【第2回】何事にも「面白さ」を見出せる才能?西崎先生の学生時代に学ぶ好奇心の大切さ

子どもは映画やドラマを見ていると、ちょっとしたことが気になって「なんで?なんで?」と疑問を口にしますよね。


今週も引き続き広島フィルム・コミッションの西崎智子先生にお話を伺っていきたいと思います。


前回の記事では、フィルム・コミッションというお仕事の概要や魅力についてお話していただきました。


西崎先生は、広島を拠点として、映画のロケの誘致、撮影~上映の支援や作品を活用したイベントの企画など幅広い活動に取り組まれています。


詳しくは以下のリンクからご確認ください。



今回は、西崎先生がどんなきっかけや出来事を経て、今の道を選ばれたのかについてや学生時代のご経験などについてお聞きしてみたいと思います。


やはり映画漬けの学生時代だったのでしょうか・・・。


その辺りも非常に気になるところですよね。


それでは、西崎先生よろしくお願いいたします。

■ 映画の力を感じた瞬間


まず、気になるのは西崎先生がどんなきっかけがあって、今のフィルム・コミッションの道を選ばれたのかということについてですよね。


映画がお好きな方はたくさんいらっしゃることと思いますが、この職種は意外と知られていないのではないかと推察します。


そのため、どんな経緯でこのお仕事に興味を持たれたのかという点は非常に気になるところだと思います。まずはそれについてお伺いしてみましょう。


なぜ、フィルム・コミッションの道を選ばれたのですか?エピソードなどあればお聞きしたいです。

海外からのお客さまに広島をご案内していた時に

「あー!“あの映画”の広島に来ることができた!」

と感慨深く話される方が多くいらっしゃいました。

海外からのお客様を案内していたというのは、「フィルム・コミッショナーとして」でしょうか?

元々は観光マーケティングの講師として働いていて、通訳としても活動していました。

その後、国内外の会議やイベント、お客様を誘致する広島コンベンションビューローに入所して、海外から来たお客様に広島を案内していました。

その時に、「“あの映画”の広島に!」という言葉を何度もいただきました。

ちなみにですが「あの映画」というのは?

アラン・レネ監督のフランス映画『ヒロシマモナムール』(邦題:『二十四時間の情事』)です。



フランス映画で、広島を舞台にした作品が撮られていたんですね!

はい。中には「フランス人は全員見ています」と言い切られるフランスの方もいました。

遠い国の広島に、映画を通して想いを馳せてくださる方に出会うたび、映画の力を実感しました。

そうして、映画を切り口に広島を売り込むことに魅力を感じたことが、フィルム・コミッションの仕事に携わるようになった大きなきっかけだと思います。


映画を通じて、フランスの方が「広島」という土地に関心を寄せていたというのが、すごく印象深いですね。



西崎先生は、フランスから映画ファンのツアー(約35名のグループ)が広島に来られて、平和記念公園内の『ヒロシマモナムール』『この世界の片隅に』のロケ地を案内したご経験もあるそうです。


そんな風に人と人、人と街が繋げる可能性があるのだと考えると、映画というコンテンツはまだまだ大きな可能性を秘めているようにも感じられます。


また、映画やドラマを見て、その舞台になった場所を実際に訪れるというのは、作品を味わうための1つの形です。 ぜひ、家族でお出かけ・旅行に行かれる際は、そういった聖地巡礼・ロケ地探訪のようなこともしてみてください。

■ 好奇心を止めるな?


さて、先ほどは西崎先生がフィルム・コミッションの道を選んだきっかけや印象深いエピソードをお聞きしました。


次に、賢者のインタビューでは恒例の学生時代の話題に踏み込んでみたいと思います。


今、業界の第一線で活躍されている先生の学生時代には、「学びのヒント」がたくさん詰まっています。


やはり映画に没頭していたのか、それとも何か他のことに取り組まれていたのか。その辺りも気になりますね。


西崎先生はどんな学生時代を過ごされましたか?

もちろん勉強には取り組んでいました。

その一方で、両親には勉強していたら『ローマの休日』が始まるからテレビを見るように言われたりしましたね…(笑)

当時はネットのオンデマンドやDVD、ビデオすらなかったので、良い作品を見る機会は貴重でした。

やはり学生時代は映画に没頭されていたんでしょうか?

映画だけに興味があったというよりは、どんなことにも関心がありましたね。面白そうな小説や、料理や手芸の本もいつも周りにあって、毎日のように読書したり、お菓子を作ったりセーターを編んだりしていました。

なるほど。どんなことにも好奇心を持って取り組まれていたんですね。

海外の方とコミュニケーションを取る機会も多いようですが、英語にはやはり学生時代から力を入れていたのでしょうか?

そうですね。父から「教科書英語だけじゃ~」と衝撃的なタイトルがつけられた本を渡されたりもしました。

しかし、この本や映画、演劇などとの出会いが英語も「生きた言葉」なんだということを実感させてくれ、それが英語の勉強に力を入れるきっかけにもなりました。

教養的な楽しさ・面白さが勉強のモチベーションに変わっていったんですね!

他にも高校では、ギターから始めてバンドを組んだり、大学でシェイクスピア英語劇をやったり、とにかくやってみたいことは、すぐにチャレンジしていた学生時代だったように思います。


西崎先生の学生時代のエピソードから伺えるのは、好奇心のままにのびのびとどんなことにでも取り組める環境の大切さではないでしょうか。


もちろん勉強は大切なのですが、お子様が自ら好奇心や興味を持って取り組まれていることを「勉強をしていない」という理由で否定してしまうと、好奇心の芽を摘んでしまう可能性があります。


経験は財産であり、無駄になることはありませんから幼少の頃や学生時代は、とにかく興味があることにはどんどんと取り組める環境を作ってあげたいですね。


とは言っても、学校の勉強・受験勉強は大切です。そこで参考になるのが、西崎先生の英語の勉強へのモチベーションの生まれ方ではないでしょうか。


教科書を飛び越えた教養としての英語に映画や演劇などを通じて触れたことが、結果的に教科としての英語学習へのモチベーションにも繋がっています。


このように学ぶことの楽しさや面白さから生まれた勉強への動機やモチベーションは非常に主体的であり、強固です。


勉強が嫌いなお子様には、どんな動機やきっかけがあれば自発的に勉強したくなるかという視点で学習計画を考えるのが効果的ではないでしょうか。

■ 好奇心が生む映画への情熱


先ほど、西崎先生の学生時代のエピソードをお伺いしました。


次に、第2回の最後ということで、学生時代の勉強や経験がどんな形で今のフィルム・コミッションのお仕事に活かされているのかについてお聞きしてみました。


とにかく何事にもチャレンジされていたという学生時代が印象的ですが、その頃の勉強や経験で今のフィルム・コミッションのお仕事にも活かされていることは何ですか?

広島は、海外からの撮影が多く、海外ロケの誘致・支援件数は全国一レベルです。海外撮影のサポートにおいて、直接的に役立っていると言えるのは、やはり英語でしょうね。

英語が使えると、より多くの人とコミュニケーションを取れるので、やはり大切になってきますよね。

また、何事にも好奇心を持って取り組んでいたという経験は、今の仕事に一番役立っていることだと思います。

どんなストーリーやテーマの映画であっても、それを自分のこととして取り組んでいけるのは、好奇心のなせる業ではないでしょうか。

映画という他人が思い描いた「イメージ」に興味・関心を持って、その実現に情熱を注ぐというのは、確かに好奇心があってこそのものかもしれませんね。

そうですね。あとは映画作りの現場は、多くの人の協力のもとで成立するものです。こういった現場の支援・調整という面では、学生時代にゼロから作り上げるイベントを開催した経験や、何ごとも「まずはやってみよう!」とすぐに行動していたことが役立っていると思います。

ゼロから作り上げるイベントというのは?

高校時代にバンドを組んでいたのですが、自分たちが出演するためのコンサートの企画・運営・宣伝を自ら担当したりしていました。

学生時代に、既に企画や宣伝といった今のお仕事にリンクするような活動をしていたんですね!


他人が思い描いているイメージに「面白い」と感じられることは実はすごく大切であり、簡単ではありません。


社会に出て、仕事を始めると、もちろん自分が企画・立案した仕事ばかりを任されるわけではなく、誰かが発案した企画やイベントなどを任されることの方がむしろ多いくらいかもしれません。


そんな中で、任された仕事に対して好奇心や興味を持って取り組み、そこに「面白さ」を見出して、自分のこととして主体的に取り組める力は、まさに求められているものだと思います。


そんな好奇心を持って何事にも楽しみを見出す力というのは、やはり子どもの頃の方が育ちやすい傾向があります。


ぜひ、保護者の皆さまには、好奇心を持って物事に取り組むお子様を、サポートしつつ温かく見守ってあげて欲しいと思います。

■ 学びのヒント


西崎先生ありがとうございました。


今回の「学びのヒント」としては以下の点が挙げられるのではないでしょうか。


学びのヒント

・好奇心を持ち、何ごとにも「面白さ」を見出すことの重要性


西崎先生の話の中にもありましたが、何ごとでも「自分のこと」として、魅力や面白さを見出せる力というのは、絶対に将来役立つものです。


魅力や面白さを感じることができれば、主体的に取り組もうとする姿勢が生まれます。


そしてこれはお子様の勉強についても言えることです。勉強に集中できない、身が入らないという悩みが生まれるのは、勉強することに楽しさや面白さを見出せていない状態とも言えます。


それを解決するためにも、お子様が勉強を「自分のこと」として捉えられるようにサポートすることが必要であり、好奇心や興味・関心はそのための大きな原動力になります。


また映画やアニメ、本を鑑賞して、お子様が興味・好奇心を感じておられたら、実際にその場所を訪れてみたり、登場した食べ物を食べてみたりといった体験をさせてあげるのも効果的でしょう。


『銀の匙』の授業で有名なエチ先生こと橋本武先生は劇中に登場する駄菓子を食べながら授業をするなんてこともあったんだとか。


お子様の好奇心や興味をうまくサポートして、学びの「面白さ」に気がつかせてあげられると良いですね。


その上でも今回お話しいただいた西崎先生の学生時代のエピソードは非常に参考になる点も多いのではないでしょうか。


関連映画作品

この世界のさらにいくつもの片隅に

ポスター画像西崎先生の所属する広島フィルム・コミッションが支援された本作がいよいよ2019年12月20日に公開されます。

2016年に公開され大ヒットを記録した『この世界の片隅に』に250カットを超えるシーンが追加された長尺版となります。

ぜひこちらも劇場でご覧ください!

映画公式サイトはこちらから

■ 関連書籍

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科学のなぜ?新事典

科学のなぜ?新事典○取り上げるテーマを,地球・宇宙のふしぎ,植物のふしぎ,動物のふしぎ,私たちのからだのふしぎ,身近なふしぎの5つの分野に分けて,いろいろな「なぜ?」を紹介しています。

○実験・観察の方法などもビジュアル付きで分かりやすく紹介しています。

詳しくはこちらから


お子様は常に身の回りのことに好奇心を持っており、たくさんの「なぜ?」を抱いています。


本書はそれに応えるべく作られた全く新しい理科事典です。お子様の「なぜ?」を解決に導いてくれるヒントがたくさん詰まっています。


ぜひ本書を手に取っていただいて、親子で理科学習を進めてみてくださいね。

今回の賢者

西崎 智子

香川県出身。2003年より現職。
2005年AFCI(国際フィルム・コミッショナーズ協会)認定の国際フィルム・コミッショナー資格取得。
初支援作品は『父と暮せば』。主な支援作品に『夕凪の街 桜の国』や『エルネスト』『孤狼の血』、市街地で爆破シーン撮影を行った『DOG×POLICE 純白の絆』ほか、広島ならではと言える海外作品の支援も多い。公開まで5年半にわたり支援を続けたアニメーション映画『この世界の片隅に』。