フォニックスとは何か?子どもと一緒にゲーム感覚で練習してみよう!

【第2回】「フォニックス」って何だ?
受験研究社・編集部 スタッフZ

こんにちは。受験研究社・編集部のスタッフZと申します。

先日1回目の記事が公開されました。うれしいことに多くの方に読んでいただきまして、さまざまな感想をいただきました。本当にありがとうございます。

この記事では前回の記事の最後で告知させていただいたように「フォニックス」について取り上げていきます。

おそらく保護者の皆さまが子どもの頃には,あまり耳にすることがなかった言葉ではないでしょうか。

保護者の皆さまに,子どもの「学びのナビゲーター」になっていただくためにも,そんな世代間に生じる「ギャップ」を埋められたらと思い、今回の記事を書かせていただきました。

さて、本論に移っていくのですが、その前に前回の記事に関して質問をいただいておりましたので,回答させていただきます。

前回の記事は以下のリンクからご参照ください。

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遊び感覚でインプットしてみよう!

1回目の記事では「インプットの大切さ」についてお話しさせていただいたのですが、「小学生となると、適切なレベルのインプット情報(教材)を用意するのが、そもそも難しいのでは。」との声をいただきました。

私は、そういった質問をされた場合、「Picture Dictionaryや、英語辞典で遊んでみたらどうですか?」と答えるようにしています。

中学生や高校生が使う単語帳は、「英語⇔日本語」で英語をインプットするには適していますが、小学生はなかなかそれだけでは興味がわきづらいですね。

そこで、「英語⇔日本語」ではなく、「英語⇔絵」の教材を使い、それを親子で楽しみながらインプットすることをお勧めしています。

こちらの教材をご覧ください。


これは、弊社から出版している『はじめての英語新辞典 英和+和英』という教材です。試しに、このページを使ってみましょう。手順は以下の通りです。

手順

(1)上の教材を印刷する(カタカナのフリガナや日本語の意味が気になる方はここを隠して印刷するといいでしょう)。

(2)音声を聴きながら発音を確認する。(書籍をお持ちの方は、QRコードを読み込んで音声を確認することが出来ます。)

 p.314の音声

 p.315の音声

(3)お子様に1分間時間をあげて、一生懸命インプットさせます。

(4)保護者様がこのページに載っている単語をランダムで読み上げて、お子様に指をさして答えてもらいます。
※例えば、「3問連続でお子様が成功したら、お子様の勝ち」などとルールを決めておくと盛り上がるでしょう。(お子様は、ゲーム形式が大好きなのです)

このゲームのポイントは3つです。

ゲームのポイント

・無理やり覚えさせないようにすること
・同じところを何度もやらないようにすること
・保護者様も恥ずかしがらずに英語を話すこと

では、1つずつ解説していきます。

無理やり覚えさせないようにすること
あくまでも、これはゲームのようなものです。覚えることを義務にしてしまうと、それだけで嫌になってしまうこともあります。お子様が全問正解しようが、そうでなかろうが、正しい答えを確認し、「はい、次行こう!」というスタンスで行きましょう。

同じところを何度もやらないようにすること
とにかく新しい単語をたくさん見せて、聞かせてあげましょう。「ここのページ覚えが悪いから、繰り返しやろうかな。」という気持ちはわかりますが、控えましょう。
お子様は、新しいものが大好きなのです。どんどん次に進み、1冊終了したら、ほめてあげて(ここ大事!)、「もう1周したら、もっとできるようになると思うんだけどなあ。」などとお子様をのせてあげて(ここも大事)、2周目をスタートする。これが3周終わったころには、だいぶ英語はインプットされているはずです。

保護者様も恥ずかしがらずに英語を話すこと
よく、「私、英語できないので、あまり子供の前で英語を話したくないです」という声を聴くことがありますが、できればお子様と一緒に英語を読んだり聞いたり話したりしてください。
仮に間違った発音で保護者の方が読んでいたとしても、今後正しい発音を何度も聞く機会が訪れます。また、「お父さんだって、お母さんだって間違えるんだから、僕だって間違えても大丈夫!」という気持ちにだってなります。まずは、「お父さんと、お母さんと一緒に英語の勉強をする」という尊い機会を作りましょう。

他にも、いろいろなインプットの方法がありますが、今回のメインはここではないので、また次の機会にご紹介いたします。

このように、この記事を読んで、疑問に思った点や聞いてみたいことなどありましたら、ぜひお知らせください。

manaviのお問い合わせフォームにて質問事項をお寄せいただけますと、次回以降の記事で回答させていただくこともあります。ぜひこの機会に質問してみてください。

関連書籍

『はじめての英語新辞典 英和+和英』

★見出し語(英和)には意味に加え,発音記号とそのカナ表記を付け,読み方もきちんと身につくようにしています。また,イラストやマンガを使い,より親しみやすくしています。

★全ての見出し語(英和)には,例文とその読み方を付けています。

★英語の見出し語・例文の音声は本書にあるQRコードよりインターネットにアクセスすることで、無料で聞くことが可能です。また当社のホームページからもダウンロードが可能です。

?詳しくはこちらから

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フォニックスのゴールとは?

やっとここで、本日のメインに入ります(笑)。
今日のテーマは、「フォニックス」です。

最近、特に小学生向けの英語教室や、英語の教材で、「フォニックス」という言葉をよく耳にしますが、そもそも「フォニックス」とは何でしょうか。身につくとどんなことができるようになって、どんないいことがあるのか。そしてどのように身につければいいのでしょうか。

フォニックスとは、音と文字の関係性を学ぶ音声学習法で、もともと英語圏の子供たちに読み書きを教えるために開発されたものです。

日本では、「音を聞いて、文字に直す。」ものと、「文字を見て音にする。」の両方が存在しています。お子様が本当に英語の初学者であれば、前者の学習が効果的ですし、ある程度文字を知っているお子様であれば、後者の学習が効果的です。

フォニックスを身につけることができれば、英単語の6~7割は読む(発音する)ことができるようになると言われています。

フォニックスのルールを使って、初見の英単語を「読める・発音できる」状態を作ること。これがゴールです。

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フォニックスで英語学習の何が変わる?

今までいろいろな小中学生に英語を教えてきましたが、特に中学生は、英単語の暗記に苦手意識を持っている方が多いです。

例えば、kitchenという単語があります。これを「台所」と覚えるわけですが、どうやって覚えるかというと、ノートやプリントの裏を用意して、書いて覚えるわけです。

なぜなら、単語テストがあり、その単語テストでは、正確な綴りを書く必要があるからです。子供たちは一生懸命書き殴ります。紙の上には、何十個もの「kitchen 台所」があふれています。

そのうち子供たちは気づきます。「あ、『キットチェン』って覚えたほうが楽じゃん!?」と…。「そっか、brotherは『ブロゼー』だし、daughterは『ダウグハッター』じゃん!?」となります…。

目先の単語テストはそれで何とかなるかもしれません。しかし、そういう子に限って、「私、リスニング苦手なんですよー。」と相談に来るのです。「単語が聞き取れない」と。

そういう時は決まって、「人間はね、自分で発音できないものは、聞き取れないらしいよ。」と答えました。

彼ら彼女らの中には、「キットチェン」や「ブロゼー」や「ダウグハッター」がインプットされていますので、正確な発音がリスニング問題などで流されても聞き取ることができないのです。

フォニックスでは、以下のように単語と発音をインプットしていきます。

(1)単語を見る

(2)フォニックスのルールにあてはめて読もうとする

(3)正しい音を聞いて頭の中で『答え合わせ』をする

(4)ルール通りであれば問題なし

(5)ルール通りの発音でなければ、『例外』として頭に残り、正しい発音を改めてインプットする

もし彼ら彼女らが、小学生の時にこのような学習方法を身につけていたら、違った結果になっていたと思います。

フォニックスを理解できれば、単語を覚えるのにも役立てることができますし、リスニングで単語を聞き取る苦労も減ります。

何より「音」で単語を頭に入れることができるので、英語の学習の効率が上がることでしょう。音にできないものは頭の中には入りづらいのです。

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「アルファベット読み」と「フォニックス読み」をゲーム感覚で身につけよう!

具体的に見ていきましょう。英語をカタカナ表記で表しますので、少々見づらいのですが、ご了承ください。

「a. b. c. d. e. …」これらの文字をアルファベットで読むとすると、「エイ・ビー・シー・ディー・イー…」となりますが、「cat」これを見たときに、「シーエイティー」とは読みません。「キャット」と発音しますね。

この「cat」を一文字ずつ分解するとどうなるでしょうか?cは「ク(ッ)」、aは「ア」、tは「ト(ゥ)」となりますね。そしてこのそれぞれの音が組み合わさって、「キャット」と発音するわけです。

「A / a」という文字に着目してみましょう。この文字は、「アルファベット読み」をすると、「エイ」と発音します。

しかし、「フォニックス読み」をすると、「ア(アとエの中間の音といったほうがいいかもしれません)」となります。

英語の文字は、A/aからZ/zまで、全部で26文字存在しますが、それぞれの文字に、「アルファベット読み」と「フォニックス読み」が存在します。

まずは最初のステップとして、 A/aからZ/zまでのそれぞれの音を認識することが必要となります。

こちらは、弊社から出版している『小学自由自在英語』の抜粋です。A/aからZ/zまでの大文字と小文字が26文字ずつ紹介されています。また、それぞれの文字から始まる英単語とそのイラストが掲載されています。

そして、QRコードを読み取っていただくと、リズムに合わせてそれぞれの単語の頭文字の「フォニックス読み」の後にその単語が発音されています。パターンが3種類ありますので、飽きないように工夫しています(笑)

まずはこれを使って、「アルファベット読み」と「フォニックス読み」をそれぞれ身につけていきましょう。先ほど紹介した「ゲーム」を応用するのもいいかもしれませんね。具体的な手順を紹介します。

手順

(1)まず上の教材を印刷し机の上に用意する。

(2)音声を聴きながら発音を確認する。(書籍をお持ちの方は、QRコードを読み込んで音声を確認することが出来ます。)

音声1

音声2

音声3

(3)音声を流しながら、指でさしたり、一緒に発音したりする。

(4)音声は3つパターンがあるので、それぞれやってみる。

(5)ゲーム(1)保護者の方がアルファベット読み(もしくはフォニックス読み)をし、読んだものをお子様に指でさしてもらう。

(6)ゲーム(2)保護者の方が26文字の中から1つ指さし、その単語を、フォニックス読みとともに、発音してもらう。(例)「ブ・ブ・ベアー」のような感じ。

(7)○問連続正解だったらお子様の勝ち、という風にルールを決め、それに従って勝ち負けを決める。(少々間違ってしまったら、少しヒントを出してあげて、最終的にはお子様に勝たせてあげるのがコツです)

いかがでしょうか。手軽にできそうですよね。

まずは、焦らずに、これを徹底攻略してください。
一見すると簡単ですし、すぐにできそうなのですが、ここで「アルファベット読み」と「フォニックス読み」をしっかり理解しておかないと、先に進んだ時に苦労します。「お母さん、こんなの簡単だよ!」 とお子様が言い出すくらいでちょうどいいのです。

弊社では、『 Enjoy! Phonics 』という教材をご用意しております。今回紹介した内容を、この教材の上巻で学習することができます。音声CD-ROMがついていますので、タブレットやPCにダウンロードしてご利用いただけます。以上コマーシャルでした(笑)。

ただ、冗談抜きでこちらの教材はとても分かりやすく、イラストもかわいいので、英語初学者の方にとってとても扱いやすい教材ですので、ご興味のある方はぜひご一読いただけると幸いです。

関連書籍

『Enjoy! Phonics (1)(上巻)』

★つづりと発音との間の規則性を学び、正しい読み方を学習する「フォニックス」の学習参考書です。
★音声データ(CD-ROM)付属で、発音とともに小学校で出てくる英単語を書けるようにします。

?詳しくはこちらから

じっくり時間をかけて、2つの読み方を身につけることができたら、次のステップに進みますが、今日はここまでにしましょう。

この後は、「3文字発音」の攻略、「4文字発音(いわゆるMagic-E)の攻略と進んでいきます。次回の記事で、こちらを紹介していきますので、ぜひ楽しみにしてください。

それでは、次回、またこの場所でお会いしましょう。お読みいただき、ありがとうございました!

著者紹介

株式会社増進堂・受験研究社 編集部スタッフZ


某国立大学にて教育学を学ぶ傍らで、塾講師のアルバイトに取り組む。その中で英語教育法や教材作成に関心を抱き、卒業後に株式会社増進堂・受験研究社に就職。これまでに文部科学省検定教科書の編集や多数の参考書・問題集の制作に関わる。最近は、オンラインでの語学教育にも関心がある。

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