子供が勉強に関係ないことに没頭してしまうんですが,どうしたら良いでしょうか?
今週も引き続き,東京理科大学の川村先生にお話を伺っていきたいと思います。
第2回となる今回は,川村先生の学生時代のエピソードに焦点を当てて,インタビューをしていきます。
前回ご紹介したように先生は「科学教育」を専門とし,子供たちがどうすれば「分かった!」という感覚に辿り着けるのかを研究されています。
一方で〈歌う大学教授〉としても知られ,YouTube等で自身の作曲した理科ソングを歌うなど個性的なキャラクターを持つ川村先生 。
そんな先生が一体どんな学生時代を経て,今に至ったのか?非常に気になるところですよね。
それでは川村先生,よろしくお願いします!
子供たちがどうすれば理科(科学)について楽しく,分かりやすく学べるのかを研究されている川村先生 。
なぜ、数ある研究分野の中で、今のものを選んだのか?そのきっかけがどこにあったのかをまずは伺ってみました。
どうしてこの分野を選ばれたのですか?エピソードなどあれば教えてください。
やはり,理科が大好きだったからです!
やはり「好き」が最大の理由なんですね!
良い先生に出会えたことも、今の研究に繋がっているように思えます。
子供の頃は身の回りのことには何でも好奇心を持って「これは何?」「なんで?」といった疑問を口にします。
しかし,それを理解して,支えてくれる指導者やアドバイザーの存在がないと,そういった疑問意識はどんどんと失われていくことが危惧されます。
川村先生も自分の幼少期に理科(科学)を好きになるきっかけを与えてくれた指導者の存在があったからこそ,今の「科学教育」という分野に惹かれていきました。
お子様の一番身近な存在である保護者の皆さまが,彼らの純粋な好奇心に対してどう向き合うかというのは,実はものすごく重要なことなんですね。
川村先生が夏休みの自由研究の参考になるような「面白い実験」を紹介してくださっている動画がYoutube上にアップロードされていますので,こちらもチェックしてみてください。
幼少期に理科を好きなるきっかけがあったということですが,となると音楽に目覚めたのは,学生時代ということになるのでしょうか。
次に,個性的なキャラクターを持つ川村先生が一体どんな学生時代を過ごしたのかについてお聞きしました。
先生は学生時代,どのような生徒でしたか?(得意・不得意,何にハマっていたかなど)
ジャパニーズ・ハードロックにハマっていて、ライブハウス巡りをしていました。
なるほど。どんなことであっても、それに向き合い続ける姿勢はすごく大切ですよね。
高校受験を控えた中学3年生や,大学受験を控えた高校3年生が部活動を引退して,一気に学力が向上するという傾向があります。
これはもちろん単純にそれまで部活動に充てていた時間を勉強に使えるからではあるんですが,理由はそれだけではないはずです。
部活動に一生懸命取り組んでいた子供たちって,その時点で川村先生も仰っている「目の前のことと向き合う」姿勢が出来上がっているんですね。
だからこそ,それを勉強に切り替えたとしても,目の前のやるべきことにしっかりと集中でき,必然的に学力も向上していくというわけです。
お子様が勉強にはあまり関係のないご自身の「好きなこと」に没頭してしまうことは,しばしばあると思います。
しかし,それは言い換えれば「目の前のことと向き合う」姿勢を身につけさせるチャンスでもあるはずです。
ぜひ,お子様の「好きなことに向き合う」時間を後押ししてあげてください。
学生時代は様々なことを学び,経験しますが,それが本当に社会に出たときに役立つのか?って半信半疑なところがありますよね。
そこで,第2回記事の最後に,川村先生が今の研究に取り組む中で,役立っていると感じる学生時代の勉強についてお聞きしてみました。
今役に立っている学生時代の勉強って何ですか?
ライブハウス巡りですね。勉強とはちがう!と言われそうですが,どんな経験も学習になります。
ここでも音楽が登場するんですね!確かに音楽ライブと授業って通じるものがありそうです。
川村先生のお話の中でライブハウスや音楽活動の経験が,創造力や表現力を培う糧になったという内容がありました。
人がどんな演出で感動し,考えるのかということは自分の感性だけでは意外と想像しにくいものです。
さまざまな演出の場面や芸術や映像(漫才やコントも)と出会った時に周囲の人たちの反応を観察する機会から経験的に学ぶからこその創造力・表現力の育成になるのでしょうね。
身近な自然を観察して育った川村先生は,後に科学教育研究という人間観察的な分野の研究に注目しました。
これが「観察→想像・創造・表現」という筋で,ライブハウス巡りや音楽活動の経験と一致しているというのはとても面白いですね。
川村先生,ありがとうございました。
今回は「科学教育」を研究する傍らで,音楽活動にも取り組まれている先生の学生時代のエピソードを伺いました。
学びのヒントとしては,次の2つのことが挙げられるのではないかと思います。
学習指導要領にも書かれている「生きる力」には,本当に多種多様な力が含まれています。
そのため,いわゆる「勉強」に関係ないことからお子様を遠ざけてしまうのではなく,お子様の好奇心や興味を後押ししてあげるような姿勢をとってあげることが重要になってきます。
川村先生が幼少期に出会った良き師のように,保護者の皆さまがお子様の「学び」を肯定し,ナビゲートする存在になれると良いですね。
科学のなぜ?新事典
お子様は身の周りのすべてに興味や疑問身の周りのすべてに興味や疑問をもち,「なぜ?」「どうして?」と聞きたくなるものです。
そんな「なぜ?」を「わかった!」へと変えていくことで、お子様の成長を促す全く新しい理科事典が誕生しました!
今回,インタビューにお答えいただいた川村康文先生監修の参考書です。
『科学のなぜ?新事典』は様々な「なぜ?」にヒントや答えを提示していくという疑問解決式で構成された全く新しい理科事典です。
お子様の本棚に1冊入れておくと,お子様の様々な疑問にご対応できるかと思います。ぜひ書店等でお手に取ってみてくださいね。