【第4回】宇宙分野で活躍する子供を育てるために!求められる2つの力とは?

子どもが宇宙に興味があるんですが,一体どんな力が必要で,どんな活動や勉強をしておくと良いんだろう・・・。


今週も引き続き千葉工業大学工学部准教授の和田豊先生にお話を伺っていきたいと思います。和田先生へのインタビューは今回が最終回となります。


前回の記事では,先生の専門である航空宇宙工学を学ぶためにどんな力が求められるのかやその力を養うための勉強法やおすすめの本などについてもお話しいただきました。


詳しくは以下のリンクからご覧ください。



そして第4回となる今回は和田先生に宇宙に興味のある子供たちにどんなことをしておくと役立つのかを伺ってみました。


お子様が宇宙に興味があるという保護者の方は必読の内容になっていると思います!


それでは,和田先生お願いいたします!

■ 宇宙分野で実は重要な研究とは?


これから宇宙関連について研究してみたいというお子様はたくさんいらっしゃることと思います。


ただ,宇宙関連と言っても,その中には様々な分野が含まれています。


そんな多様な分野が存在している宇宙関連研究の中で,知名度がそれほど高くないけれども,重要な分野って皆さん気になりませんか・・・?


飲食店でも「知られざる名店」「隠れた名店」って何だかわくわくする響きですよね。


まずは,航空宇宙工学のスペシャリストである和田先生にそんな「知られざる重要分野」についてお伺いしてみました。


宇宙関係は,いろいろな分野が集まっていると思います。あまり知られていないけれど先生が面白いと思う分野を一つ紹介してください。

電源・バッテリー分野です。これが正しく機能しないと人工衛星もロケットも一ミリも動くことができません。

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宇宙関係は人工衛星もロケットも様々なセンサーや制御システム,駆動機構等が搭載され,それぞれが正しく役割をはたして初めて人工衛星やロケットとして機能します。

そして,それらが動くために無くてはならないものが電源・バッテリーです。

電源やバッテリーは人工衛星やロケットを動かすためには無くてはならないものでありながら,ともすると,あるのが当たり前,というように思われてしまうパーツです。

動いて当たり前,動かないと非常に怒られてしまうという完全な縁の下の力持ちですが,この性能が向上すると宇宙機は飛躍的に性能が向上します。

特に小型化や高性能化につながるため,宇宙に特化した電源バッテリー分野はとても面白い分野の一つです。

なるほど!確かに電源・バッテリーって当たり前すぎるからこそ,意外に盲点ですね。


近年,宇宙ステーション無人補給機の「こうのとり」に日本製の蓄電池が積み込まれ,運ばれています。国際宇宙ステーション(ISS)をバッテリーという側面から日本は「縁の下の力持ち」的に支えているんですね。


和田先生の述べられた通りで,電源・バッテリー分野は知名度は低いかもしれませんが,必要不可欠な研究です。


ぜひ,宇宙分野に興味があるお子様には「宇宙研究には実はこんな分野もあるんだよ。」と教えてあげてください。

■ 研究に必要な観察力を養うには?


研究職を目指すにあたってやはり欠かせないのが「観察力」ですよね。


しかし,普段の教科学習や受験勉強では,なかなかこの力を身につけるのが難しいと感じられている保護者の方も多いのではないでしょうか。


そこで,和田先生に「観察力」を養うために小学生からでもできる取り組みや活動はないかお伺いしてみました。


家族で普段から取り組める「観察力」を身につける活動はありますか?

家庭菜園は楽しく観察力を養えると思います。気にしてみてあげると収穫にもつながり楽しく続けられます。

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お子様が楽しく観察が続けられるものを見つけることが大切だと思いますね。

どんなものでも良いと思います。

例えばスポーツを見ていて,好きなチームを1年間応援し,そのチームのどこが良いところでどこが改善するべきところかなどを考えながら見ていくようにしたりするのも「観察力」の涵養につながります。

あるいは家庭菜園なども面白いと思います。

ものによってはわずか1~2ヶ月で収穫できるような植物もあります。

そのような苗を植えて,毎日家族で水やりをしながら葉の周りの様子はどうか,茎はしっかりしているか,実は大きくなっているのか,などを観察し,大切に育てた野菜などは収穫ができるようになると大変うれしいものです。

スーパーで買ってきた豆苗の水栽培もお手軽で面白いですね。豆苗はもう一度食べられるのでお得感も味わえて一石二鳥です。


自分で対象を設定して,それを継続的に観察・分析していくことが「観察力」の向上につながるんですね。


ちなみに和田先生はお子様とミニトマトなどを家庭菜園で育てているそうです。


和田先生の家庭菜園より

難しい題材を設定するのではなく,お子様が興味のある身近なものを題材に選ぶと,より主体的な学習になると思います。


また,THETAと呼ばれるカメラで撮影した360度画像・動画を活用した観察学習のススメを別の記事でご紹介しています。


こちらもぜひ読んでみてください。


■ 宇宙で求められる力ってなんだろう?


さて,いよいよ最後の質問になりました。


最後ということで,宇宙に興味を持っている子供たちに向けて,宇宙で今,本当に求められている力って何だろう?という点についてお答えいただきました。


子どもが宇宙に興味を持ったら,どんな活動をしたらいいですか?

宇宙では協働が求められます。どんな団体や集団でも良いのでその中で協働する大変さと楽しさを体験してください。

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宇宙に係るお仕事は一人で完結するものはあまり多くありません。ロケットや人工衛星にしてもそれを作り,打上,運用するためには非常に多くの人たちが関わります。

また,国際宇宙ステーションなどでは宇宙飛行士と地上のクルーとの綿密な協働によって安全にそして計画的に運用がされています。

他の人と一緒に働くことが,他業種と比較して,より求められるのではないかと思います。

従って,ぜひチームで何かを行う団体に入ると良いのではないでしょうか。

特に宇宙が好きでしたらまさに宇宙をテーマに活動している日本宇宙少年団は宇宙版ボーイスカウトのような団体ですので,宇宙に興味を持つお子さんでしたら楽しく活動が続けられるのではないかと思います。

宇宙に興味を持つ子供たちの育成・養成団体があるんですね。これはぜひ活用していきたいです。


日本宇宙少年団は、宇宙をテーマにした体験プログラムや宇宙飛行士との交流など,宇宙に興味がある子供たちのために様々な学びの場を用意してくれているそうです。


ぜひ,チェックしてみてください。

■ 学びのヒント


和田先生,ありがとうございました。


今回は,宇宙に興味のあるお子様にすごく有益な内容になっていたのではないかと思います。


学びのヒントとしては,「宇宙分野で活躍するためには『観察力』と『協働力』が求められる」という部分ではないでしょうか。


そしてこれらの能力は,今回の記事で和田先生にお話しいただいたように,幼児・小学生の頃からでも磨いていくことができます。


また,「宇宙教育」という取り組みが近年,非常に注目されています。


JAXAは「宇宙教育」に関してこんな理念を発表しています。


宇宙に関する科学や技術,そして宇宙活動には、青少年に感動を与える,他の分野にはない魅力や大きな影響力が詰まっており,初等中等教育段階での教育活動の素材としてのポテンシャルが極めて高い。従って,これらの素材を使った宇宙教育によって、将来の宇宙航空分野の研究者・技術者を育成するとともに,幅広い人づくり教育を行い,次世代の日本を担う青少年の、広い意味での人材育成・人格形成に貢献する。日常的な話題や社会的な話題について,使用する語句や文,対話の展開などにおいて,支援をほとんど活用しなくても,ディベートやディスカッションなどの活動を通して,複数の資料を活用しながら,多様な語句や文を目的や場面,状況などに応じて適切に用いて,意見や主張,課題の解決策などを,聞き手を説得できるよう,論理の構成や展開を工夫して詳しく話して伝え合うことができるようにする。青少年への宇宙教育 JAXAの教育プログラムより引用

このように,「宇宙教育」というのはもちろん宇宙分野で活躍する人を育てるプログラムなのですが,もっと広義にこれからの社会で活躍できる人を育てるという視点で見ても優れた「学び」なのです。


和田先生にお話しいただいた内容は,宇宙分野ないし航空宇宙工学に関連した内容ではありましたが,それでいてお子様を「社会で活躍できる人間」に育てていく上でも間違いなく重要なものです。


ぜひ,4回の記事にわたって先生にお話しいただいた内容をお子様の日々の「学び」に役立ててあげてください。

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今回の賢者

和田 豊

千葉工業大学工学部准教授。
千葉工業大学惑星探査研究センター非常勤上席研究員を併せて務める。

和田先生の詳しい情報はこちらから