勉強や経験は「質より量」が大切ということも耳にしますが、実際のところどうなのでしょうか?
今週も引き続き、小金丸先生にお話を伺っていこうと思います。
前回の記事の中では、先生がどんなお仕事をされているのかや、役者を育てる活動をする中で自主性・独自性を育てるためにどんなことを意識しているのかについてお話していただきました。
詳しくは以下のリンクからお読みいただけます。
そして第2回となる今回は、先生が今の道を志した経緯やそこに至るまでの学生時代の経験などについて詳しくお話を伺っていきたいと思います。
manaviの小金丸先生の紹介文にも「高校卒業を待たずしてフィンランドに留学。 ヘルシンキ大学にて自然科学を専攻する傍ら、欧式演劇プロデュースシステムを学ぶ。」という風に記載していますが、一体どんな学生時代を過ごされていたのでしょうか。
それでは小金丸先生、よろしくお願いいたします!
演出家、劇作家、脚本家、音響監督、漫画原作者などエンタメ業界で幅広い活動に取り組まれている小金丸先生。
そんな先生は、一体どういった経緯でこの道に進むことになったのでしょうか。
知られざるその理由についてお伺いしてみました!
どうしてこの分野を選ばれたのですか?エピソードなどあれば教えてください。
地球を救いたい!とマジで思ったから。
世界や人々に影響を与えられる人間になりたいという思いはずっと変わっていないんですね!
先生は前回の記事の中でも、他人と関わることに今の仕事の楽しみを見出していることや他人に自分の考えや感性を伝えていくことの重要性をお話してくださりました。
実はそんな先生も子供の頃や学生時代は、勉強や他人との関わりの中で自分の「やりたいこと」「やるべきこと」を模索していったということがこのエピソードから伺えます。
前回は、自分の考えと感性をしっかりと持った上で他人と関わりを持ち、お互いに影響を与え合うことの素晴らしさをお話してくださいました。
先生もノストラダムスの大予言や核戦争、原発事故など様々なことに危機感を感じ、それに対して自分の「やりたいこと」を見出しながらも、「学び」を経て、最終的には演劇の道に「自分」を見出しました。
つまり「自分」というものは、自分だけで確立できるものではなく、様々な学びや経験、他人との出会いを通じて、磨かれ、変化しながら少しずつ出来上がっていくものなんですね。
だからこそ、常に「自分」というものを磨き、より良いものにしていくために、学び続ける必要があり、出会いを求め続ける必要があるのです。
先ほどは、小金丸先生がどんな経緯で今の演劇をはじめとしたエンタメ業界への道を志したのかについてお伺いしました。
次に、先生が日本の大学に戻ってきてから、演劇を学び始めた大学生時代のことについてお聞きしてみました。
先生は大学生時代、どのような生徒でしたか?
大学での成績はほぼオールAの、優等生でした。
なるほど。とにかくがむしゃらに頑張る!ことも大切ですが、ある程度の取捨選択も求められるわけですね。
ここでも先ほど挙がった「やりたいこと」を明確にという話が関係してくるのですが、目標と目的が明確であれば、そのための手段選びも明確になります。
そのため、何に力を注げばよいのかも自ずと分かってくるので、無駄なく自分にとって「良い勉強」をすることができます。
しかし、目標や目的がぼんやりとしていると、手段の部分までもがぼんやりとしてしまい、とにかく何でも頑張らねば!と広く浅くな勉強になってしまうことがあります。
もちろん小さなお子様の場合は、以前に川村先生が「あれもこれも」の精神が重要とお話されていたように、どんなことにでもチャレンジしてみる姿勢が重要です。
ただ、高校生・大学生になると、人生を左右する進路選択に直面するわけで、その段階でどんなことでも浅く広くがむしゃらに勉強しようでは、本当に自分にとって必要な勉強の「質」が落ちてしまうことが懸念されます。
そこがまさに小金丸先生が自分の学生時代を振り返っての反省として書かれている部分だと思います。
ぜひ、保護者の皆さまはそんな先生の反省を、ご自身のお子様の「学び」に還元してあげてください。
先ほどは、小金丸先生の学習時代の経験についてお聞きしました。
学生時代にがむしゃらに勉強に打ち込んだことやその中での反省点などについてお話していただきました。
最後に、先ほどのお話と関連して、学生時代の勉強や経験の中で、どんなことが今のお仕事に役立っているのかをお聞きしました。
今役に立っている、学生時代の勉強や経験はありますか?
蜷川幸雄さんの、「毎日一本、書いて持って来い!」ですね。
ストイックなことで有名な蜷川幸雄さんの過酷な課題に喰らいついていった経験が、今の先生に繋がっているんですね!
蜷川幸雄さんというと世界的に有名な演出家で、同時に舞台の細部にまで徹底的にこだわるストイックな人としても有名です。
しかし、日本の多くの俳優が彼の舞台に参加し、厳しい指導に必死に喰らいついたことで、役者として大成していきました。
小金丸先生もまさにそんな蜷川幸雄さんの厳しい課題に何とかついていこうと努力し、実力をつけ、認められるようになった内の1人ですよね。
先ほど、小金丸先生のお話の中である程度の取捨選択ができれば、もっと「質」の高い勉強ができたという反省がありました。
一方で、「量的な変化が質的な変化をもたらし、また質的な変化が量的な変化をもたらす」という量質転化の法則という考え方があります。
これは「質」を獲得するためには、「量」をこなすことが必要なのだということを表した法則でもあります。
小金丸先生は劇作家になりたいという目標が明確であり、どうしてもそれを実現したかったからこそ、蜷川幸雄さんに毎日脚本を提出し続けるという「量」をこなし、そして自分の技術を磨いていったのでしょう。
また、このエピソードで印象的なのは、やはり一流の人との関わりは大きな財産になるということですよね。
誰しもにそういった人との出会いが訪れるわけではないですが、自分が他人との出会いを積極的に求める姿勢を見せれば、巡ってくる可能性はもちろんあります。
そういう出会いがあった時に、自らぶつかっていき、自分を磨く機会にできるかどうかというのも非常に重要なのだと思います。
小金丸先生、ありがとうございました。
今回の学びのヒントとしては、以下の2点が挙げられると思います。
1つ目のヒントは前回の記事の内容と重なる部分もありますが、「自分」というものは最初から確立されているものではないということですね。
様々な学びや経験、そして自分に刺激を与えてくれる他者との出会いがあって、その中で少しずつ磨かれ、確立されていくものなのです。
そして小金丸先生にとっての蜷川幸雄さんのような「一流の人との出会い」というものはなかなか巡ってくるものではありません。
しかし、そういう機会があった時に、遠慮してしまうのではなく、自分から積極的に関わりを求めていけるかどうかでその後の「自分」は大きく変わってくるはずです。
そして2つ目のヒントは、きちんと自分のリソースを考えて、質と量を使い分けながら努力するという意識ですよね。
自分を磨くために、自分を確立するためには、もちろん努力が必要ですが、やみくもに頑張るだけではいけません。
必要な学び、必要な経験をしっかり見極めて、「質」の高い勉強をしていくことが重要であり、一方で自分に必要だと確信できる物事に対してはとにかく「量」をこなすことも大切です。
それは小金丸先生が蜷川幸雄さんの出す課題に毎日必死に取り組み続け、劇作家としての力を身につけていったのと同様です。
ぜひ、今回のヒントを踏まえてお子様の学習や相談などにアドバイスをしてあげてください。
今回の記事に関連したおすすめの参考書・問題集をご紹介させていただきます。
小学算数 にがてな分数の計算に強くなる!
○基礎から順序立てて学習できるように,分数の計算パターンを47に分けています。
○1つの計算パターンを例題として取り上げ,計算のしかたをわかりやすく説明してあります。すぐ下の類題で,計算のしかたを確認できます。
受験研究社から発売中の『小学算数 にがてな分数の計算に強くなる!』と『小学算数 にがてな小数の計算に強くなる!』のシリーズは、小学生が苦手に感じる傾向のある分数・小数に特化した問題集です。
苦手な子どもでもこの1冊を解き終わるころには、苦手意識がなくなることを目指し、計算の仕方の丁寧な解説や豊富な問題を収録しました。
苦手分野の勉強をとにかく「量」をこなすことで克服しようというお子様にはおすすめできる1冊になっていると思いますよ。