【第1回】中原悟先生が解説!プログラミング教育が子どもたちにもたらす成長と変化とは?

最近よく「プログラミング教育」という言葉を耳にしますが、一体子どもたちにどんな力が身につくのでしょうか?


あけましておめでとうございます。2020年最初の記事更新となります。本年も当サイト「manavi」をどうぞよろしくお願いいたします。


さて、今週からは新しい賢者の先生のお話を伺っていきます。


インタビューをさせていただいたのは、加藤学園暁秀初等学校ICTコンピュータ専科教諭としてご活躍され、 コンピュータとプログラミング を活用した教育の研究・実践を続けておられる中原 悟(なかはら さとる)先生です。

先生は、2019-2020マイクロソフト認定教育イノベーターも務めておられ、ご自身が指導されている児童たちは、「小・中学生のための国際ロボット競技会URC2019」「マインクラフトカップ2019」で優勝するなど活躍を見せています。


また、YouTubeチャンネル「iTeachersTV~教育ICTの実践者たち~」にご出演されたり、 NHK Eテレ『学びが変わる!教育最前線2019』にて授業実践の様子が放映されたりと、今まさに注目を集めている先生です。



manaviでは、全4回にわたって中原先生にお話を伺う中で、コンピュータやプログラミングを活用した教育が子どもたちにどんな可能性をもたらすのか、またなぜそんな教育の形が今注目され、重要視されているのかなど、保護者の皆さまが気になっておられる疑問をぶつけてみました。


それに対する先生の回答は、どれも非常に興味深い内容となっておりますので、ぜひ最後まで読んでいただけますと幸いです。


それでは、中原先生よろしくお願いいたします。

未来で活躍する子どもたちに求められる力を養うために

コンピュータやプログラミングを駆使した教育実践に取り組まれている先生ですが、そこには一体どんな意図があるのでしょうか?


まずは、そのビジョンや先生の授業における育成目標についてお聞きしてみました。


先生は小学校でICTコンピュータ専科教諭として活動されていますが、実際にどのようなことを育成目標とした授業をされているのですか?

「創造性」を育むことが大切だと考えています。そのために、「ワクワク感」「できた!」という感動・喜びのある授業を心がけています。

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今後、AIと共生していく未来が待っていると言われています。そのような世界で活躍するためには、子どもたちが自分たちの力で未来を切り拓いていくための「創造性」を育むことが大切だと考えています。

そのために、日々の授業やクラブ活動では、子どもたちがプログラミングをしてモノを動かす時の「ワクワク感」や、自由にモノをつくって動かす時の「できた!」という感動や喜びを大切にしています。

そして、授業や活動が終わる時に「もうちょっと待って!」という言葉や「家でもやりたい!調べてくる!」という言葉が、自然と出てくるような子どもを育てたいと考えています。

その実現のためには、まず環境を整備することが必要だと考えました。それまで17年間、クラス担任をしたのですが、一念発起をして、「ICTコンピュータ専科」の専科教諭になることを決めました。

まずは、環境整備として1人1台のロボットとプログラミングするコンピュータを用意しました。

次に、当時はプログラミング教育の黎明期だったため、あまり教材が普及していない中で、私自身が試行錯誤しながら、子どもたちが夢中になって取り組めるような課題とプロジェクト学習を中心にカリキュラムを作りました。

また、コンピュータ実習室「Robot Laboratory(ロボラボ)」を創設し、子どもたちが自由にプログラミングでモノづくりができる空間を用意しました。


「創造性」を養うことを念頭に置いて、子どもたちが楽しみながら主体的に学べる環境を整えてこられたんですね!


中原先生は、自分のビジョンや育成目標を持っていて、その実現のためにまずは環境を整えることが大切だと考え、それを実行に移されました。


これはご家庭での学習を考えるにあたっても、非常に大切なことです。


目標があって、そこに辿り着くまでの施策があるわけで、そのどちらが欠けていても「学び」は効果的に生まれません。ビジョンや目標があったとしても、それを実現に導くための具体的な行動や実践が伴わなければ、本末転倒です。


また、中原先生は目の前にあるモノを動かしてみようという「遊び」的なところから子どもたちの学びへの意欲が生まれるように意識されていると伺えます。


子どもたちは本能的に学びの向かう姿勢を持っているものですが、それを引き出すには、ワクワク感や喜び、楽しさが必要です。


これは、ご家庭でお子様の勉強へのモチベーションを高める上でも1つキーになることと言えますね。

プログラミング教育が子どもにもたらす成長

先ほどは、中原先生がご自身の授業の中でどんな子どもたちを育てたいかというビジョンをお聞きしました。


次に、先生がその実践を授業の中で続けていく中で、子どもたちにどんな変化が見られたのかをお聞きしてみました。


「プログラミング教育」が話題になっているからこそ、どんな効果や成長が見込めるのかという点は気になっている方も多いことと思います。


授業を受けている生徒たちの様子を、「どんな点が成長したか」という点をまじえて教えてください。

何よりも大事なことだと思いますが、「一歩踏み出す、動き出す力」が身につきます。

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子どもたちは、プログラミングの授業を通して、ちょっとした失敗を恐れなくなり、まずは「動かしてみよう!」という「一歩踏み出す、動き出す力」が身につきました。

また、ロボットや作品が思い通りに動かなかったら、プログラミングの中身(コーディング)を見て、プログラミング上のミスや問題を修正していく、「問題発見能力」が確実に身についてきています。

なぜそういった力がついたかというと、「試行錯誤」をする習慣がつくからだと思います。

プログラミングの授業では、子どもたちの目の前には、ロボットや具体的なモノ(作品)があります。そのため、自分の思う通りに動かなかったら、その問題を探り、すぐにプログラミングを修正して動きを確かめなければなりません。

修正と確認、それをひたすら繰り返していく…。この「試行錯誤」が授業中ずっと行われているため、子どもたちは自然と問題を発見する力を身につけることができるのだと思います。

さらには、子どもたちが積極的に「話し合う」「協力しあう」「調べる」ようになりました。

ICTコンピュータ科では、「わからないことは友達に聞こう!」「わかったことやできたことはみんなでシェア(共有)しよう!」をルールにしています。そのため、子どもたちは、授業中に教えあったり、聞きあったり、お互いの作品を見あってアイデアを出し合ったりしています。

また、私の担当するICTコンピュータの授業は週1回45分しかないということもあり、生徒たちは、授業の日に合わせて、家で自分のプロジェクトや課題に必要な内容を調べたり、本や資料を集めて持って来たりするようになりました。


プログラミングそのものの技能に限らず、様々な力を養うことができるんですね!


「プログラミング教育」は今後の社会でIT人材が求められるため、それに対応するための技能養成であると考えておられる方もいらっしゃるかもしれません。


もちろんその側面があることは事実ですが、コーディングなどの技術は時代と共に変化するものなので、実はそこには重きは置かれていないとも言われています。


むしろ強調されているのは、中原先生も挙げておられる「問題発見能力」や「行動力」を養うことができる「プログラミング的思考」を身につけさせることです。


先生の授業では、子どもたちの目の前に実物が置かれており、そして自分が問題を発見しなければ、それが動かせないという状況が用意されています。


そういう状況に身を置くことで、子どもたちは必然的に試行錯誤したり、話し合ったり、調べてみたりするようになるんですね。


こういった普遍的な力を体験的に学ぶことができるところにも、「プログラミング教育」の強みがあることが分かります。


他の教科学習にもたらす変化

先ほどは「プログラミング教育」が子どもたちにもたらす変化についてお話していただきましたが、次に他の教科の学習にどんな変化や影響を与えるのかをお聞きしてみようと思います。


近年、教科横断型学習が非常に注目されていることもあり、教科の枠を越えた「学び」が求められています。


その中で「プログラミング教育」 はどんな役割を果たすのでしょうか。


プログラミング教育を充実させることで、他の教科でも何か変化はありますか?

プログラミングと他の教科で学習したことを結びつけて考えるようになりました。

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「音楽で習ったあの曲をプログラミングでもやってみたい!」「そういえば、これ、算数でこの前勉強したことだ!」と「あの形、プログラミングだと、もっと簡単に描けるよね」「社会科で調べた世界遺産を、コンピュータでつくりたい!」など、子どもたちはプログラミングと他の教科で学習したことを結びつけて考え、実践するようになりました。

他の教科では、発展的な活動として、具体的な作品づくりやモノづくりを行う時間が中々確保できない場合もあります。

そこで、プログラミングの授業を「教科と教科をつなぐHub(中心)」と位置づけました。

プログラミングをツールとして活用することで、子どもたちは、「算数×プログラミング×音楽×図工」など、教科と教科の壁を越えて、作品や具体的なモノをつくることができるようになりました。

その中で子どもたちは、「つなげて考える」「かけあわせて活用する」といった力を確実に身につけていると思います。


他の教科で学んだ知識を「形」にする場としても機能しているんですね。


どうしても普段の教科学習の中では、知識を身につける方に重きが置かれ、それを作品やモノを実際には確保しづらいという側面はあります。


そういった他の教科の勉強で学んでことを、活動の中で「形」にしていける場があるというのは、非常に重要です。


学習指導要領の中にも「知の総合化」という言葉があります。


中原先生も述べられているように「つなげて考える」「かけあわせて活用する」といった教科の枠組みを超えて自分の知識を活用していくという訓練ができることにプログラミング教育の意義があるとも言えますね。

学びのヒント

中原先生、ありがとうございました。


今回の先生のお話の中でのプログラミング教育に関する「学びのヒント」としては以下のことが挙げられると思います。


学びのヒント

(1)行動力や問題発見能力などの普遍的な力を養う

(2)教科の枠を越えた「知の総合化」を実現する


「プログラミング教育」は、単なるコーディングやIT人材の技能教育の場ではなく、行動力や問題発見能力など力を養い「プログラミング的思考」を身につけるところに大きなゴールを据えています。


中原先生の授業では、1人1台のロボットを用意し、それが目の前に置かれていて動かせるのは自分だけであるという状況を作り出すことで、子どもから自発的にそれらの力を引き出すことを意図しています。


また、教科の枠を越えた学習の中心として「プログラミング教育」を捉えているというお話も非常に興味深いものでした。


子どもたちは学校で教科を別々のものとして勉強するため、その1つひとつを捉えて「この勉強に何の意味があるのか?」という疑念を持つことがあります。


しかし、それに対してしばしば為されるような「いつか役に立つから。」という返答では非常に無責任であるように思えます。


カリキュラム上、教科という区分に分かれていますが、もともと知は総合的なものですから、それを組み合わせ、つなげていくことに大きな意味があります。


教科で学んだことを組み合わせてみることで、新しいものが生まれるという経験をできる場を用意することで、子どもたちにそれに気がつかせてあげることこそが有効な返答になり得るのではないでしょうか。


さて、これから全4回にわたって中原先生へのインタビューをしていきますが、保護者の皆さまには、「プログラミング教育」の概要や意義について知っていただき、そして子どもたちにどんな変化や成長をもたらすのか、その可能性についてもぜひ考えてみていただければと思います。

おすすめの本

今回の記事に関連したおすすめの参考書・問題集をご紹介させていただきます。


関連書籍

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今回の賢者

中原 悟

加藤学園暁秀初等学校ICTコンピュータ専科教諭。2019-2020マイクロソフト認定教育イノベーター。
2018年からオープンプランコース「ICTコンピュータ専科」教諭を務め、コンピュータとプログラミングを活用した「創造性」を育む教育を探究、実践している。
主な指導実績:「小・中学生のための国際ロボット競技会URC2019」レギュラー部門優勝。「マインクラフトカップ2019」大賞受賞。

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