【第1回】聖地巡礼を研究?岡本健先生に聞く観光社会学の魅力と面白さ


昨今、話題になっている「聖地巡礼」。

先生や保護者世代ではちょっと馴染みのない言葉ですが、子ども世代では意外な広まりをみせています。

単なる一過性のブームだとお思いになる方もいらっしゃるかもしれません。

一方で、「聖地巡礼」を学問として研究する観光社会学という分野があるのをご存じでしょうか?

今回は、そんな観光社会学のスペシャリストである岡本健先生に4週にわたりインタビューしてみました!

第1週となるこの記事では、観光社会学の魅力や面白さについてお答えいただきました。

観光も家族でできることですし、きっと学びに繋がるヒントがあるはずですよ!


観光社会学って?

 

岡本健先生のお名前を調べてみますと、「聖地巡礼」や「ゾンビ」という言葉が出てきますが、一体どんな研究をされているんでしょうか。まずは、その謎に包まれた研究の内容についてお聞きしてみました。

 

岡本先生の専門分野について、教えてください。

観光社会学メディアコンテンツ学です。
前者はアニメやゲームの聖地巡礼、後者はゾンビの研究をしています。

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観光社会学は、観光が社会の中でどのような役割を果たすのか、観光に関わって人々はどのような関係性を取り結ぶのか、そういったことを考える分野です。アニメの舞台になった場所を探し出して人々が訪れる行為を「聖地巡礼」と言いますが、私はそれを研究しています。

メディアコンテンツ学は、情報を伝える媒体を「メディア」、その中を流れる情報を「コンテンツ」と考えて、それらを分析する学問です。私は、最近流行しているゾンビを取り上げて、その歴史やメディアとのかかわり、コンテンツの内容的特徴などを研究しています。

観光社会学の魅力や面白さは?

 

先ほど「観光社会学」というキーワードが登場しましたが、これについてもう少し掘り下げていきましょう。次に、岡本先生の思う観光社会学の魅力や面白さについてお聞きしてみました。

 

観光社会学の面白さを一言で教えてください。

観光やコンテンツに関わって、人と人、人と場所、人とモノが偶然出会い、そこから面白いものが生まれる点ですね。

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人々が観光すると、普段の日常では出会わない人、モノ、場所と出会います。

つまりそれは異文化同士が出会うということです。

そこでは摩擦やいさかいが起こることもありますが、これまで誰も思いつかなかった創造的なアイデアや取り組みが生まれてくることもあります。私はそんな観光の現場で起こる創造性に惹かれています。

一方のゾンビについても、ゾンビ映画という一見するとグロテスクでただワンパターンなだけのジャンルですが、よくよく分析してみると、クリエイターたちの工夫にあふれています。こうした「面白いアイデア」や「クリエイティビティ」を感じられるのが面白いところです。

観光社会学の特徴って?

 

観光について研究すると言えば、観光学という分野があります。観光学は観光企業の経営や事業計画の作成といった実務的なことを研究するイメージです。観光社会学はそういった研究分野と比較してどんな特徴があるのでしょうか。第1週の締めくくりとしてお聞きしてみました。

 


関連する分野との、似ているところ・違うところを教えてください。

観光の経済効果だけでなく、人や社会の営み、幸せに注目します。コンテンツは内容だけでなく多角的に分析します。

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観光学の中には、経済効果や持続可能性などが関心の中心の分野もあります。

確かにそれらも重要な論点ではありますが、私は観光の現場における旅行者、地域住民、観光事業者の「ふるまい」や「コミュニケーション」に注目しています。どのようなかかわり方が人々を笑顔にするのか、幸せな関係性につながるのか、こうしたことを考えています。

コンテンツ研究は、作品の内容を批評したり分析したりするだけでなく、ジャンルの歴史、メディアや社会の状況とのかかわり、他作品との比較などを通じて、多角的に分析、考察していきます。

そうすることで、作品の見方が深まり、これまで「面白い」「好き」で終わっていたものを、知らない人にわかりやすく説明できるようになります。

学びのヒント

 

岡本先生ありがとうございました。

今週のインタビューでは「多面的・多角的思考」という点が学びのヒントになりそうです。

文部科学省でも道徳を教科化する際にこの言葉を強調し、育むべき力であるとして重要視しています。

観光研究やコンテンツ研究は一見、教育とは無縁のように思えるかもしれません。

しかし、多面的・多角的に考えていくことが新たな「学び」に繋がっていくという点で、間違いなく教育にも通じるところがあると思います。

次週も、岡本先生にインタビューする形式で、冒頭でもキーワードとして挙げた「聖地巡礼」にもう少しフォーカスしながら、学びのヒントを探っていきます。

 

おすすめの本

 

今回の記事の話題は観光社会学でしたが、増進堂・受験研究社から発売されている2つの白地図参考書をおすすめさせていただきます。

「中学 100%丸暗記 白地図&用語」そして「小学 白地図まとめノート」はどちらも白地図をもとに地名を覚えることを目的とした参考書です。それだけではなく、この2冊は国や地域の産物や名所、特色に至るまで基本的な情報をしっかりと網羅しています。

この本を活用して学習を進めながら、お子様が興味をもった場所に、ご家族で実際に旅行で訪れるなどしてみると、より深い「生きた学び」に繋がっていくこと間違いなしです。

 

今回の賢者

岡本 健

近畿大学 総合社会学部 准教授。
1983年奈良市生まれ。北海道大学文学部で認知心理学を学ぶ。
同大学大学院国際広報メディア・観光学院に進学し、観光研究を始める。

博士(観光学)。専門は観光社会学、メディア・コンテンツ学。著書に『巡礼ビジネス』(KADOKAWA)、『ゾンビ学』(人文書院)、『アニメ聖地巡礼の観光社会学』(法律文化社)など多数。

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