【第2回】体験して学ぶ!STEAM教育で養う思考力と創造力の重要性とは?

「STEAM教育」という言葉はなぜ注目されるようになったんだろう?


さて、今週も引き続き加藤学園暁秀初等学校にてICTコンピュータ専科教諭としてご活躍されている中原先生にお話を伺っていきます。


前回の記事では、先生が取り組まれている授業実践やそれが子どもたちにどんな成長をもたらしているのかについてお話していただきました。


プログラミング教育が単なるコーディングなどの技術を身につける場ではなく、思考力や問題発見能力などの普遍的な力を身につける場や、他の教科学習で学んだ知識と結びつけて物事を考える場としても機能しているという非常に興味深い内容となっていました。


詳しくは以下のリンクからご覧ください。



今回の記事では、最近しばしば耳にするようになった「STEAM教育」についての話題や先生の学生時代のご経験などについてもお聞きしていこうと思います。


今後のプログラミング教育について考えていく上でも、非常に有益な内容になっていると思いますので、ぜひご一読ください。


それでは、中原先生よろしくお願いいたします。

プログラミング・STEAM教育がもたらす創造性

前回から話題に挙がっているプログラミングに加えて、中原先生が注力されているのが、STEAM教育です。


「STEAM」は以下の5つの言葉の頭文字から成ります。


  • Science(科学)
  • Technology(技術)
  • Engineering(工学)
  • Art(芸術)
  • Mathematics(数学)


これまでの「STEM教育」に「A=Art」を加わり、AIに取って代わられ得ないクリエイティビティを育てていく方向性が強まったことが推察されます。


そんな教育法をご自身の授業に取り入れようと考えた理由、そしてそれが子どもたちに何をもたらすのかについてまずはお伺いしました。


どうしてプログラミング・STEAM教育を選ばれたのですか?

テクノロジーをツールとして自在に操り、未来を切り開いていく力とその活用のための思考力を、教育現場で子どもたちに身につけさせていく必要があると考えているからです。

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子どもたちの将来では、AIやVR、ARなどのテクノロジーが生活や仕事において、当たり前のように使われていることが想像されます。

そのため、テクノロジーをツールとして自在に操り、その活用について考える姿勢を涵養していく必要があります。

私は、プログラミングはテクノロジーを扱う、創り出す1つのツールであり、STEAM教育はその思考力とセンスを養う場であると考えています。

それを踏まえ、最新のテクノロジーを学び、プログラミングをツールとして活用していく場として、従来のコンピュータ教育を刷新した「ICTコンピュータ専科」を2018年に創設しました。

どのように「刷新した」のか、簡単に説明していきます。

本校(加藤学園暁秀初等学校)では1990年から1人1台のデスクトップPCを活用したコンピュータの授業が行われ、LOGOWriterなどのプログラミング教育も行われていました。

しかし、時代とともにコンピュータの時間が文章作成やインターネットでの検索の時間になってしまいました。そこで、2020年から始まる小学校のプログラミング必修化を前に、コンピュータの授業をもう一度見直そうと提案したのです。

本校の教育理念の一つには「創造性を育むためのコンピューティングとプログラミング」があります。

この理念を実現するために各学年の身につける思考や技能を、発達段階にあわせて階段上に積み上げていくカリキュラムを考えました。

このカリキュラムでは、6年生の卒業時にコンピュータやプログラミングを使って卒業研究・卒業制作ができるようになることを1つのゴールに据えています。


テクノロジーがどんどんと発達していくからこそ、それらを「使える」子どもたちを育てたいという思いがあるんですね!


文部科学省が提示する「新たな社会をけん引する人材」の要素には以下のようなものが挙げられています。


  • 技術革新や価値創造の源となる飛躍知を発見・創造する人材
  • 技術革新と社会課題をつなげ、プラットフォームを創造する人材
  • 様々な分野においてAIやデータの力を最大限活用し展開できる人材

これを見ても「創造」「AIやデータの力の活用」がこれからの社会のキーとして強調されていることが分かります。


中原先生が勤務校のプログラミング教育を変えていこうと考えたのは、そういったこれからの社会で活躍人を育てていくための施策を学校の現場で作っていくんだという強い信念があるからこそなんですね。


プログラミング教育の原点はスポーツ?

次に、そんなプログラミング教育やSTEAM教育に取り組まれている先生の学生時代のエピソードについてお伺いしました。


学生時代のどんなご経験が、今の先生の授業スタイルや子どもたちへの向き合い方に繋がっているのかは気になる点ですよね。


どんな学生時代を過ごされましたか?

運動一色の学生時代でした。それで最初は体育教員になりました。

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特にサッカーとバスケットボールは体育会として続けてきました。サッカーは現在も現役プレーヤーとして続けています。サッカーもバスケットボールも、全てのポジションができます。また、主将、交代選手、コーチ、審判、トレーナーといった様々な役割を経験しました。

要するに「何でも屋」でした…。

また自然体験活動にのめり込んだこともあり、子どもキャンプやスキー宿泊実習などの指導員も務めていました。自然の中で子どもたちと寝食をともにする中で、「子どもって本当に面白いなぁ!すごいなぁ!」と思い、小学校の教員を目指すようになりました。

その後、体育の講師として働きながら、通信大学に通い、小学校の教員免許と国語の教員免許を取得して、現在に至ります。

働きながらも、「学生として」学んでいましたが、今振り返ると、気になる世界があれば飛び込んで、自ら体験しながら学ぶというスタイルは一貫しているように思います。


体験の中で学ぶ大切さを肌で感じてきたからこそ、それが今の授業に活かされているんですね。


一見すると、現在先生が取り組まれているプログラミング教育やSTEAM教育にはリンクしない内容に思えるかもしれません。


しかし、体験の中で学ぶ、自分でやってみる、考えてみる姿勢という点では、スポーツや自然体験活動と現在の先生の教育方針はむしろ強く結びついているように感じます。


スポーツにおいて良い成績を収めるためには、まさしくプログラミングに求められるような「試行錯誤」「問題発見」が求められます。


先生がご経験されたサッカーであっても、必勝法があるわけではなく、常に相手の出方を見て、それに基づいて自分たちの戦略やスタイルを試合中に柔軟に修正、改善していく必要がありますよね。


スポーツにおいて単純に自分の技術を向上させることはもちろん大切なのですが、試合に出場して勝利するためには、その技術を相手に合わせてどう使っていくかという「思考力」が必要です。


これは、基本的な知識・技能を、目の前にあるモノや作品を動かすために、いかに活用するかを試行錯誤する中原先生のプログラミングの授業スタイルに近いと言えます。


プログラミング教育やSTEAM教育に取り組まれている先生の原点にスポーツや自然体験学習があるというのは、非常に興味深いですね。

働きながら学んで気がついた学問の重要性

先ほどは、学生時代のご経験についてお伺いしました。


第2回の最後ということで、先ほどの質問を少し掘り下げて、学生時代の学びがどう社会に出てからのキャリアに繋がっていくのかをご自身の体験談も含めてお聞きしてみようと思います。


どんな「学び」が社会での活躍に繋がるのかという点でも非常に気になる内容ではないでしょうか。


今役に立っている、学生時代の勉強はなんですか?

学問や勉強の必要性と楽しさは、やはり「働く中」で気づくことの方が多いですね。

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「働きながら必要な知識や理論、技能を学ぶこと」、「学んだことを現場で実践しながら、さらに学びを続けていくこと」が今の自分の一番の学び方になっているかと思います。

勤務校である加藤学園暁秀初等学校の創立当初の「オープンプラン」の理念とリベラルアーツを体現してきた先生方に師事し、現場での実践を通して、その理念や理論を学びました。

また、国語を教えていた時には、三森ゆりか先生の「言語技術LanguageArts」という読解・解釈の技術や松岡正剛氏の「編集工学」の概念を学びました。

学生時代の話とは少し離れてしまいましたが、師事させて頂いた先生方の言葉をひたすらメモし、それをノートに整理して、教育現場での実践を試みました。

そして、現在の先生は、「子どもたち」です。

教師は、子どもたちの学びと成長の過程に寄り添うことができる職業であり、できた時の喜びやわかった時の感動を一緒に味わうことができる職業だと思います。

そのため、自分が考えた授業や活動などに対する反応に常に注意を払っています。日々の授業の子どもの表情や何気ない言葉から、一体何がわからないのか、何ができるようになったのかを読み取ることを心掛けています。

また完成した作品から、その意図や思いを読み取り、次の授業における、1人ひとりの課題をつくるヒントや到達点の調整を行っています。

ものごとの構造を分析・解釈し、その中にある本質を見抜くとともに、一見関係ないもの同士をつなげて、新しいものを創ること、その処理能力(CPU)や、いろいろな仕事や課題を同時に行う力(ハード)、修正力などは、この「オンザジョブトレーニング」でかなり身についたように思えます。

欲を言えば、学生時代に、多くのことを大量に正確に覚える、コンピュータで言えば「メモリ」を増やすことをしておけばよかったと反省しています。


とにかく飛び込んでみて、自ら考えながら実践し、試行錯誤を繰り返すという学びのスタイルが、まさに「プログラミング」に重なっているんですね!


先生が現在のような体験型の授業スタイルに辿り着いたのは、ご自身が体験や経験の中で学ぶことの大切さを肌で感じてきたからなのだと伺えるご回答でした。


中原先生は日々の業務や授業の中で、他の先生や子どもたちから学び、吸収し続けておられます。


ご自身が働く中で見出した「学びの形」の重要性を子どもたちに伝えたいという強い思いがあるからこそ、それが現在の授業スタイルに反映されているようにも思えますね。

学びのヒント

中原先生、ありがとうございました。


今回の先生のお話の中での「学びのヒント」としては以下のことが挙げられると思います。


学びのヒント

(1)「創造性」と「AIやデータの力の活用」がこれからの社会のキーになる

(2)体験の中でまずは実践し、そこから試行錯誤していく姿勢が重要である


しばしばAIやテクノロジーを「使う」側の人間になることが求められているという話を聞きますが、そういった人を育てるためには、やはり学校やご家庭でその経験を積んでいかなければなりません。


中原先生はその上で「学校現場」の果たすべき役割に注目しており、そこでプログラミング教育という形で「創造性」「テクノロジーの活用」を掛け合わせた授業スタイルを展開しています。


STEAM教育という言葉が話題に挙がり、「A=Art」の重要性も注目されていますが、まさしくこれから求められるのは「創造性」を発揮し、「テクノロジーを活用」して新しいものを”デザイン”していく力なのでしょう。


そして、もう1つは経験や体験の中で、実践的に学んでいくことがこれからはより一層重要になっていくと予見されます。


知識・技能を獲得するだけに留まらず、それを使って何ができるのかを思考することは非常に大切であり、これは体験・経験の中でこそ「生きた力」として培われていくものです。


こういった経験や体験の場を何とか学校の現場で子どもたちに用意できないかと奮闘されているのが、中原先生だということですね。


次回の記事では、ご家庭でもできるプログラミング教育に役立つ勉強や本、また「創造性」や「テクノロジーを活用する力」を育てるためにご家庭で準備したいことといった話題に迫っていきます。

おすすめの本

今回の記事に関連したおすすめの参考書・問題集をご紹介させていただきます。


関連書籍

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ぜひ一度お手に取ってみてください。

今回の賢者

中原 悟

加藤学園暁秀初等学校ICTコンピュータ専科教諭。2019-2020マイクロソフト認定教育イノベーター。
2018年からオープンプランコース「ICTコンピュータ専科」教諭を務め、コンピュータとプログラミングを活用した「創造性」を育む教育を探究、実践している。
主な指導実績:「小・中学生のための国際ロボット競技会URC2019」レギュラー部門優勝。「マインクラフトカップ2019」大賞受賞。

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