【第5回】最近の英語の検定試験・入試事情、本当に知ってますか?
受験研究社・編集部 スタッフZ
こんにちは。受験研究社・編集部のスタッフZと申します。
いつもお読みいただいて本当にありがとうございます。早いもので、今回が5回目の記事となります。前回までは、フォニックスについてお話してきましたが、今回は、英検®についてお話していこうと思います。
英検®は、日本において最もメジャーな英語検定試験と言っても過言ではないと思います。皆さんは、「英検®」についてどんなイメージをお持ちですか?
まずは本論に入る前に、私自身の英検に纏わる経験談をお話させていただきます。
前回の記事は以下のリンクからご覧いただけます。
私が英検®をはじめて知ったのは、中学生の時でした。
学校の先生や先輩から、「英検®を持っていると、受験に有利らしい」という情報を聞きつけた少年Zは、急いで申し込みをしました。
当時通っていた中学校で放課後に受験することができたので、「部活したいのに…」と思いながら受験をしていたことを今でも覚えています(笑)
5・4級と順調にパスし、3級を受けることになりました。どうやら、3級は2次試験で英語の面接があるらしいという噂を聞きつけ、「え? 面接官、外国人なの?」とドキドキワクワクしていました。
1次試験をパスし、いよいよ2次試験。どんな流れなのかをざっくり聞いただけだった少年Zは、「外国人と話すの? 大丈夫なの?」という期待と不安を抱えたまま、試験を受けることになりました。
いざ扉を開けてみると、それはそれはとても親切そうな、日本人のおじさんで、拍子抜けをしました。(おかげで、1回目の2次試験は不合格←言い訳)
1次試験をパスし、2次試験不合格だった場合、2次試験の再チャレンジが可能でしたので、その次の試験で1次試験免除を申請し、2次試験を受験し、何とか3級に合格することができました。
その後、無事高校生になった少年Zですが、「英検準2級が新設されたらしい」という噂には耳を貸さず(笑)、部活部活の高校生活を送っていました。
高校3年生になって、当時の予備校の先生が、「準2級が高校2年生レベルで、2級が高校3年生レベルだから、腕試しに受験するのもいいかもね。」と言っていたので、「大学受験するなら持っていたほうがいいかもね。」ということで、準2級と2級をダブル受験しました。
準2級は難なく1次試験をパスできたのですが、2級はなんと不合格。しかも、準2級については2次試験で不合格となってしまいました。
1次試験が免除されるその次の試験が模試とバッティングしていたため、受験機会を逃し、「ああ、僕は英検®とは縁がないんだ」と思い込み、しばらく受験から遠ざかりました…。
「ああ、あるある」「なつかしいなあ」と思っていただければ光栄でございます。
その当時、英検®に関する情報は、先生や先輩、あとは対策本などからしか得ることができませんでした。いまは、インターネットという便利なツールがありますので、そこからありとあらゆる情報を得ることができます。
そして、今回この記事を書こうと思ったのは、今後お子様たちは、さまざまな場面で、英検®を利用することになるだろうということと、2016年あたりから、英検®が大きく変わったということをご説明したほうがいいかと思ったからです。
既にご存じの方は、ご確認のために、そしてご存じでなかった方は、ぜひこの機会に知っていただければと思います。
①英検®は、現在5級・4級・3級・準2級・2級・準1級・1級の7つの級に分かれている
上記表の(新課程)についてご説明いたします。
ご存知の方も多いと思いますが、2020年度より小学校の学習指導要領が改訂されました。
小3から英語の勉強が始まり、小5からは「教科」として英語を学習することになりました。また、2021年度より中学校の、2022年度より高校の学習指導要領が変わりますので、(新課程)はその内容に合わせたものとお考え下さい。
こうしてみると、新学習指導要領の学習内容は、なかなかハードですね。今回は英検®についてのお話なので、学習指導要領に関する話は割愛させていただきます。
②英検®1級~3級では、「Reading」「Listening」「Writing」「Speaking」の4技能が等しく問われる
今まで、Writingは、1級・準1級しか出題されなかったのですが、2017年度より、準2級・3級にWritingが導入されることになりました。
これで、「Reading」「Listening」「Writing」「Speaking」の技能が1級から3級まで問われることになったのですが、注目すべきは、その配点がすべて「均等」であるということです。
ReadingやListeningは「情報を収集する力」が問われます。一方で、WritingやSpeakingは「情報を発信する力」が問われます。
今までの高校受験や大学受験の英語入試は、「情報を収集する力」と「知識」が問われてきました。「情報を発信する力」は一部の学校を除いで、ほとんど問われてこなかったのです。
したがって、「英語を中学・高校・大学とたくさん勉強してたのに、話すことができない」生徒がとても多い傾向にありました。
昨今の「英語入試改革」で、大学入試の外部資格試験の利用が話題となりましたが、この外部資格試験の利用の条件の一つとして、「4技能の均等評価」が必要となり、英検®は2017年度より大きな改革に踏み切ったのです。
③英検CSEスコア導入
今までの英検®は、受験者の平均点から合格点を定めてきましたが、2016年度第1回より、英語の技能ごとの能力を絶対指数で示したCSEスコアが定められ、合否が判定されるようになりました。
*1級~3級は、4技能の合計得点で合格を判定なのに対し、4・5級は、Reading + Listeningの合計得点で合格を判定。4・5級のスピーキングテストは、一次試験の合否に関係なく、自由に受験できるテストになっている。
④英検4・5級にスピーキングテストが導入された
「③英検CSEスコア導入」でも触れましたが、2016年度より、英検®4・5級にも、スピーキングテストが導入されました。
前述の通り、スピーキングテストは級認定には用いられませんが、英検®4・5級を受験した方であれば、だれでも受験することができます。しかも、試験は面接官との対面式ではなく、コンピュータ端末を利用した録音形式で行われますので、ご自宅や学校で、パソコン、スマートフォン、タブレット端末などから、インターネット上のスピーキングテスト受験サイトにアクセスし、受験することができます。
⑤2015年度より、「児童英検」から「英検Jr. ®」と名称を変更
小学生向けの検定試験で、小学校の外国語活動(小3・4)に対応し、BRONZE, SILVER, GOLDの3つのグレードがあります。オールリスニングのテストとなっており、成績は「合否」ではなく、「正答率」で表示されます。
他にもさまざまな変更がございましたが、詳しくは、英検®のホームページなどをご確認いただき、情報収集を進めていただければと思います。
お子様たちの学習事情、入試事情は、刻一刻と変化します。先ほどの「少年Z」は、明らかに情報に踊らされていました。また、しっかりとした情報収集がないまま試験に臨んでしまった結果、かなり悔しい思いをしたことでしょう。
例えば、「高校入試に有利」なのであれば、どの学校でどう有利なのか。それは何級を取得することが必要なのか。また「2次試験」については、どういった流れで実施され、どういった質問がなされるのか、そしてどれくらいで合格することができるのか、などです。
これらは、インターネットで調べればすぐに答えを見つけることができます。
さて、話は変わりますが「15校⇒141校」という数字、何を表しているかわかりますか?
これは、首都圏の中学入試で、2014年から2020年にかけて一般入試で(帰国生入試以外で)「英語(選択)入試」を実施した学校の変化です。
現在、首都圏において、入試を行っている私国立中と公立中高一貫校の数は約300校あります。そのうち、実に約40%の学校で英語入試を行っているのです。
2020年度から、小学5年生から英語を「教科」として学習しています。その生徒たちが入試を迎える年には、入試に英語の試験を導入する学校がさらに増えるかもしれませんし、あっと驚くような学校も英語受験を導入するかもしれません。(あくまでも可能性の話です。)
そういった情報をいち早く察知して,お子様が受験の際に困らないように,入試制度や英語教育に関する情報には常に目を光らせておかなければなりませんね。
いかがでしたか?
今回は趣向を変えて、英語の検定試験やそれに関連した入試の情報をお届けしました。
次回は今回の記事の中で少しだけご紹介した「英検Jr.®」についてお話させていただきます。
この「英検Jr.®」については聞きなじみのない保護者の方も多いのではないでしょうか。
5級以降の英検®とはどんな関係があるのか?、どんな力が問われるのか?、小学校での英語学習とどう対応しているのか?などなど、保護者の皆さまが気になっているであろう内容を解説できればと思います。お楽しみに。
また次回お会いしましょう。
※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。
※このコンテンツは、公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。