【第2回】人との出会いが「自分」を磨く!小金丸先生を変えた蜷川幸雄さんとの出会い

勉強や経験は「質より量」が大切ということも耳にしますが、実際のところどうなのでしょうか?


今週も引き続き、小金丸先生にお話を伺っていこうと思います。


前回の記事の中では、先生がどんなお仕事をされているのかや、役者を育てる活動をする中で自主性・独自性を育てるためにどんなことを意識しているのかについてお話していただきました。


詳しくは以下のリンクからお読みいただけます。



そして第2回となる今回は、先生が今の道を志した経緯やそこに至るまでの学生時代の経験などについて詳しくお話を伺っていきたいと思います。


manaviの小金丸先生の紹介文にも「高校卒業を待たずしてフィンランドに留学。 ヘルシンキ大学にて自然科学を専攻する傍ら、欧式演劇プロデュースシステムを学ぶ。」という風に記載していますが、一体どんな学生時代を過ごされていたのでしょうか。


それでは小金丸先生、よろしくお願いいたします!

■ 学びや出会いの中で磨かれる「自分」


演出家、劇作家、脚本家、音響監督、漫画原作者などエンタメ業界で幅広い活動に取り組まれている小金丸先生。


そんな先生は、一体どういった経緯でこの道に進むことになったのでしょうか。


知られざるその理由についてお伺いしてみました!


どうしてこの分野を選ばれたのですか?エピソードなどあれば教えてください。

地球を救いたい!とマジで思ったから。

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子供の頃、「ノストラダムスの大予言」という本が流行りました。その本では、ノストラダムスという予言者が、1999年に人類は滅亡する!というショッキングな事を予言していました。

そんな予言が信じられてしまうほど、当時はアメリカとソ連がいつ核戦争を始めるかわからなかったり、チェルノブイリで原発事故が起きたりと、危機的な状況が身の回りにあったんです。

そこで僕は、幼い頃から科学者になって、世界を核戦争から救おう!と思い、フィンランドに留学までしました。(チェルノブイリの放射能が、フィンランド北部のラップランドという地域に降り注いだ、というデータがあったので。)

しかし、勉強すればするほど、科学は戦争後の世界を救うことは出来るかもしれないけれど、戦争をさせないためには文化を学ぶ方が大切なんじゃないか?と思うようになりました。

そして「世界を戦争から救う為には、文化を学ばなければ!」と、帰国し、芸術大学に入って演劇を勉強するようになりました。

プロになって20年以上が経って、演劇で世界を変える事は出来ない、という事がわかりましたが、「演劇で人間を変える事は出来るかもしれない」という事も考えるようになりました。その積み重ねでいつか世界を変える事も出来ると、僕は信じています。


世界や人々に影響を与えられる人間になりたいという思いはずっと変わっていないんですね!


先生は前回の記事の中でも、他人と関わることに今の仕事の楽しみを見出していることや他人に自分の考えや感性を伝えていくことの重要性をお話してくださりました。


実はそんな先生も子供の頃や学生時代は、勉強や他人との関わりの中で自分の「やりたいこと」「やるべきこと」を模索していったということがこのエピソードから伺えます。


前回は、自分の考えと感性をしっかりと持った上で他人と関わりを持ち、お互いに影響を与え合うことの素晴らしさをお話してくださいました。


先生もノストラダムスの大予言や核戦争、原発事故など様々なことに危機感を感じ、それに対して自分の「やりたいこと」を見出しながらも、「学び」を経て、最終的には演劇の道に「自分」を見出しました。


つまり「自分」というものは、自分だけで確立できるものではなく、様々な学びや経験、他人との出会いを通じて、磨かれ、変化しながら少しずつ出来上がっていくものなんですね。


だからこそ、常に「自分」というものを磨き、より良いものにしていくために、学び続ける必要があり、出会いを求め続ける必要があるのです。

■ 何でもがむしゃらに頑張る!ではダメ?


先ほどは、小金丸先生がどんな経緯で今の演劇をはじめとしたエンタメ業界への道を志したのかについてお伺いしました。


次に、先生が日本の大学に戻ってきてから、演劇を学び始めた大学生時代のことについてお聞きしてみました。


先生は大学生時代、どのような生徒でしたか?

大学での成績はほぼオールAの、優等生でした。

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狂言の実技だけがCだったかな?(笑)

なにぶん学費を自分で支払っていたので、一回の講義を休む事も勿体ないと思っていたし、一つでも多くの講義を受けて、単位を修得しようと必死でした。

二年生からは学費免除の特待生にしていただいたので、余計に講義をしっかり受けて、誰よりも勉強しないと!と思っていました。

母校の桐朋学園は実技に力を入れた芸術大学だったので、物理的にも肉体的にも全教科を受講する事は難しかったのですが、とにかく休まずに一生懸命大学に通った記憶があります。

問題点としては、わりと先生方の言う事を鵜呑みにしていましたね。どの先生にも尊敬の念をもって受講させていただきました。

一方で、今思えば、自分の好き嫌いを大事にして、力を入れる科目と力を抜く科目を作れば、もっと良い勉強が出来たのではないか?と思っています。


なるほど。とにかくがむしゃらに頑張る!ことも大切ですが、ある程度の取捨選択も求められるわけですね。


ここでも先ほど挙がった「やりたいこと」を明確にという話が関係してくるのですが、目標と目的が明確であれば、そのための手段選びも明確になります。


そのため、何に力を注げばよいのかも自ずと分かってくるので、無駄なく自分にとって「良い勉強」をすることができます。


しかし、目標や目的がぼんやりとしていると、手段の部分までもがぼんやりとしてしまい、とにかく何でも頑張らねば!と広く浅くな勉強になってしまうことがあります。


もちろん小さなお子様の場合は、以前に川村先生が「あれもこれも」の精神が重要とお話されていたように、どんなことにでもチャレンジしてみる姿勢が重要です。


ただ、高校生・大学生になると、人生を左右する進路選択に直面するわけで、その段階でどんなことでも浅く広くがむしゃらに勉強しようでは、本当に自分にとって必要な勉強の「質」が落ちてしまうことが懸念されます。


そこがまさに小金丸先生が自分の学生時代を振り返っての反省として書かれている部分だと思います。


ぜひ、保護者の皆さまはそんな先生の反省を、ご自身のお子様の「学び」に還元してあげてください。


■ 蜷川幸雄さんとの出会い


先ほどは、小金丸先生の学習時代の経験についてお聞きしました。


学生時代にがむしゃらに勉強に打ち込んだことやその中での反省点などについてお話していただきました。


最後に、先ほどのお話と関連して、学生時代の勉強や経験の中で、どんなことが今のお仕事に役立っているのかをお聞きしました。


今役に立っている、学生時代の勉強や経験はありますか?

蜷川幸雄さんの、「毎日一本、書いて持って来い!」ですね。

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一年生の時、四年生だった川上とも子さん(声優。2011年に病没)に「あなた、劇作家になりたいんだって?」と声をかけられたんです。

そして「蜷川幸雄さん(演出家。2016年没)の講義で、創作課題を発表しないといけないから、その脚本を書いてくれない?」と頼まれました。

それがきっかけで、蜷川さんに脚本を提出すると、「お前は面白いから、毎日一本書いて持って来い」と言われました。

当時は若かったので、大変だ!と言うよりも、「蜷川さんに脚本を見ていただいて、アドバイスを貰える!」と嬉しかったのが先に立ったのを覚えています。

蜷川さんには、「お前より才能のある奴が、お前が寝ている間に努力していると思え」とよく言われていました。

だから、寝る時間を惜しんで書いていました。

あの、「毎日一本修行」に比べたら、多少仕事の締め切りが重複しても、「あの頃よりは楽だ!」と思える自分がいるので、蜷川さんの厳しさ、そして蜷川さんと巡り合わせて下さった川上先輩には、本当に感謝しています。


ストイックなことで有名な蜷川幸雄さんの過酷な課題に喰らいついていった経験が、今の先生に繋がっているんですね!


蜷川幸雄さんというと世界的に有名な演出家で、同時に舞台の細部にまで徹底的にこだわるストイックな人としても有名です。



しかし、日本の多くの俳優が彼の舞台に参加し、厳しい指導に必死に喰らいついたことで、役者として大成していきました。


小金丸先生もまさにそんな蜷川幸雄さんの厳しい課題に何とかついていこうと努力し、実力をつけ、認められるようになった内の1人ですよね。


先ほど、小金丸先生のお話の中である程度の取捨選択ができれば、もっと「質」の高い勉強ができたという反省がありました。


一方で、「量的な変化が質的な変化をもたらし、また質的な変化が量的な変化をもたらす」という量質転化の法則という考え方があります。


これは「質」を獲得するためには、「量」をこなすことが必要なのだということを表した法則でもあります。


小金丸先生は劇作家になりたいという目標が明確であり、どうしてもそれを実現したかったからこそ、蜷川幸雄さんに毎日脚本を提出し続けるという「量」をこなし、そして自分の技術を磨いていったのでしょう。


また、このエピソードで印象的なのは、やはり一流の人との関わりは大きな財産になるということですよね。


誰しもにそういった人との出会いが訪れるわけではないですが、自分が他人との出会いを積極的に求める姿勢を見せれば、巡ってくる可能性はもちろんあります。


そういう出会いがあった時に、自らぶつかっていき、自分を磨く機会にできるかどうかというのも非常に重要なのだと思います。

■ 学びのヒント


小金丸先生、ありがとうございました。


今回の学びのヒントとしては、以下の2点が挙げられると思います。


  • 「自分」を確立するために学びや出会いを追い求めること
  • ただがむしゃらに努力するのではなく量と質を使い分けること

1つ目のヒントは前回の記事の内容と重なる部分もありますが、「自分」というものは最初から確立されているものではないということですね。


様々な学びや経験、そして自分に刺激を与えてくれる他者との出会いがあって、その中で少しずつ磨かれ、確立されていくものなのです。


そして小金丸先生にとっての蜷川幸雄さんのような「一流の人との出会い」というものはなかなか巡ってくるものではありません。


しかし、そういう機会があった時に、遠慮してしまうのではなく、自分から積極的に関わりを求めていけるかどうかでその後の「自分」は大きく変わってくるはずです。


そして2つ目のヒントは、きちんと自分のリソースを考えて、質と量を使い分けながら努力するという意識ですよね。


自分を磨くために、自分を確立するためには、もちろん努力が必要ですが、やみくもに頑張るだけではいけません。


必要な学び、必要な経験をしっかり見極めて、「質」の高い勉強をしていくことが重要であり、一方で自分に必要だと確信できる物事に対してはとにかく「量」をこなすことも大切です。


それは小金丸先生が蜷川幸雄さんの出す課題に毎日必死に取り組み続け、劇作家としての力を身につけていったのと同様です。


ぜひ、今回のヒントを踏まえてお子様の学習や相談などにアドバイスをしてあげてください。

■ おすすめの本


今回の記事に関連したおすすめの参考書・問題集をご紹介させていただきます。


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苦手分野の勉強をとにかく「量」をこなすことで克服しようというお子様にはおすすめできる1冊になっていると思いますよ。

今回の賢者

小金丸 大和

演出家、劇作家、脚本家、音響監督、漫画原作者として活動。
代表作『ハンマーセッション!』(週刊少年マガジンにて連載)は、TBSでドラマ化もされた。
現在は母校・桐朋学園をはじめ、様々な劇団や、俳優・声優養成所等で講師、演技指導を行っている。

小金丸先生(※小林大祐 名義)の詳しい情報はこちらから