保護者と子どもの二人三脚!算数の家庭学習を充実させる3つのポイント

【第2回】保護者ができる!算数が苦手な子どもにさせない家庭学習の3つのポイントとは?
迫田 昂輝先生

こんにちは。予備校や塾で数学を教えている迫田昂輝です。前回の記事はおかげさまで多くの反響をいただきました。

前回の記事では算数を苦手にしている子が得意になるために、まずは「どんな力を身につけておく必要があるのかという観点でお話させていただきました。

そんな記事の最後の方で、保護者の皆さまの関わり方について言及したのですが、「どういった関わり方をしたらいいのか教えてほしい」「家庭でうまく学習させられない」という声も頂戴いたしました。

第2回となる今回は、家庭学習において、保護者の方に意識して欲しいサポート についてお話ししたいと思います。

対象となるのは、小学生のお子様全般にはなりますが、特に低学年の段階で徹底しておくと良いことなので、ぜひ最後までご覧ください。

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家庭学習における保護者の役割とは

私が保護者の方に「家庭学習で子供に必要なサポートとは どういったものだと思いますか?」と聞くと、「わからない問題を教えてあげること」と回答される方が多くいらっしゃいます。

しかし、実は「教えること」はそれほど重要ではありません。それよりも、もっと手前でやらなければならないことがあり、大きく3つのポイントに大別することができます。

3つのポイント

1. 環境を整える
2. 習慣化できるように工夫する
3. 自ら考えるようにサポートする

ここからは、上記の3つのポイントについて1つずつ順を追って説明していきます。

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勉強机はどこに置いていますか?

まずは1つ目のキーワードである、「環境」を整える際に保護者の方に意識をしていただきたい点について紹介していきましょう。

子供が自宅で勉強をするとき、どこで行うのが一番効果的なのでしょうか。一般的に効果が高いと言われているのは「ダイニングテーブル」です。普段はご飯を食べたりするテーブルで勉強をさせるのです。

よく「子供部屋を与えているので、そこで勉強させている」という方もいらっしゃるのですが、小学生くらいのお子様は、1人で集中して勉強する習慣がまだついていないので、子供部屋で勉強することは意外と難しいことなのです。

また、通常子供部屋には、お子様の好きなおもちゃやゲームなどが置いてあるケースが多く、注意力が散漫になりがちです。

ダイニングテーブルはリビングやキッチンの側に置いていることがほとんどだと思いますが、大抵そこには誰かおうちの方がいます。

誰かに見守られているという安心感があることで学習に取り組みやすくなるのです。

前回の記事では「計算力」の重要性について書きましたが、これを育てていくにはある程度のトレーニング量を確保していくことも大切になってきます。

しかし、これは計算をひたすら繰り返していくという無味乾燥な作業になりがちです。

そこで、お子様の量的な学習の充実を支えるためにも、保護者の皆さんの「こんなに頑張ったんだ」「すごいね!」といった 働きかけによるお子様のモチベーションの維持が大切になるでしょう。

お子様は常に「褒めて褒めてー!」と、褒められたいものなのです。「おうちの人が見ているので頑張れる」という子はとても多いので、そういった意味でもおうちの人がいる環境下で勉強させてあげましょう。

他にも、家庭の中で学習環境を整える工夫はたくさんあります。家族が集まる空間には、意識的に本を多く置いておくことを心がけてみましょう。本の種類は何でも構いません。料理本や図鑑、雑誌やファッション紙など何でもOKです。

いつでも活字に触れられる環境が読書の習慣やいろいろなものに「気づく力」につながります。算数の文章題が苦手な子は、そもそも活字を読んで理解する力が不足していることが多いので、活字に慣れることは非常に重要です。

日常的に活字に触れ、そこから情報を読み取り、理解しようとする癖づけをしていくことが、算数の文章題に出会った時に、重要な情報を見過ごさず、問題の意図を正確に把握する力にもリンクしていくわけです。

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勉強の習慣は歯磨きと同じ

2つ目のキーワードは「習慣」です。

これまで多くの児童・生徒と接してきましたが、習熟度の差は、勉強の習慣がついているかに関係していると感じています。

勉強が習慣になっている子は、学年が上がり、学習内容が難しくなっても成績が安定しています。勉強の習慣をつけさせることは、非常に重要です。

特に算数は積み重ねの教科であり、苦手な単元があってそれを放置してしまうとドミノ倒しのようにその後に学ぶ単元で躓いていくということが起こりがちです。

そのため、常に学校での授業と並行してこれまでに習った単元の復習をしっかりと毎日の習慣として積み重ねていくことで、苦手を生まない、そのままにしないようにできるのですね。

そうとはいえ、お子様が自発的に勉強を習慣にしていくようになるためには、保護者側の工夫も必要となります。

勉強の習慣としてイメージしやすいのは、毎日の「歯磨き」です。

歯磨きは毎日しますよね。どれだけ疲れていようが、歯磨きをせずに寝ることはないと思います。むしろ、しないと気持ち悪くなっているのではないでしょうか。これと同様に、勉強も毎日決まった取り組み方をすることで習慣化することができます。

いくつかの要点 を紹介していきます。

まず、家庭学習は、必ず決まった時刻に始めるようにします。「〇〇が終わったら宿題をやる」や「帰宅したらすぐやる」よりも、時刻を決めた方が効果的です。

というのも、ご家庭でこんなケースはないでしょうか?

「そろそろ宿題を始めなさーい!」

(ゲーム中)「あと少しでこのステージがクリアできるからそこまで!」

(10分後)

「そろそろ宿題を始めなさーい!」

「あと少しだけ!」

(さらに10分後)

「いい加減にしなさい!!(怒)」

こういった一連のめんどくさいやりとりを経て、渋々お子様が勉強を始める。嫌々始めるわけですから、集中できるわけでもなく、適当にこなして終わらせる。当然、効果的な学習にはなりません。

このような事態を回避するためには、はじめから「この時間になったら勉強をする」ということを刷り込んでおくことが大切です。

そもそも、人間が何かを始める際に腰が重くなってしまうのは、余計なことを考えてしまうからなのです。

例えば、ダイエットで始めたはずの運動。三日坊主になってしまった経験はないでしょうか?その時も私たちは「今日は疲れているから」とか「今日は天気が悪いし」などと、余計なことを考えてしまっています。

シンプルに 「この時間になったらこれをやる」と決めてしまうことが何より大切です。次のような会話で、お子様とルールを作りましょう。

「勉強は毎日やることが大切だから、ちゃんと勉強する時間を決めようか」

「うん」

「学校から帰って、何時からだったら勉強を始められる?」

「学校が終わってから友達と遊んだりしたいから、決められない〜」

「うん、そうだよね。遊ぶのも大切だもんね。でも、学校は毎日あるから、規則正しく勉強をしていくことも大切だよね。じゃあ、学校から帰ってきてすぐ勉強をしてから遊ぶことにしようか。そしたら門限まで遊んでていいよ!」

「わかった!」

「じゃあ、学校が2時30分に終わる日は3時から宿題をやろうか!」

「うん!」

といったやり取りで、時刻を決めてしまいましょう。

このとき大切なことが2つあります。

1つ目は、保護者が一方的に時刻を指定するのではなく、お子様と話し合って時刻を決めてあげることです。

お子様も了承したルールなので、ちゃんと守ろうという意識が働きます。

2つ目は、保護者がルールを破らないことです。

意外に思われるかもしれませんが、このケースはとても多いのです。

例えば、思ったより早くお子様が帰ってきたときに「今日は早く帰ってきから、早めに勉強しちゃいなさい!」なんてことを言ってしまったりしませんか?

早く帰れる日は、お子様にとっては「遊ぶ時間が増える日」なのです。それを勝手に変更させられたらたまったものではありません。

そして、親がルールを勝手に変更すると、お子様も勝手に変更します。「この前は早く始めたんだから、今日は4時からでいいや」なんていうように、自分の都合に合わせてルールを変更するようになり、結果として正しい勉強の習慣がつかなくなるのです。

もちろん、みんなでお出かけするときや、急な予定が入ることもあるでしょう。その時は、しっかりとお子様と話し合って特別な例としてルールを変更するようにします。

また、実生活と算数のリンクを感じられるような取り組みを日常生活の中で習慣化していくのも効果的です。

お買い物はできるだけ連れていき、なるべく現金でお支払いをするようにしてみてください。お金は最も身近な数なので、意識的に触れさせるべきです。

買い物をするときにも、

「こっちの卵は10個で400円だけど、こっちの卵は6個で300円だね。どっちがお得かな?」

「消費税込みで、全部でいくらになるかな?」

なんていう会話をして、数的感覚を身につけさせることも効果的です。

特に算数という科目は、日常生活で考える習慣をつけていくことが大切です。

こちらの詳細もまた、記事として紹介していく予定です。日常にあふれているすべてのもので学習をさせる習慣をつけていきましょう。

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自ら考える子になるには

3つ目のキーワードは「主体性」です。

自ら考え、自ら学ぶ子にしたいというのは、保護者の誰しもが思うことだと思います。これも習慣になるまで、以下の3つのことを意識して取り組んでみてください。

1. 点数について評価しない
2. 答えを教えない
3. 丸つけをして、解き直しまでさせる

①点数について評価しない

1つ目のポイントですが、お子様が勉強嫌いになる要因に「点数による評価」で叱られること、それによって学びへの自信や楽しさを失うことがあります。

国民的アニメのドラえもんでよくあるシーンですが、のび太君のママが0点のテストを握り締め、鬼の形相で詰め寄るシーンがありますが、実は避けていただきたい行動なのです。

そもそも、例えばスポーツの成績が悪いことで、お子様を叱ることがあるでしょうか?お子様の50m走のタイムが遅かったときに、「何でこんなタイムなの!」と叱ることはないと思います。なぜ、テストの点数だけ叱られなければならないのでしょうか?

当然、試験や入試においては、点数というもので評価をされるわけですが、それはずっと後のことです。点数を気にするより先に、勉強の習慣をつける、正しく考える、いろいろなことに興味を持つ、勉強の楽しさを知る、などなど大切なことはいっぱいあるのです。

また、保護者が高得点の時だけ褒めるというのもNGです。これも、点数が悪ければ褒められないことで、叱られることと同じようにやる気がなくなります。さらに、点数が良いときだけ褒めると、誤魔化す子もいます。意外に思われるかもしれませんが、成績が優秀な子ほど、良い点数を取れないプレッシャーでカンニングをしたり、答えを修正したりすることがあります。

年齢が上がるにつれ、点数での評価は嫌でもついて回ります。それを、お子様が小さなうちから家庭でも強いていくことは避けた方が良いでしょう。

②答えを教えない

2つ目のポイントです。

保護者の皆さまが子供の勉強を見ているとき、ついつい教えたくなることってありませんか?

「その解き方より、こっちの方が早く解けるんじゃない?」などと、口出ししたくなることもあるかと思いますが、これも避けた方が良いでしょう。

間違った考え方をしていた場合は、気づかせてあげることが大切です。お子様が間違っていた場合は「何でそう考えたの?」と、理由を聞くようにしましょう。

そして、お子様に自分の言葉で説明させて、間違えに気づかせてあげることが大切です。

それでも気づかない場合は、お子様が間違った箇所を説明しているタイミングで「ホントに?」などと言って、間違えた箇所に着目できるように仕向けてあげましょう。

手間がかかると思えるかもしれませんが、これは極めて重要です。自分で自分の間違えに気づくことや、自分の考えを他者に説明することは、自分で考え、自分で学習をする上でとても大切な要素なのです。

特に算数ないし数学では、問題に取り組みながら自分なりに「試行錯誤」していく力・姿勢が大切になってきます。

保護者の皆さまが手取り足取り教えすぎてしまうと、こういった力や姿勢が身につきにくいということになる可能性があります。

そのため、できるだけ自分で問題や誤りに気がつくように誘導してあげるような向き合い方をしてあげるのが望ましいのではないでしょうか。

根気強く、自分で気づくまで付き合ってあげてください。

③丸つけをして、解き直しまでさせる

そして、最後のポイントですが、間違えてしまった箇所を放置せず、すぐに解き直しをすることで苦手を克服していくことも重要です。

丸つけは保護者の仕事にしてしまった方が良いでしょう。もちろん問題を間違えたからといって叱ってはいけません。「ここ違うみたいだね。どうやって考えたの?」と聞いて解き直しをさせてあげましょう。

また、解き直し専用のノートを用意し、そこにまとめるようにしてあげてください。

通常小学校で配られる宿題のプリントなどは、書き込み式がほとんどだと思います。間違えた問題をそのプリントに解き直すと、スペースが狭くて書きにくいので、専用のノートが便利です。

余談ですが、解き直しの際に注意していただきたいことがあるので、紹介しておきます。

・解き直しをするときに、すべて赤鉛筆で書かせる
→普通の鉛筆で解き直しをさせてください。赤で書いたからと言って、間違えなくなるわけではありません。

・+、−や分数の線、筆算の線などを定規で書かせる
→時間がかかるだけです。

・ギッチリ詰めてノートを取る
→ある程度のスペースを確保して、余裕を持って書かせてください。

・暗算で解ける問題を、わざわざ筆算させる
→むしろどんどん暗算でさせるべきです。筆算は最小限にしましょう。

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最初は時間がかかりますが…

いかがでしたでしょうか?
今回は算数だけでなく、あらゆる科目において共通する家庭学習のポイントを紹介しました。

保護者の方の負担が多いと思われますが、自分で考え、自分で学習する子に育つまでは、ある程度の時間と労力がかかるものです。

しかし、学習効率がどんどん上がっていき、結果的に時間の負担や精神的な負担が減っていくことになりますので、根気強く続けてみてください。

どんなことも最初が一番大変で、そこさえ乗り越えると、後は自然に流れていくものです。

ぜひ、今回書かせていただいた3つのポイントをベースにして、お子様の家庭学習への向き合い方を考える機会にしてみてください。

次回は算数の「図形」分野の苦手を克服するための解説を行いたいと思います。お楽しみに!!

本記事について、迫田先生のYouTubeチャンネル「数学・英語のトリセツ」でも解説を行っております。是非ご覧ください。

著者紹介

迫田 昂輝


株式会社LIBER代表取締役、一般社団法人Next Education 理事。河合塾数学科講師。大手進学塾、予備校で算数・数学を担当。また、自身が経営する会社で英会話家庭教師事業を運営。英語で算数を教えるコースなども開講している。「親の関わり方が子供の学びを変える」というテーマで、保育園や幼稚園などでも講演を行う。早稲田大学理工学部数理科学科卒。 「数学のトリセツ」シリーズ著者。YouTubeで「数学・英語のトリセツ」を公開中。

●数学・英語のトリセツ →https://www.youtube.com/channel/UC7zx7uOmqXsD153rPSUvxcg?view_as=subscriber

●子供英会話ビバイ
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