【第3回】チームで学ぶプログラミングと家庭で楽しく養う想像力

プログラミング教育を充実させるために、家庭ではどんなことをすれば良いのでしょうか?


さて、今週も引き続き加藤学園暁秀初等学校にてICTコンピュータ専科教諭としてご活躍されている中原先生にお話を伺っていきます。


前回の記事では、今注目されているSTEAM教育の話題や先生の学生時代のご経験や学びについてお伺いしました。


詳しくは以下のリンクからご覧ください。



ここまでは先生の授業での取り組みや先生ご自身の経験に関するお話がメインとなっていましたが、今回はご家庭でもできるプログラミング教育への準備やおすすめの本や映画といった話題にも触れていきます。


特におすすめの本や映画については、「創造性」を養うという観点で先生が作品を選んでくださっているので、非常に参考になるのではないかと思います。


ぜひ最後まで読んでみてください。


それでは、中原先生よろしくお願いいたします。

チームでのプログラミング学習で身につく力とは?

指導実績の欄でもご紹介しておりますが、中原先生がご指導されている児童たちは、「小・中学生のための国際ロボット競技会URC2019」「マインクラフトカップ2019」で優勝するなど活躍をみせています。


ここまでのインタビューの中で、先生の授業の中で子どもたちがどんな力を身につけたのかについてはお伺いしました。


そこでもう少し踏み込んで特に大会で優勝したり、賞を受賞したりした子どもたちに共通することはあるのかどうかという観点で質問してみました。


ロボコン全国・国際大会優勝者や、マインクラフトカップ2019大賞受賞者になる子どもたちに共通していることはありますか?

「徹底して調べる力」「議論する力」「失敗を恐れない力」「あらゆる場合を想定して、準備する力」など色々あります。

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加えて、それらの力を発揮するためには、自分が作った作品やロボットを発表したい、それを使いたいという「強い気持ち」が大切だと思います。

そのため、作品提出前の作業やプレゼン練習、大会での試合中に本気で議論しています。それだけ自分たちの作品に強い思い入れがあることの現れですね。

特に、優勝するチームに共通していたことは、抜群のリーダシップを発揮するリーダー、プログラマー、操作/操縦者(スキッパー・ドライバー)がいて、その役割を1人ひとりが心得ていたことです。

自分がそのチームの中でできることを理解し、その役割に徹することができる者が集まったバランスの良いチームが優勝しているかと思います。

またロボットプログラミングの大会は、本番で突発的なトラブル(通信トラブル)や、本番当日に発表される課題があるので、そこまで想定して準備する力も必要です。

大会当日、子どもたちは本当に緊張していますので、その緊張下でベストパフォーマンスを発揮できるように、日頃からルールや評価指標を徹底し読み込み、本番を「想定」した練習を積み重ねます。

また、クラブ活動も授業も、基本的には週1回45分なので、授業だけでは本来実施したい活動は十分にできません。

しかし、逆転の発想で、自分1人でできる準備は普段から家庭で主体的に行い、みんなが集まって練習できる時にチームで集中して取り組んできた状況が良かったのだろうと思います。


状況やチームのメンバーを鑑みて、柔軟に自分の役割や行動を考えられる力が重要なのですね!


プログラミングと聞くと、どうしてもステレオタイプ的に1人で黙々とコンピュータに向かい合っているというイメージが浮かびます。



しかし、エンジニアとして活躍している人たちも、多くの場合、開発の現場ではチームで取り組んでいます。もちろん他の職業でもチームの中で成果を出せる個人が求められています。


先生のお話の中で、プログラミングの大会等で活躍する子どもたちに共通しているのは、チームの中で自分がすべきことを把握し、それを徹底できていることだとありました。


これはまさしく社会に出てから活躍するために必要な力に直結しています。


また、授業が週1回45分しかないという状況から、子どもたちが主体的にどうすれば成果を出せるのかを考えるようになったというのも、素晴らしいですね。


日々の授業で作品に向き合うだけでなく、チームでプログラミング活動に取り組むことで、主体性に考えて行動する力や柔軟な対応力なども養うことができるのです。

プログラミング教育のために家庭で用意したいものは?

先ほどの回答の中にも、学校での授業と家庭での学習の連携が1つ話題として挙がっていたかと思います。


そこでお子様のプログラミング教育を充実させていく上で、ご家庭でどんな準備をしておくと良いのかについてもお伺いしてみました。


プログラミング教育をより充実させるために、保護者の方に理解・協力してもらいたい点やご家庭でできることはありますか?

やはり学ぶ環境は重要です。そのため、処理能力の高いノートPCをご家庭でも購入していただきたいです。

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宿題やおうちでの習い事、約束事が終わったら、学校でPCを使って取り組んでいること、子どもたちがおうちでもやりたいということに取り組める環境をつくっていただければと思います。

ノートPCやデスクトップPC、低学年ではタブレット型端末は、今の時代では、「ノート」や「辞書」「教科書」のような学習道具(ツール)みたいなものだと捉えていただければと思います。

えんぴつがなければ文字も書けないのと同様で、プログラミングで養いたい力は、PCやタブレットがなければ得られません。


やはりPCやタブレットは処理能力が高いものが必要なんですね!


プログラミングを学んでいく上で、PCやタブレットは欠かせないものです。


ただ、PCやタブレットとは言っても、スペックが高いものから低いものまでさまざまな種類があります。


プログラミングはプログラムの実行にやはりある程度の処理能力が求められますので、スペックがあまりにも低いデバイスだとお子様が作業中にストレスを感じることが増えると予見されます。


デバイスの限界がお子様のできることの限界を作ってしまう可能性もありますし、何より処理能力の遅さに伴うストレスでプログラミングが楽しくないと感じるようなことがあっては本末転倒です。


やはり、PCやタブレットを選ぶ際は、お子様の学びたいこと、やりたいことを踏まえて、選んであげたいところですね。

プログラミング教育に役立つ本や映画は?

第3回の最後に、先生のおすすめの本や映画、教材についてお聞きしてみようと思います。


今回はプログラミング教育に取り組む子どもたちに読んで欲しい、見て欲しいという観点で作品を挙げていただきました。


ぜひ、ご家庭での読書や映画鑑賞の参考にしてみてくださいね。


プログラミング教育で役立ちそうな教材・本・映画などありますか?

プログラミング教育で役に立つ教材は、YouTubeの解説動画や作品紹介動画、ホームページでの情報だと思います。また、Udemyなどのオンライン講座もおすすめですね。

AIに関する映画でしたら、『トランセンデンス』(2014)だと思います!

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『トランセンデンス』は、天才コンピュータサイエンティストの頭脳を、コンピュータネットワークの中に「移植する」というお話です。

コンピュータネットワーク上に「意志」が存在することによって、コンピュータネットワークは、一体何を企てるのでしょうか。この設定は、仮説として「シンギュラリティ」を再現したのではないかと思いました。
(※シンギュラリティ:発達した人工知能(AI)が人間の知性を超越し、その結果として人間の生活に大きな変化が起こる技術的ば特異点を指す。)

プログラミング教育には、直接役に立たないかもしれませんが、「創造性」を身につけるには、壮大な「ストーリー」に広がる「世界観」に触れ、頭の中に絵や画像をイメージする「想像力」を養うことが必要かもれしません。

その際に役立つ映画や本、漫画、作品をいくつか挙げさせてください。

実は私、映画や文学作品、漫画が大好きなのです。特に映画では、オリジナル脚本や原作を読み、それをどう映像として表現したのかを分析するという楽しみ方をしています。

また、漫画や映画で理論や歴史を学ぶことも大好きです。特に、その作者の解釈や仮説、発想の源を想像する、辿ることに魅力を感じています。

① ジョージ・R・R・マーティン『Game of Thrones』
(こちらは映像の場合R指定があるので学生の視聴は絶対させないでください。)
② J・R・R・トールキン氏『指輪物語』(Load of the Ring)
③ ジェームズ・キャメロン監督作品、特に『アバター』『エイリアン2』
④ クリストファー・ノーラン監督作品、特に『インターステラ―』『インセプション』
⑤ ミヒャエル・ハネケ監督作品(R指定制限あり)
⑥ 山崎豊子氏の大河小説全部
⑦ ル・グウィン氏『ゲド戦記』(原作のみ)
⑧ 手塚治虫氏漫画作品
⑨ 宮崎駿監督作品と高畑勲監督作品
⑩ 歴史(小説)、聖書、海外文学の古典(国際バカロレア文学指定作品は全部面白い)
⑪ 漫画(ドラゴンボール、北斗の拳、聖闘士聖矢、キャプテン翼、スラムダンク…)
⑫ ゲーム(ドラクエ・ファイナルファンタジー、メトロイド)などなど


映画、小説から、漫画、ゲームに至るまで様々なおすすめをありがとうございます。


中原先生が『トランセンデンス』という作品を挙げておられますが、AIを題材にした映画作品は増えてきています。



人間とAIの恋愛を描いた『her』やAIと人間の親子関係を描いた『アイ・アム・マザー』なども注目されました。


小学生のお子様となると、描写的におすすめできない作品もありますが、中学生以上のお子様であれば、こういった映画作品を見ていくと、想像が膨らむことと思います。


その他にも中原先生に様々な作品を挙げていただきましたが、そこに共通しているのは、自分の現在地とは、異なる世界・時代を舞台にしているものが大半であるという印象を受けます。


顕著なのは、ジェームズ・キャメロン監督の『アバター』ですね。


これは、人類がとある地球外惑星に住む原住民の意識にリンクして、異世界に触れるという設定になっていて、まさに先生の仰られた「ストーリーに広がる世界観に触れ、頭の中に絵や画像をイメージする」を体現するような作品です。


山崎豊子さんの大河小説や高畑勲監督作品は、今とは違う時代を追体験できるような感覚を覚えますし、先生の挙げておられるマンガやゲームは、ほとんどが私たちの住む世界とは隔てられた異世界を舞台にしています。


そういう意味でも、今自分がいる時代や場所から隔てられた「物語」を通底する「世界観」を理解しようと想像力を働かせながら、作品を鑑賞することは、創造性の涵養につながると言えるのではないでしょうか。


ここで挙がっている作品で、気になったものがあれば、ぜひお子様に勧めてみてください。

学びのヒント

中原先生、ありがとうございました。


今回の先生のお話の中での「学びのヒント」としては以下のことが挙げられると思います。


学びのヒント

(1)お子様のやりたいことが実現できるデバイス選びを!

(2)「創造性」を養うために映画や本で想像力を働かせる訓練を!

「プログラミング教育」が学校教育の現場に導入されるということで、ご家庭でどんなことをすれば良いのかという点は大きな悩みの種になるかもしれません。


ただ、まずはご家庭でお子様が「やりたいこと」に取り組める環境を用意してあげるようにしたいですよね。


特に今回の先生のご回答にもあったコンピュータやタブレット等のデバイス選びは、お子様の学習意欲や学習できる内容に影響を与える可能性があります。


そのため、お子様がどんなことに取り組みたいのかを第一に考えたデバイス選びをしてあげたいですね。


また、中原先生は子どもたちに「創造性」を身につけて欲しいと強く願っておられますが、そのために本や映画を鑑賞しながら「想像する」訓練をしてほしいと仰っていました。


自分の住んでいる世界や時代とは、異なる「世界観」に触れ、想像力を働かせてそのイメージを頭に思い浮かべることは1つ効果的と言えるのではないでしょうか。


勉強の合間に、先ほど先生が挙げてくださったような作品を親子で鑑賞してみるというのも、1つお子様の「想像力」の向上に繋がる学びになるはずです。


中原先生へのインタビューは次回が最終回となります。


最終回では、中原先生がこれからを生きる子どもたちが身につけるべき力について熱く語っていただいておりますので、ぜひご一読ください。

おすすめの本

今回の記事に関連したおすすめの参考書・問題集をご紹介させていただきます。


関連書籍

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分からないことや疑問に思ったことをそのままにしないという癖づけができ、自ら学びに向かう姿勢を作る上でも一役買うことができると思います。

今回の賢者

中原 悟

加藤学園暁秀初等学校ICTコンピュータ専科教諭。2019-2020マイクロソフト認定教育イノベーター。
2018年からオープンプランコース「ICTコンピュータ専科」教諭を務め、コンピュータとプログラミングを活用した「創造性」を育む教育を探究、実践している。
主な指導実績:「小・中学生のための国際ロボット競技会URC2019」レギュラー部門優勝。「マインクラフトカップ2019」大賞受賞。

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