は確かにいるんですよ。そこの違いはやはり体験の量の違いだと思います。

さっきお見せした、「感じる力」がやっぱり弱いと思うのです。理由としては「観る」が、ちょっと少ないからじゃないかなと感じるので、出来るだけいろんな体験をさせてあげると言うことの方が重要じゃないかなと思っております。

好きが今の段階であんまり言えないということであれば、「何が好き?」と聞くのではなく、いろんなことを体験させてあげたらいいと思います。そうすると相対的にあれと比べたらこれが好きみたいなことが言えるようになります。一旦子どもが好きと思い込んでしまうとこれは強い。

好きなことがたくさんあっても否定されるのが嫌で言えない子もいますよね。否定されない、つまり「スピード・ポジティブ・ハイテンション・フィードバック」でお父さん、お母さんが返してくれるっていうのは、暖かい空気感が出ると思います。もちろん、言葉で言えなくても「好き」を心の中にたくさん持っている子でもいいのですが。

保護者として、自身の学びを習慣化したい

3人の子育てをしている母親です。地方在住で、自分の学生時代は全く英語も留学も遠い世界の出来事と思って過ごしました。

今、子どもたちが英語を学び始め、ぐんぐん吸収して行く様子を見て、40代だけど親もステイホームを機に語学にチャレンジを始め、現在4ヶ月目に入りました。

毎日の仕事、育児、家事にくじけそうになります。親世代が学びを習慣化するコツをぜひ教えてください。

素晴らしいですね。『英語の教科書』という本の中にも書いたんですけども、「子どもを変えたければ、まず大人が変わっていきましょう。」と常々思っています。

「じゃあ、大人の変え方ってどうするんですか?」と聞かれたときには、「習い事をしてください。」と言っています。

続きはコチラ

日本人は、子どもの習い事率は多いですが、大人の習い事率は非常に低いです。つまり、大人は習い事をしないけれども、やたら子どもには習いごとをさせているのです。それで子どもが習い事から学ぶことがあるのかな、と私は不思議に思っています。

ですので、是非大人が習い事を始めていただきたい。出来るだけ苦手なこと、絶対ビリになるようなものをやってください。例えば運動をしばらくしていないのなら、マラソン大会とかに出てみる。そして、できないという劣等感・コンプレックスを味わってみてください。子どもの気持ちが分かると思います。

私も学生時代にやっていたというのもあり、社会人のバスケットボールチームに所属しています。30代半ばの私が、ダンクシュートを決める20代前半の人もいるようなチームにいきなり入りました。足を引っ張りまくりです。はっきり言ってビリで厄介者です。「なんでうちに入ってきたんだよ。」とまでは言われていませんが、そう言われても文句言えない状態です。

ある時、年下の子から言われた「ドンマイ!」という一言に無性に腹が立ったことがありました。「はあ?こんだけ頑張って一生懸命やってんねんぞ?」と。

そしてふと「教室で私が声かけしているのは、もしかしたらこういうことかもしれない。」と思ったんです。

だから、頑張ってもなかなか結果が出なくて悔しいなって思っている子に対して、「頑張れ」って先生や大人が言ってしまうと、「うるさい!黙ってろ!」と反抗するんです。そりゃそんな風になるよなと、私自身が実体験で思いました。

大人が習い事でそういう体験すると、子どもに対する接し方や見方も変わってくると思います。

さて、質問に話を戻して、毎日の仕事育児家事にくじけそうになるので学びを習慣化するコツを教えてくださいということですが、洗濯、料理、お風呂といった、「毎日のルーティンの中に英語学習を組み込んでいく」というのが良いと思います。

例えばお化粧が10分かかるとしますよね。その10分間は、お化粧しながら音読をする時間にしておく、あるいはお風呂に入る時間が15分ぐらいなら、その15分間は絶対英語の音楽を聴いて、それを一緒に歌うようにする、といった具合です。

洗濯→英語学習→掃除のようにしてしまうと、相当意志が強くない限り続かないと思います。洗濯しながらやる。休憩時間はダラっとする。でも、掃除しながら英語学習。

毎日の仕事の中に英語学習を組み込むんでルーティン化してしまうことがおすすめです。


正頭先生ありがとうございました。

今後も受験研究社では、ご家庭での学びに役立つ情報の発信、学びにまつわる疑問や悩みを考えるためのオンラインセミナーを開催予定です。是非チェックしてみてください!

⇨受験研究社のオンラインセミナーについてはこちら

最後に、今回のセミナーでも話題にあがった正頭先生の著書を紹介させていただきます。

関連書籍

世界トップティーチャーが教える 子どもの未来が変わる英語の教科書

詳しくはこちらから

連載記事一覧