【第3回】「やりたいこと」が見つからない?まずは「好きなこと」と向き合ってみよう!

子どもが自分の「やりたいこと」が見つからなくて、悩んでいるようです…。


今週も引き続き、有限会社セメントプロデュースデザイン 代表取締役を務め、「ものづくりプロデューサー」としても活躍されている金谷勉先生にお話を伺っていきます。



4月1日に『企画~流通をツナグ!工場と職人とモノづくりをプロデュースする現場とは』と題しまして、金谷先生にオンラインセミナーを実施していただきました。


その際、平日の午前中の時間帯にもかかわらず、たくさんの方にご覧いただきまして、進路について考えておられる学生の方々にも多くご参加いただきました。


そこでお話させていただいた内容をより多くの人に届けたいという思いもありまして、今回はそんなセミナーの内容を全4回に分けて、皆さまにお届けできればと考えております。


この記事は第3回となります。第1&2回では先生の「ものづくりプロデューサー」の概要や商品の届け方を作るという意味での「デザイン」についてお話していただきました。



第3回となる今回は、先生の学生時代のお話を伺いつつ、いつどうやって自分の「やりたいこと」を見出していけば良いのか?といった話題についてお答えいただきました。


やりたいことがなかなか見つからなくて悩んでいる学生の方やそんなお子様を持つ保護者の方には、ぜひ読んでいただきたい内容です。

それでは、金谷先生よろしくお願いいたします。

中高生のうちに自分の「やりたいこと」は決まってないとダメ?


今回のインタビューでは、進路や職業選択が話題の中心にあります。

しかし、中高生だけでなく大学生でも、まだ自分の「やりたいこと」をはっきりと決められていない人は多いのではないでしょうか。

そこで、金谷先生の学生時代のエピソードやいつ今の職業に就こうと決めたのかについてお話を伺ってみました。

ここまでの(第2回までの)お話を聞いて純粋に疑問に思ったのですが、なぜこの職業に就いたのですか?

そもそも企画会社に行きたいなぁという思いは大学時代から考えていて、でもどこにあるのかが全く分からなくて…。

企画というのは、どういった「企画」でしょうか?

その時は、漠然と自分で考えて、何か面白いことができる会社に行けたら良いなぁ…という感じでしたよ。

デザイン会社や企画会社はたくさんありますよね。例えば、環境設計に取り組まれている街づくりの企画会社ですとか、あとはカタログを作っている会社もあれば、商品を作っている会社もあります。

当時は、とにかく片っ端から、そういった企画・デザイン系の会社に応募して、その中の1社に入社しました。

そこは、カタログやフライヤーなどの印刷物のデザインがメインの会社だったかと思います。

その会社で業界のことについて、徐々に知るようになっていき、考え方も変わっていきましたが、自分の根底には常に「自分で何かを作ってみたい」という思いがありましたね。

なるほど。「自分で何かを作ってみたい」という気持ちもそうですが、私は若い頃、よく妄想をしてました(笑)

それは分かります(笑)

大学に入った時に周囲の人からすごく影響を受けたり、触発されたりして妄想していたような気がします。

私の通っていた大学が、校門も校歌もなくて、作りたければ自分たちで作りなさいという自由自治の精神だったんです。

大学祭でも儲けるための店というよりは、自分たちがやりたいことを主張・発信するという空気が強かったんですよ。

そこで、様々な人の作ったものを見て、妄想を膨らませているうちに、自分も作る側に行きたいと思えたのは、大きな変化でした。

金谷先生のお話を伺っていると、大学時代に様々な人から影響を受けたり、触発されたりして、ご自身の考えがどんどんと変化・成長していったということが伺えます。

一方で、中学・高校生にとって、何かそういったきっかけに出会うためのヒントはあったりしますか?

また、自由自治で、何でも学生が主体になって作り上げていく校風の大学だったということですが、それを求めて進学されたのですか?

また、そうであれば、そこに至るまでにどんなきっかけがありましたか?

現役生時代は、とりあえず漠然といわゆる「つぶしが効きそうな」大学や学部を受験していました。

ですので、ここに受かりたいというのは、特になかったんですよ。今思うと、現役時代に合格できなくて良かったです。

そして、浪人時代に、上野千鶴子さん(現在は東京大学名誉教授。当時は京都精華大学の教授を務めていた。)のセミナーを浪人時代に聞いたのですが、その話が猛烈に面白かったんです。

それで猛烈に引き込まれてしまって、初めてこの大学に行きたいと思ったんですね。

浪人時代は、親の反対を振り切って、その大学だけを受験しました(笑)

なかなかのチャレンジャーですね!(笑)

先生のお話を伺っていて感じたのは、初志貫徹の人もたくさんいますが、その一方で多くの学生は自分のやりたいことを明確に持てていないように思います。

ただ、それは決して悪いことではないんですよね。

そう思います!

「夢を持て!」なんて言われてもなかなかはっきりと持っている人は少ないですし、夢がコロコロと変わることだってありあますよ。

ただ、金谷先生にとっての上野千鶴子先生との出会いのような「きっかけ」って明日やって来るかもしれないし、もしかすると今日やって来るかもしれません。

ですので、どんなボールが自分のところに飛んできても対応できる準備はしておく必要があると思います。それは、基礎学力や教養を身につけておくということでもあるでしょうか。

18歳で明確に道が決まっていなくても良いのだと、先生のお話を伺いながら、再確認しました。

その通りだと思います。

例えば、宇宙に関わる仕事がしたいから、宇宙飛行士になると明確にゴールを決めたとしましょう。もちろんその子は、そのための努力をするわけですが、もし仮になれなかったときに、宇宙飛行士に自分の「やりたいこと」を限定してしまっていると、挫折感も大きくなってしまいます。

でも、宇宙関係の仕事ということであれば、視野を広げてみると、天体望遠鏡のメーカーだってそうですよね。

そういう意味でも、まず自分の「好きなこと」にしっかりと向き合うことも大切だと思います。それが「やりたいこと」にも繋がっていくはずです。

自分の「やりたいこと」がいつ決まるかは人それぞれだと思いますし、決まっていないことに焦りすぎる必要はないと思いますね。

自分の「好きなこと」を掘り下げて学ぶ姿勢や基礎学力といったものを身につけておいて、「やりたいこと」が見えた時に、果敢に飛び込んでいけるように準備しておくことが大切ですよね。

「ものづくりプロデューサー」に求められる力って?


先生はここまでのお話にも挙がっていたように「ものづくりプロデューサー」としてご活躍されています。

では、そのお仕事をする際に、どんな力が必要とされているのでしょうか。お伺いしてみましょう。

金谷先生のような仕事をやってみたいという方に、どんな力があって欲しいですか?

学生の方によく伝えるのは、次の2つのことですね。

まず1つ目は、自分の脳みそに投資をすること

単にお金をかけるということではなく、美味しいものを食べる、きれいな景色を見る、映画を見る、本屋に行くといったことです。

社会人になると、なかなか時間が取れなくなっていくので、学生のうちに豊かな体験や経験をたくさん蓄積していってください。

自分は、社会人になっても、毎日違う路線で会社に通勤していたんですよ。時には自転車で通勤したりもしましたね(笑)

それは、毎日違う景色を見て、違う人と出会って、自分の感性を磨くためでした。

なるほど。

もう1つは、縦・横・斜めの人間関係を作るということ

縦=先輩や後輩、横=同級生、斜め上=先生、違う業種の人たち、斜め下=子どもたちのことをそれぞれ表しています。

こういった人脈の広げ方をすることで、自分が「やりたいこと」「作りたいもの」を実現するときに、大きな助けになるでしょう。

ワークショップやセミナーに参加しているような意欲的な高校生たちに話を聞くと、「家族や学校の先生以外の大人と話す場がない。」ということを言っていました。

ただ、そういった出会いが自分の視野をより多角的にしてくれるので、そういった機会を提供できれば良いなと思いますね。

金谷先生から見た今の学生

ここまでお話していただいたような経緯を経て、企画やデザインの世界でご活躍されている金谷先生。


そんな先生は、今の中高生や大学生に対してどんな印象を持っておられるのでしょうか。

金谷先生から見て、今の学生にどんな印象を抱いておられますか?

良く思うのは、「もっとフルスイングしてほしい」ということでしょうか。

野球で例えると、学生世代は大人と比べて技量がまだまだ及びませんからカーブのような「変化球」は得意ではないでしょう。ただ、「球威」では圧倒的に優位です。そして「球威」は年齢と共に衰えていきます。

だからこそ、若い世代には、そういった「勢い」や「熱量」をもっと前面に押し出して、正解か間違いかを気にせずに物価ってほしいですね。

インターネットやスマートフォンが普及したこともあって、学生世代の方々が、中途半端に知識や小技だけは持っているということもあるのかもしれませんね。

そうなんですよ。

ですので、どっかで見たな…な安パイに甘んじることなく、もっと思い切ったことをやってほしいと思っています。

例えば大学祭に自分サークルや仲間と店を出すとして、普通であれば、フランクフルトを売るといった店を出店すると思います。

ただ、自分の通っていた大学は一風変わっていて、1万円か5千円ほどかかるテントを借りて、そこにドラム缶を置いて風呂屋をしている人がいたんです(笑)

入浴1回300円。

“儲ける”を超越して、自分のやりたいことをフルスイングしている感じが良かったですね。

こういった学生ならではの「勢い」と「熱量」に裏打ちされたことを、全力でやって欲しいと思っています。

なるほど。熱量も商品を支える大切な要素ですよね。

学びのヒント

金谷先生、ありがとうございました。


今回の先生のお話のポイントをまとめると以下のようになるかと思います。


今回のポイント

(1)自分の「やりたいこと」がいつ決まるかは人それぞれなので、焦って1つに決めようとするのではなく、それに出会えた時に迷わず掴みに行ける「体力」を身につけておこう!

(2)自分の脳みそに時間やお金を投資しよう!また「斜め」の人脈を作る努力をしよう!

(3)学生時代はとにかく「熱量」と「勢い」で自分のやってみたいことをフルスイングしよう!

学生時代には、周囲の人たちが、「やりたいこと」を明確にしているのに、自分はまだフラフラとしていることに、ついつい焦りや不安を感じるものです。

しかし「やりたいこと」にいつ出会えるかは、人によって違うものですし、その時期が早ければ良いというわけではありません。

早く出会える人ももちろんいるでしょうし、明日出会える人もいるかもしれません。あるいは、今日出会うのかもしれません。

ただ、出会えたとしても自分に基礎学力や一般教養といった「基礎体力」が備わっていないと、そのチャンスを掴めない可能性があります。

だからこそ、「やりたいこと」に出会った時に、それをしっかりと掴めるように、基本的な知識や技能を日頃から身につけていく癖は大切です。

また、金谷先生も述べたように、中高生ないし大学生のうちは、失敗を恐れて守りに入るのではなく、思い切って「勢い」と「熱量」で自分の思うがままを形にしてみようとする姿勢も大切です。

間違いかどうかや失敗するかどうかを気にするのは、思い切ってやってみてからで良いと思います。

金谷先生へのインタビューは次週が最終回となります。


最終回では、先生の考えるこれからの社会のビジョンや、オンラインセミナーへの参加者からの質問への回答をいくつかご紹介したいと思います。

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今回の賢者

金谷 勉

有限会社セメントプロデュースデザイン 代表取締役/クリエイティブディレクター
企業の広告デザインや商業施設のビジュアル、ユニクロ「企業コラボレーションTシャツ」、コクヨの博覧会「コクヨハク」、星野リゾートアメニティ開発のディレクションなどに携わる。
テレビ番組『ガイアの夜明け』(テレビ東京系列)などでも取り上げられ、注目を集めた。

金谷勉先生の詳しい情報はこちらから