テスト直前の追い込みで夜遅くまで子供が勉強していますが,本当に効果があるんでしょうか?
今週も引き続き,東京理科大学の川村先生にお話を伺っていきたいと思います。
第3回となる今回は,先生が重視されている「応用力」を発揮するために心がけてほしいことやそれを養うためにどんな勉強をすれば良いのか等についてお聞きしてみようと思います。
先週の記事では,先生が学生時代に没頭した音楽が今の研究に役立っているという驚きのエピソードを明かしてくださいました。
ぜひこちらもご一読ください。
文部科学省は「論理的思考力」「創造力」を応用力に内包される力として明かしています。
これらの力が日々求められる「科学教育」研究の最前線で活躍している川村先生は,その力を養い,発揮するために何が重要だと考えているのか。その辺りのお話を詳しくお聞きしてみたいと思います。
それでは川村先生,よろしくお願いします!
川村先生が学生時代の音楽活動の中で身についたともお話されていた「創造力」はまさに応用力に当たる力です。
では,そんな応用力を発揮して研究に臨むために,日頃から先生が心がけていることはあるのでしょうか。
まずは,その点についてお聞きしてみました。
先生が応用力を発揮するために重要だと考えていることは何ですか?
朝の目覚めが,スカッとさわやかであることです。
やはり徹夜などをして根詰めて勉強しても,かえって応用力のパフォーマンスを低下させてしまうだけなんですね。
テストや受験を前にして,焦りが生じると,どうしても睡眠や休息を犠牲にして勉強しようとしてしまうものです。
しかし,睡眠不足や疲れは集中力の欠如にもつながり,テストや試験に良い影響を及ぼすことはありません。
根詰めて勉強しすぎるのではなく,適度な休息・睡眠を心がけ,脳の状態を「スカッとさわやか」 な状態にしておくことが,創造力ないし応用力を発揮するうえでは欠かせないものなんですね。
先ほどは,川村先生が応用力を発揮するために日頃から心がけていることについてお伺いしました。
次に,そんな応用力を養うために小・中学生の子どもたちがどんなことに取り組むと良いのかについてお聞きしてみました。
応用力を鍛えたい小・中学生に勧めるとしたら,どんな勉強ですか?
とにかく基礎・基本を丁寧にやってほしいです。
やはり,応用力を身につけるには,基礎・基本からしっかりと学ぶことが大切なんですね。
テストや受験を見据えて勉強していると,どうしてもどこかで焦りが生じてしまって応用力が求められる難問に手を出してしまうことがあります。
しかし,先生も仰る通りで,基礎・基本が身につかない内に取り組んでも、応用力がついたと錯覚するだけで、後の「伸び」に良い影響を及ぼさないこともしばしばです。
文部科学省も「人間力の構成要素」として以下のように述べています。
ここにも書かれているように応用力というものが基礎・基本の上に構築されるものであることは念頭に置いておきたいですね。
ここまで応用力について川村先生にお伺いしてきました。
第3回記事の最後に,そんな先生が小中高生が応用力を養う上で役立つ参考書や本がないかどうかお聞きしてみました。
小中高生にむけて,おすすめの本や参考書などあれば教えてください。
小中学生には『科学のなぜ?新事典』,高校生には,私の書いた「世界一わかりやすい物理学入門」をおすすめします。
どうやって教えれば,子どもたちが楽しく学べるのかを研究している川村先生だからこそ,ここで迷わずご自身の執筆・監修した本がおすすめだ!と言えるんでしょうね。
『科学のなぜ?新事典』は様々な「なぜ?」にヒントや答えを提示していくという疑問解決式で構成された全く新しい理科事典です。
身近な何気ない疑問を解消していくことが,何事にも疑問を持ち、それを解決しようとする姿勢を作ることにつながります。
お子様の本棚に1冊入れておくと,お子様の様々な疑問にご対応できるかと思います。ぜひ書店等でお手に取ってみてくださいね。
科学のなぜ?新事典
お子様は身の周りのすべてに興味や疑問身の周りのすべてに興味や疑問をもち,「なぜ?」「どうして?」と聞きたくなるものです。
そんな「なぜ?」を「わかった!」へと変えていくことで,お子様の成長を促す全く新しい理科事典が誕生しました!
川村先生,ありがとうございました。
今回の学びのヒントとしては,やはり「応用力を身につけるためには基礎・基本から」というところでしょうか。
一見,当たり前のことではあるんですが,意外とテストや受験を前にして,焦りが生じてしまうと基礎・基本をおろそかにしてしまうことはよくあります。
学習指導要領の改訂が発表され,応用力を重視する風潮が高まったことで,基礎・基本となる知識技能が軽視されてしまう懸念もあります。
そんな中でも,応用力を養うためには,まずは焦らず基礎・基本からというスタンスを忘れないようにしたいものですね。
また,先生が仰っていたように応用力を発揮するためには,身体的・心理的な「ゆとり」が欠かせません。
テストの前に夜更かしをして詰め込みで勉強するといった無理をするのではなく,休息・睡眠の時間をしっかりと確保して,脳を「スカッとさわやか」な状態にするようにしましょう。