先生が日本語教師の道を選んだ背景にはどんな思いがあったのでしょうか?
今週も前週から引き続き石川陽子先生にお話を伺っていきます。
石川先生は、株式会社エルロン代表取締役、そして日本語講師としてもご活躍されています。
日本の企業で働く外国人を対象とした、社会人基礎力養成を取り入れたビジネス日本語カリキュラムを作成し、大手コンビニ、国立大学等にて授業を実施などに取り組まれてきました。
前回のインタビューの中では、「やさしい日本語」というキーワードが挙がりました。
「やさしい日本語」というのは、東日本大震災をきっかけに弘前大学で研究された、日本語に不慣れな外国人でも理解しやすい言語体系です。
石川先生は、そんな「やさしい日本語」を活用し、増加傾向にある日本の外国人労働者や学生のサポートに取り組んでいます。
今回は、そんな先生がどんな経緯で今の道を選んだのかについてや学生時代の経験やエピソードについてもお伺いしました。
職業・進路選択や子どもたちの学習環境についても役立つヒントがたくさん込められたインタビューになっていると思いますので、ぜひご一読ください。
それでは、石川先生よろしくお願いいたします。
さて、前回の記事でもお話しいただいたように石川先生は日本語教師としてご活躍されています。
そんな先生が、日本にいる外国人に日本語を教えていく必要性を感じたのは、どんな経験があったからなのでしょうか。
石川先生はどういった経緯で、日本語教師の道を選んだのでしょうか?
今から9年ほど前、人材派遣会社の人事部で採用担当をしていたのですが、その際に、外国人の方の面接を担当したことがきっかけでした。
外国人の労働者が増えていくと、今後そういったサポートはより一層必要とされていくように感じますね!
セメントプロデュースデザインの金谷先生への賢者のインタビューの中でも、社会の変化に伴ってこれまでにはなかった仕事や役割が求められるようになるというお話が挙がりました。
石川先生が日本語教師の道を選んだきっかけにも、外国人の労働者が日本国内に増えてきたという背景があると感じます。
お2人の話からも感じ取れることですが、ぜひとも子どもたちには社会の動きや変化に敏感になっていただき、その中でどんな課題があって、何が求められているのかを自分なりに考えてみる癖をつけていって欲しいですね。
さて、先ほどは先生が日本語教師の道を選んだきっかけについてお話していただきました。
次に、もう少し遡りまして石川先生がどんな学生時代を過ごしていたのかについて伺ってみようと思います。
どんな学生時代を過ごされましたか?
私は、お恥ずかしながら勉強が得意ではなかったため、勉強を頑張ったというエピソードがあまりないのですが・・・。
日本で働いたり、学んだりする外国人をサポートしたいという「誰かのために」の精神は学生時代の取り組みの中で育まれていったのですね!
自分の物事への取り組み方や姿勢というものは、一朝一夕に変えられるものではなく、時間をかけてゆっくりと経験の中で形作られていくものです。
石川先生が外国人の労働者が日本の社会への適応に苦しんでいる様子を見て、すぐに自分が何とかしなければ!と行動に移すことが出来たのは、学生時代の経験の積み重ねの中で「誰かのために」の姿勢が確立されていたからなのだと思います。
学生時代の学びや経験というのは、自分の姿勢や基礎教養といった「体力」を身につけていくために大切なものです。
そんな「体力」が備わっていれば、「きっかけ」が巡って来た時に、そのチャンスを掴み取ることが出来るのではないかと、石川先生のお話から感じました。
学生時代のお話を伺う中で、「誰かのために」行動するという姿勢が育まれていったのだと感じました。
そんな数々の学生時代の経験の中で、今先生が取り組まれている日本語教師という仕事に直結するようなものはあるのでしょうか。
学生の皆さんや保護者の皆さんにとっても1つの「ヒント」になると思い、お伺いしました。
学生時代の勉強や経験で、今のお仕事に役立っていることはありますか?
「役に立っている」と言っても、反面教師のようなお話で恐縮なのですが・・。
ご自身の学生時代の苦い経験から、「学ぶ環境」が大切だと思い至ったのですね!
このお話は、家庭学習を進めていく上でも非常に重要なことですね。
先日、名門指導会の先生にオンライントークセッションを実施していただいたのですが、その中で新型コロナウイルスの影響で子どもたちが家庭で過ごす時間が増え、勉強が上手くいかなかったり、親子関係がギスギスしたりという問題が起きているという現状が話題に挙がりました。
これも、「学ぶ環境」というものが学習者にとっていかに大きな影響を持っているかを表す例ですよね。
石川先生が学生時代に経験されたエピソードもそうですが、やはり叱られてばかりいると、どうしてもナーバスになってしまい、勉強に向かうモチベーションが低下してしまいます。
いきなり「学ぶ環境」をガラッと変えることは難しいかもしれませんが、10回叱っているうちの1~2回褒めてみるくらいの小さなことからでも取り組んでいければ、学習者のモチベーションや勉強に向かう姿勢は変わっていくはずです。
石川先生、ありがとうございました。
今回の先生のお話の中でのSDGs教育に関する「学びのヒント」としては以下のことが挙げられると思います。
(1)社会の変化に敏感になり、常に問題意識や課題感を持つことが重要である。
(2)学習者にとって「学ぶ環境」はモチベーションを大きく左右する要素である。
既存の問題や課題をいかに迅速かつ正確に解決に導けるかが、これまでの価値基準では重視されていました。
しかし、近年は問題や課題そのものを見つけることができる力の重要性が認識され始めています。
日本における外国人労働者や学習者の増加というのは、1つの大きな変化であり、それに伴いこれまでには生じ得なかった問題や課題が見えてくるでしょう。
石川先生が選んだ日本語教師として、外国人をコミュニケーション面からサポートするというのも1つのソリューションです。
変化に敏感になり、何が求められているか、何が必要とされるかを自分なりに考えられる人がこれからの社会では「活躍」していくのではないでしょうか。
一方で、先生がご自身の学生時代の経験談としてお話してくださったことにも重なりますが、学習者にとって「学ぶ環境」の持つ影響力は非常に大きいです。
特に、今は新型コロナウイルスの影響で、家庭での学習環境も大きく変化し、学習者にとっても厳しい時期だと思います。
そんな時期だからこそ、今一度、保護者間で、そして親子で話し合う時間を持ち、家庭での学習環境がどうすれば良くなっていくのかを考えていきたいですね。
自発的な学び、能動的な学びには、「学びたい」と思わせる環境が何よりも大切です。
今回のインタビューの内容が、これからのお子様の学びを考えていく上で、一助になれば幸いです。
今回の記事に関連したおすすめの参考書・問題集をご紹介させていただきます。
小学 まとめノート 敬語と言葉のきまり
○基本からわかりやすくていねいに解説しているので,敬語や文法が苦手でも最後まで学習を進めることができます。
○学んだ知識をすぐに確実に身につけられるように,わかりやすい解説の下に練習問題を用意してあります。
今回のインタビューの中で、日本の社会的な慣習や文化を知らなかったがために、自分の能力を発揮しきれなかった外国人のエピソードが挙がっていました。
それに関連して、大切なのは「敬語」の文化ではないでしょうか。
大人でも間違った敬語を用いてしまうことが時々ありますが、誤用次第では相手を不快な気持ちにしてしまうこともあります。
ぜひ、そんな「敬語」の基礎をお子様に学んでほしいと思いますし、これは外国人学習者にも役立つものだと思います。