算数と数学の違いに注目!予習の習慣で中学数学の最高のスタートを切ろう!

【第8回】ロケットスタート!入学前から取り組める中学数学
迫田 昂輝先生

こんにちは!算数・数学を塾や予備校で教えている迫田です。

2月も後半になり、年度の終わりが近づいてきました。同時に新年度も近づいてきていますね。進学・進級を控え、新しい目標を掲げているご家庭も多いのではないでしょうか。特に、中学に進学するお子様がいらっしゃる場合、新しい環境をスムーズに受け入れられるか心配になるのではないでしょうか。

中学に進学すると、これまでと勉強の仕方が大きく変わっていきます。中でも数学はつまずきやすい科目でもあり、小学校の時は算数が得意だったお子様でも苦戦することが多々あります。

そこで今回は、中学入学を間近に控えたご家庭向けに、数学で苦労しないためのポイントをお伝えしたいと思います。

ちょっとした準備で、ロケットスタートを決めることができますので、ぜひ参考にしてみてください。

また、算数と数学の違いについても触れているので、まだ中学入学まで時間があるご家庭でも参考にしていただければと思います。

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まさか!小学生のときは算数が得意だったのに…

結論をお急ぎの方は、中学数学でロケットスタートを決めるカギは「予習」!からご覧ください。お時間に余裕のある方は、ぜひ私の昔話にお付き合いください。

私は中学受験を経験しており、中高一貫校に通っていました。ご存知の方も多いと思いますが、小学校時代は,あのNのイニシャルがついたバッグを背負って進学塾にも通っていました。

当時の私は、塾での成績はイマイチ(クラス分けで一番下のクラス)でしたが、小学校で習う算数には何も苦労しない状態でした。

学校の算数のテストでは、毎回満点かそれに近い点数だったので、当時の迫田少年は「学校のテストでは良い点数が取れているんだから、僕は算数が得意だ!」と、思っていました。

しかし、中学入学後早々にその自信は砕け散ります。中学入学後の「数学」になってから、わからないことが一気に増えたのです。学習に苦手意識のある方は共感していただけると思うのですが「何がわからないのかわからない」という状態です。中学最初の定期テストで順位が出たのですが、学年で下から10番目くらいでした。

「中高一貫校だから授業内容が難しいのでは?」と思われた方もいるかも知れませんが、そうではありません。今、講師の立場になって当時の迫田少年を分析すると、彼は公立の中学に進学していたとしても落ちこぼれていたでしょう。

事実、私も現場で中学一年生を指導するとき、小学校との違いに戸惑い、学習がうまく行かない生徒を多く見てきました。

ちなみに迫田少年は、その後高校3年生の夏まで落ちこぼれ続けます。このような迫田少年は全国に多く生息しており、あたふたしている間に気づいたら高校受験、大学受験を迎えうることになります。今から備えておきましょう。

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算数と数学の違いとは?

なぜ、小学校では「算数」という呼び名だったものが、中学では「数学」と呼び名が変わるのでしょうか。様々な指摘がなされていますが、私は以下のような違いを意識させるためでは無いかと思っています。

 算数 … 日常生活で必要とされる知識・技術
 数学 … 言葉として必要となる知識・技術

算数というのは、多くが身近な事象を扱います。買い物であったり、速さであったり、私たちが生活していく上で欠かせない考え方を学んでいきます。

一方で数学というのは、(私が言うのもなんですが)一般の生活においては不要なものがほとんどではないでしょうか。√やsin、cos(サイン、コサイン)など、日常生活で使うことはまずありません。

私は数学という学問がどういうものなのかを説明するとき、いつも生徒に言っているのが、次のことです。

数学はコトバである

私たちが日常で使っている言葉と同じで、数学とはただの言語なのです。しかし、日本語や英語のような、いわゆる自然言語と異なるのは、解釈の多様性が最も少ない人工言語だということです。

わかりやすく例を示しましょう。

迫田に好きな人がいたとします。名前を仮に小池さんとしましょう。私は勇気を出して小池さんに告白をしました。

迫田「小池さん!好きだ!!」

すると、小池さんはこう答えました。

小池「えー、やだー」

残酷な結末ですね。

では、この「やだー(嫌だ)」はどういう意味なのでしょうか。文字通りの解釈をすれば「嫌だ」「嫌いだ」になるでしょう。

しかし、ひょっとしたら照れ隠しで言っている可能性も0ではありません。私が特別ポジティブな人間であれば「嫌いは好きの裏返しって言うもんな!きっと僕のことを好きなんだな!」と曲解することもあるでしょう。

何が言いたいのかと言うと、私たちが扱っている自然言語は、意味通りの解釈ができないことがあります。

例えば、コンビニなど「レジ袋はおつけしますか?」「大丈夫です」と言う会話があったとき、この大丈夫は「要る」「要らない」両方の意味に捉えることができます。

これは大丈夫という言葉の誤用が定着したせいなのですが、私たちが普段使っている自然言語は、人によって解釈に差が出ることが多くあります。「綺麗だ」と言う感想一つとっても、人によって「綺麗」の尺度は違っているでしょう。

しかし、数学という人工言語は解釈の多様性が起きないよう設計されています。1つ1つの言葉が厳密に定義されているので、万人が正しく解釈することができるのです。「円とは」「正方形とは」と問われれば、必ず全員が同じ形を想像できます。

x + 2 = 5

上記のような方程式があれば、x=3と答えることができるのも「+」や「=」という記号の意味がしっかり定まっているからです。

ではなぜ、数学という言葉がなぜ必要なのかというと、サイエンスの分野で必要だからです。

ロケットを月へ飛ばそうと思ったとき「今日は大安吉日!天気も良いし、ロケット打ち上げに最適だー!よーし、月へ向かってゴー!」と言ってスイッチをポチッと押すわけにはいきませんよね。緻密な計算があって初めてロケットは月にたどり着けるわけです。

私たちが普段使っているスマートフォンやテレビ、家電製品など、全ては数学という言葉があって機能するものなのです。

話がだいぶ長くなってしまいましたが、例えて言うならば「電卓の使い方を学ぶのが算数」「電卓の作り方を学ぶのが数学」とでもしておくと、イメージが掴みやすいかも知れません。

それくらい算数と数学というのは違うものなので、当然同じように勉強していては挫折してしまいます。

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中学校の勉強に欠かせない「学習習慣」

算数と数学の違いだけでなく、学習習慣が不完全なことで、中学の学習内容がついていけなくなることもあります。

私は、小学校のテストでは苦労しませんでしたが、塾のテストでは毎回苦労していました。その理由は学習習慣でした。

どんな塾でどれだけ分かりやすい解説をする講師に習ったとしても、それだけで成績が上がるなんていうことはありません。しっかり授業を聞いた上で、それを復習し、アウトプットする。その繰り返しで学力は定着していきます。

進学塾で扱っている複雑な内容であればなおさら、復習や演習を繰り返さないと定着はしません。

私は当時、そもそも勉強のやり方というものがわかっていませんでした。ノートを取る必要性、同じ問題を繰り返し解くことの重要性など知りもしなかったので、いつも授業は受けっぱなしでした。

それでも、小学校のテストは基本的な内容しか問われないので、そんな勉強だけで事足りたのですが、中学校に入るとそうもいきませんでした。

中学からは、テストの実施形式も異なります。小学校では、各単元が終わるごとにテストが行われますが、中学校からは定期テスト形式になることで、より広い範囲から問題が出題されます。

テスト前日にちょっと勉強したくらいでは全然対策ができないので、普段からコツコツ学習していく必要があります。

この学習習慣をつけるという点も非常に重要なポイントになります。

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中学数学でロケットスタートを決めるカギは「予習」!

前置きが長くなりましたが、中学に入ってからロケットスタートを決める上で重要なのは、予習中心の学習に切り替えるということです。

小学校までのように、

「授業で新単元を導入」→「演習」

という形式ではなく、

授業で習う単元を予習」→「授業を聞く」→「授業内容の復習&演習」

というように、1つアクションを増やしていきましょう。

なぜ、予習中心の学習にするのかというと、それは授業の理解度を上げるためなのです。

学校での授業は、クラスの平均的な学力の子が理解できるように行われることが一般的です。当然、人によって理解のスピードには差があるので、授業内で完全に理解をすることが難しいことも多々あります。

授業内で理解ができないと、当然、復習や演習がスムーズに行えません。そうすると、定着が疎かなまま次の単元に進みます。数学は、非常に体系的な学問ですから、1つの単元が理解できていないと次の単元の理解も難しくなっていきます。

こうして負のスパイラルが生まれていき、全国に迫田少年が発生してしまうのです。このスパイラルを断ち切るために必要なのが、予習です。

予習をすることで、授業のゴールや何をするべきかがざっくりとわかります。また、予習をしていれば「ここの部分が難しいな」ということに気づけます。「わからないところがわかっている」状態で授業を受ければ、授業での理解度が各段に違います。

授業での理解度が高ければ高いほど、復習や演習がスムーズに進んでいきます。つまり、最初の第一手目さえ間違えなければ、同じ学習を繰り返すことで勝手に定着していくのです。

数学という科目は非常に抽象的な概念を扱います。中学1年で負の数を習ったり、文字で置くという作業を習ったりします。これらの抽象化された概念の理解は個人差があるので、授業内で全員が完璧に理解をするということはほぼ不可能です。

個々人で追加の学習をしていかなければいけないわけですが、復習にリソースを割くのは効率が非常に悪いので、ぜひ予習に時間を割いてください。

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数学の家庭「予習」には何を使えばいいの?

予習をするときに使う教材は教科書で十分です。教科書は非常によくできていて、カラーも豊富ですし、生徒の興味を引くテーマが散りばめられています。

しかし、教科書は問題数が少ないという欠点もあり、さらに問題に解説がついてないこともあります。もともと授業で使うことを想定しているので、一人で学習することに最適化はされていません。また、そもそも教科書を自分で読み進めていくことが苦手な子もいます。

そのような時は、市販教材を活用しましょう。

ここからは、しっかり宣伝になります(笑)

解説が詳しい問題集であれば、たびたび本連載でも紹介している『自由自在』がお勧めです。

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また、教科書を読むのが苦手な場合は、ぜひ映像授業を活用してみてはいかがでしょうか。

2021年3月に、迫田が理事を務める一般社団法人が製作した映像授業付きの教材が販売になります。導入、問題演習ともに全ページ動画の講義が視聴できるので、教科書を読むのが苦手なお子さんはぜひご活用ください。

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中学校入学までに「文字式」の単元まで終わらせてしまおう!

中学1年の初めの1ヶ月くらいは、授業も比較的ゆっくり進みます。その間にどんどん先取りをしていき、学校の授業が良い復習になるようにしていきましょう。

4月に授業がスタートするまでに「正負の数」の単元は終わらせておきたいですね。やる気があれば「文字式」の単元まで先取りすることができるでしょう。

個人差はありますが、算数よりも数学の方が取り組みやすいというお子さんも多くいます。

算数は、ときに発想力や閃きが必要な問題もありますが、数学に関しては論理的思考力が大切になるので、正しく学習をしていけば実は難しいものではないのです。なぜなら、数学なんてただの言葉ですから。

学習習慣に予習を組み込んで、ロケットスタートを決めましょう。

著者紹介

迫田 昂輝


株式会社LIBER代表取締役、一般社団法人Next Education 理事。河合塾数学科講師。大手進学塾、予備校で算数・数学を担当。また、自身が経営する会社で英会話家庭教師事業を運営。英語で算数を教えるコースなども開講している。「親の関わり方が子供の学びを変える」というテーマで、保育園や幼稚園などでも講演を行う。早稲田大学理工学部数理科学科卒。 「数学のトリセツ」シリーズ著者。YouTubeで「数学・英語のトリセツ」を公開中。

●数学・英語のトリセツ →https://www.youtube.com/channel/UC7zx7uOmqXsD153rPSUvxcg?view_as=subscriber

●子供英会話ビバイ
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