【第1回】いまさら聞けない!? 小学生英語の基礎知識
受験研究社・編集部 スタッフZ
はじめまして。受験研究社・編集部のスタッフZと申します。
私は、学生時代、進学塾で講師をしておりました。教えることが大好きで、大学の授業の合間を縫って、小学生から高校生までいろいろな授業を担当させていただきました。その中で、教材作成や編集、英語教授法に興味を持つようになり、弊社に就職しました。
今回、小学生の子供を持つ保護者様を対象に連載する機会をいただき、とてもうれしく思います。
全12回の連載を通じて、英語を将来のコミュニケーションツールに育てていく学習のヒントをご紹介していく予定です。第1回は、なぜこの学習法なのかを理解するために役立つ小学生英語の基礎知識や、インプットとアウトプットのバランスの大切さについて触れていきます。
皆様に少しでも有益な情報が提供できるよう一生懸命やらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、2020年4月より、新しい学習指導要領での学習が始まりました。この「学習指導要領」とは、文部科学省が小・中・高の各段階で教えなければならない最低限の内容などを決めた基準のことで、年間授業時間も定められ、教科書編集の基準にもなります。
約10年ごとに改訂され、小学校は2020年度から、中学校は2021年度から、高校は2022年度から新指導要領での学習が開始されます。
現在これを書いているのが、2020年7月ですので、小学校では新指導要領での習が既にスタートしていますが、一番大きく変わったとされるのが英語です。
これまでも、小学校5・6年生では「外国語活動」という英語に慣れ親しむことを目標とした授業が週に1コマ程度行われてきました。
しかし、2020年度からは、それが算数や国語、理科、社会と並ぶ「外国語」という教科に変わり、英語の基礎を身につける授業が週に2コマ行われるようになります。
また、「外国語活動」の授業を新たに3・4年生で行うことになるので、全体として小学校における英語教育が拡充されると言えます。
文部科学省が定めた、小学校段階の英語教育の目標については、以下の通りとなります。
小学校段階では、言語や文化に対する関心や意欲を高めるのに適していることなどから、英語を使った活動をすることを通じて、国語や我が国の文化を含め、言語や文化に対する理解を深めるとともに、ALTや留学生等の外国人との交流を通して、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、国際理解を深めることを重視する考え方(国際コミュニケーションをより重視する考え方)
2 小学校における英語教育の目標と内容 :文部科学省新しい学習指導要領においては、小学3・4年生の「外国語活動」を通して英語を「聞くこと」、「話すこと[やり取り]」、「話すこと[発表]」の三つの領域を中心に、英語に慣れ親しみ、その後の英語学習に抵抗なく進むための素地を養うことが目標とされます。
授業は、基本担任の先生がすることになり、週に約1回の授業が実施されますが、あくまでも「活動」ですので、通知表に成績が記載されることはありません。
小学5・6年生の「外国語」では、子どもの発達段階に応じて、「聞くこと」「話すこと」の学習内容を深めるとともに文字を「読むこと」「書くこと」も加えて、中学校での学習へつなげていくとされています。
音声でのインプットをはじめに十分に行うということは、これまでの学習指導要領から変わりません。
その一方で、現状で課題となっている、小学校と中学校の授業のギャップ(中学で急に「読み・書き」中心の授業に変わる)に配慮し、高学年の子どもたちの「読みたい」「書きたい」「英語という言葉をもっときちんと知りたい」という欲求にも応えるものになっています。
さて、先ほど英語の「教科」化に伴って、成績がつくようになると申し上げましたが、数値が可視化されてしまうと、どうしてもお子様の学習進度に焦りを感じられる保護者の方も出てくると思います。
「子どもがなかなか英語をアウトプットできるようにならない…。」
話は変わりますが、お子様が言葉を覚えた過程を思い出してください。
わが子が誕生し、「パパだよ。」「ママよ。」と一生懸命話しかけたあの日。ずーっと話しかけて話しかけて、なかなか言葉を発しないわが子に焦りを感じたこともあったかもしれませんね。
大丈夫です。その間もお子様は、頭フル回転で、ずーっとお父さん、お母さんの言葉を インプットしていたのです。そして、一言二言言葉を発するようになったあの日…。きっと忘れられない瞬間だったことでしょう。
少し古いですが、「平成22年乳幼児身体発育調査」の「一般調査による幼児の言語機能通過率」を見ると、1歳6か月ごろまでには、90%以上の赤ちゃんが単語を言うようになるそうです。
この1年と6か月の間、赤ちゃんは一生懸命言葉をインプットしています。どうやってインプットしているのでしょうか?
そうです。一生懸命赤ちゃんは言葉を「聞いて」インプットしてきました。
インプットしたものはすぐアウトプットできるわけはありません。インプットしたものを即アウトプットできる赤ちゃん…。私はそのような子を聞いたことがありません(笑)
大きなコップをイメージしてください。そのコップの中にたくさんの「言葉」を注ぎ込んでいきます。お父さんお母さんの、おじいちゃんおばあちゃんの優しい言葉。町から聞こえる声、テレビなどから聞こえてくる音、お子様は時間をかけてじっくり大量に日本語をインプット、コップに「言葉」を注ぎ込んできました。
その「言葉」がコップからあふれ出す瞬間、それがアウトプット、すなわち「言葉を発する」瞬間なのです。そして一度こぼれ落ちたら、そこからは早かったはずです。
さて、英語に戻ります。「英会話スクールに通わせているのに、楽しいだけで、何も身になっていないみたい…」なんてことをよく聞きますが、それもそのはず。インプット追い付いていないからなのです。
なぜか私たちは、英語になると子供たちにアウトプット、つまり、すぐに英語を話すことを求めがちです。
日本語を母国語とする方にとって、英語は外国語です。日本はEFL(English as Foreign Language)の環境にあります。
町を歩けば、テレビをつければ、「日本語」が流れることはあっても、「英語」が流れることはまずありません。つまり、日常に英語をインプットする環境が整いづらいのです。
お子様が日本語をインプットし、話した時の環境とは異なるのです。
しかし、「コップ」にまだ「英語」が充分に入っていないのに、無理やり出そうとしてしまう。「うちの子、最初は英語に興味を持っていたのに、最近英語に興味がないみたい」の原因の多くは、アウトプットを強いてしまうところにあるのではないかと思います。
適切な量のインプットがあって初めてアウトプットが成り立つのです。
いよいよ始まる小学英語。小3、小4の目標は、「聞くこと」、「話すこと[やり取り]」、「話すこと[発表]」の3領域を鍛えながら、英語に慣れ親しむこと。どうしてもわれわれは、「英語が話せるようにならなければだめなのね」と考えがちです。
もちろんそれは正解です。なぜなら、新指導要領では一貫して、「コミュニケーションツールとしての英語」を身につけることを目標に掲げているからです。
しかし、そのためにアウトプットの練習だけすればいいのでしょうか。その答えを出すのはまだ早いかもしれません。
今回から始まるブログは、小学校の子供を持つ保護者様を対象に、「『コミュニケーションツールとしての英語力』を身につけるために必要な学習法」を紹介させていただきます。
時には、弊社の小学生向けの英語教材を紹介しながら、①フォニックスについて ②家庭内での学習方法の紹介 ③英検®の勉強方法の紹介をしていく予定です。
フォニックスとは、英語の「スペリング」と「発音」の間にあるルールのことで、それを学ぶことで英単語の7割くらいを読めるようになります。英語をinputするにあたって、音がわからないと頭の中に入りませんよね。
家庭内での学習方法の紹介として、語彙、英語表現、文法、読解を取り上げようと思います。フォニックスが身に付いたわが子。どうやって語彙を身につけさせていきましょうか。文法? 読解? どうしましょう。ご期待ください。
そして英検®ですが、これをご覧の方の中にも、学生時代に英検®を受けたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。英検®5・4級にスピーキングテストが導入されたり、英検®3級にライティングテストが導入されたりと、数年前に英検®は大きくリニューアルしました。ここでは、この英検®の学習方法を通じて、英語の4技能(読む・聞く・書く・話す)の学習方法を紹介していこうと思います。
また、私は塾講師時代に、いろいろな生徒と会ってきました。英語嫌いだった子、お母さんの言うことを聞かなかった子、受験直前にスランプに陥ってしまった子など、本当に「濃い」生徒に恵まれました。合間合間で、その生徒のエピソードを紹介していこうと思います。
おっと、ハードルを上げてしまいました(笑)。このブログが、これから大きく羽ばたいていくお子様の教育に少しでも役立つように、一生懸命書かせていただきますので、引き続きどうぞよろしくお願いします。
※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。
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