プログラミング教育を充実させるために、家庭ではどんなことをすれば良いのでしょうか?
さて、今週も引き続き加藤学園暁秀初等学校にてICTコンピュータ専科教諭としてご活躍されている中原先生にお話を伺っていきます。
前回の記事では、今注目されているSTEAM教育の話題や先生の学生時代のご経験や学びについてお伺いしました。
詳しくは以下のリンクからご覧ください。
ここまでは先生の授業での取り組みや先生ご自身の経験に関するお話がメインとなっていましたが、今回はご家庭でもできるプログラミング教育への準備やおすすめの本や映画といった話題にも触れていきます。
特におすすめの本や映画については、「創造性」を養うという観点で先生が作品を選んでくださっているので、非常に参考になるのではないかと思います。
ぜひ最後まで読んでみてください。
それでは、中原先生よろしくお願いいたします。
指導実績の欄でもご紹介しておりますが、中原先生がご指導されている児童たちは、「小・中学生のための国際ロボット競技会URC2019」や「マインクラフトカップ2019」で優勝するなど活躍をみせています。
ここまでのインタビューの中で、先生の授業の中で子どもたちがどんな力を身につけたのかについてはお伺いしました。
そこでもう少し踏み込んで特に大会で優勝したり、賞を受賞したりした子どもたちに共通することはあるのかどうかという観点で質問してみました。
ロボコン全国・国際大会優勝者や、マインクラフトカップ2019大賞受賞者になる子どもたちに共通していることはありますか?
「徹底して調べる力」「議論する力」「失敗を恐れない力」「あらゆる場合を想定して、準備する力」など色々あります。
状況やチームのメンバーを鑑みて、柔軟に自分の役割や行動を考えられる力が重要なのですね!
プログラミングと聞くと、どうしてもステレオタイプ的に1人で黙々とコンピュータに向かい合っているというイメージが浮かびます。
しかし、エンジニアとして活躍している人たちも、多くの場合、開発の現場ではチームで取り組んでいます。もちろん他の職業でもチームの中で成果を出せる個人が求められています。
先生のお話の中で、プログラミングの大会等で活躍する子どもたちに共通しているのは、チームの中で自分がすべきことを把握し、それを徹底できていることだとありました。
これはまさしく社会に出てから活躍するために必要な力に直結しています。
また、授業が週1回45分しかないという状況から、子どもたちが主体的にどうすれば成果を出せるのかを考えるようになったというのも、素晴らしいですね。
日々の授業で作品に向き合うだけでなく、チームでプログラミング活動に取り組むことで、主体性に考えて行動する力や柔軟な対応力なども養うことができるのです。
先ほどの回答の中にも、学校での授業と家庭での学習の連携が1つ話題として挙がっていたかと思います。
そこでお子様のプログラミング教育を充実させていく上で、ご家庭でどんな準備をしておくと良いのかについてもお伺いしてみました。
プログラミング教育をより充実させるために、保護者の方に理解・協力してもらいたい点やご家庭でできることはありますか?
やはり学ぶ環境は重要です。そのため、処理能力の高いノートPCをご家庭でも購入していただきたいです。
やはりPCやタブレットは処理能力が高いものが必要なんですね!
プログラミングを学んでいく上で、PCやタブレットは欠かせないものです。
ただ、PCやタブレットとは言っても、スペックが高いものから低いものまでさまざまな種類があります。
プログラミングはプログラムの実行にやはりある程度の処理能力が求められますので、スペックがあまりにも低いデバイスだとお子様が作業中にストレスを感じることが増えると予見されます。
デバイスの限界がお子様のできることの限界を作ってしまう可能性もありますし、何より処理能力の遅さに伴うストレスでプログラミングが楽しくないと感じるようなことがあっては本末転倒です。
やはり、PCやタブレットを選ぶ際は、お子様の学びたいこと、やりたいことを踏まえて、選んであげたいところですね。
第3回の最後に、先生のおすすめの本や映画、教材についてお聞きしてみようと思います。
今回はプログラミング教育に取り組む子どもたちに読んで欲しい、見て欲しいという観点で作品を挙げていただきました。
ぜひ、ご家庭での読書や映画鑑賞の参考にしてみてくださいね。
プログラミング教育で役立ちそうな教材・本・映画などありますか?
プログラミング教育で役に立つ教材は、YouTubeの解説動画や作品紹介動画、ホームページでの情報だと思います。また、Udemyなどのオンライン講座もおすすめですね。
AIに関する映画でしたら、『トランセンデンス』(2014)だと思います!
映画、小説から、漫画、ゲームに至るまで様々なおすすめをありがとうございます。
中原先生が『トランセンデンス』という作品を挙げておられますが、AIを題材にした映画作品は増えてきています。
人間とAIの恋愛を描いた『her』やAIと人間の親子関係を描いた『アイ・アム・マザー』なども注目されました。
小学生のお子様となると、描写的におすすめできない作品もありますが、中学生以上のお子様であれば、こういった映画作品を見ていくと、想像が膨らむことと思います。
その他にも中原先生に様々な作品を挙げていただきましたが、そこに共通しているのは、自分の現在地とは、異なる世界・時代を舞台にしているものが大半であるという印象を受けます。
顕著なのは、ジェームズ・キャメロン監督の『アバター』ですね。
これは、人類がとある地球外惑星に住む原住民の意識にリンクして、異世界に触れるという設定になっていて、まさに先生の仰られた「ストーリーに広がる世界観に触れ、頭の中に絵や画像をイメージする」を体現するような作品です。
山崎豊子さんの大河小説や高畑勲監督作品は、今とは違う時代を追体験できるような感覚を覚えますし、先生の挙げておられるマンガやゲームは、ほとんどが私たちの住む世界とは隔てられた異世界を舞台にしています。
そういう意味でも、今自分がいる時代や場所から隔てられた「物語」を通底する「世界観」を理解しようと想像力を働かせながら、作品を鑑賞することは、創造性の涵養につながると言えるのではないでしょうか。
ここで挙がっている作品で、気になったものがあれば、ぜひお子様に勧めてみてください。
中原先生、ありがとうございました。
今回の先生のお話の中での「学びのヒント」としては以下のことが挙げられると思います。
(1)お子様のやりたいことが実現できるデバイス選びを!
(2)「創造性」を養うために映画や本で想像力を働かせる訓練を!
「プログラミング教育」が学校教育の現場に導入されるということで、ご家庭でどんなことをすれば良いのかという点は大きな悩みの種になるかもしれません。
ただ、まずはご家庭でお子様が「やりたいこと」に取り組める環境を用意してあげるようにしたいですよね。
特に今回の先生のご回答にもあったコンピュータやタブレット等のデバイス選びは、お子様の学習意欲や学習できる内容に影響を与える可能性があります。
そのため、お子様がどんなことに取り組みたいのかを第一に考えたデバイス選びをしてあげたいですね。
また、中原先生は子どもたちに「創造性」を身につけて欲しいと強く願っておられますが、そのために本や映画を鑑賞しながら「想像する」訓練をしてほしいと仰っていました。
自分の住んでいる世界や時代とは、異なる「世界観」に触れ、想像力を働かせてそのイメージを頭に思い浮かべることは1つ効果的と言えるのではないでしょうか。
勉強の合間に、先ほど先生が挙げてくださったような作品を親子で鑑賞してみるというのも、1つお子様の「想像力」の向上に繋がる学びになるはずです。
中原先生へのインタビューは次回が最終回となります。
最終回では、中原先生がこれからを生きる子どもたちが身につけるべき力について熱く語っていただいておりますので、ぜひご一読ください。
今回の記事に関連したおすすめの参考書・問題集をご紹介させていただきます。
SUPER理科事典
○科学や自然環境に対しての「なぜ」1つ1つを1単元とし,くわしく解説することによって,小学3年~高校1年程度の理科の学習内容が理解できるようになっています。
○768ページ(三訂版比で32ページ増!)と大容量で,理科に関する新しい情報や知識が満載です。
今回ご家庭での学習環境が大切というお話がありましたが、それに関連して、ぜひお子様の本棚に1冊入れておきたいのが、この『SUPER理科事典』です。
小学3年~高校1年程度の理科の学習内容を網羅的に掲載しているという充実の情報量ですので、お子様が疑問に感じたことがあれば、すぐに調べ学習ができます。
分からないことや疑問に思ったことをそのままにしないという癖づけができ、自ら学びに向かう姿勢を作る上でも一役買うことができると思います。