【第10回】エピソードから紐解く!英語の音読学習を続けるコツとは?
受験研究社・編集部 スタッフZ
こんにちは。受験研究社・編集部のスタッフZと申します。
前回は、音読の効果について説明しました。今回も引き続き音読について、特に今回は具体的な音読のやり方について説明していきます。
前回の記事をまだお読みでない方は、ぜひご一読いただければと思います。
私が塾で小学生に英語を教えていたころ、音読の効果を説明したうえで、子供たちには、次のことを宿題にしていました。
・毎日15分音読をすること
・復習と新単元の両方をやること
・最後の1回はお父さんお母さんに聞いてもらい、音読したところに日付を書いてもらうこと
また、保護者の方には、次のことをお願いしていました。
・子供の音読を積極的に聞くこと
・どんなにたどたどしい英語でも、まずは褒めてあげること
・日付を書くことに協力すること
今回は、2名の元生徒のエピソードを紹介しながら、具体的な音読のやり方を紹介しつつ、大きく分けて2つの音読を継続するための「工夫」をお話させていただきます。
小学2年生のAさんとそのお母さんは、英語学習に興味はあるものの、子供向けの英会話スクールやオンライン英会話をやってもいまいちピンとこず、私が働いていた英語塾にたどり着きました。
その際に、音読の効果を説明し、先ほどの3つの宿題をお願いしました。後で聞いたのですが、特にお母様はこのやり方に半信半疑だったそうなのですが、「だまされた」と思って、まずは1ヵ月頑張ってみようと決意したそうです。
Aさん親子は英語学習経験者ではありましたが、音読の題材には、自分が思っているよりもレベルの低いテキストや絵本を選ぶように伝えました。
そこで蔵書数の多い大きな図書館に行き、Aさん親子が目をつけたのは、第7回のブログで私が紹介したOxford Reading Tree(ORT)でした。
お母様には、「最初の何日間はやると思いますが、そのうち『飽き』が来るかもしれない。そんなときのために、いろいろな音読のやり方を伝えておきますね♪」とお話しし、以下の5つのやり方を説明しました。
①モノマネ音読法
付属のCDを聞き、そのCDのモノマネをしながら音読をするように指導しました。しっかりと聞かないとモノマネはできません。しっかり聞き、音と文字を結びつけ、それを音読することで、英語独特のリエゾンやリズムが身に付きます。子供からすると、ただ単に楽しく「モノマネ」しているだけなので、楽しく続けられたそうです。
②オーバーラッピング
付属のCDと本を用意し、CDの音と自分の音読が「オーバーラップ」するように、読む方法です。自信がない場合は、声に出さなくていいので口を動かすだけでも効果的ですと話をしました。最初は口を動かすだけだったAさんも、2回目3回目と繰り返すうちに声が出るようになったそうです。
③リード・アンド・ルックアップ
付属のCDと本を用意します。文ごとに音読する方法なのですが、まずは最初の1文を、本を読みながら聞きます。その1文を聞き終えたらCDを止めます。そして本から目を離します。そしてその1文を暗唱します。まさに、「Read(読む)→Look up(目線を上げる)」というわけです。
④シャドーイング
付属のCDだけを用意し、本は閉じてしまいます。CDを流し、その音声を耳で聞き、聞いたものを繰り返します。レベルが高いのでいきなりやるのではなく、上記①②③を何回か繰り返した後にやるように指示しました。
⑤倍速音読法
ストップウォッチと本を用意します。普段音読しているときのタイムを測り、「次はできるだけ速く読んでみよう。10秒かかるところなら5秒で読めるといいよね。」などと速く読めるようにするトレーニングです。
ここで注意してほしいのは、「速く読めばいい」というわけではないということです。
お子様の中には、「速ければ速いほうがいい」と考え、倍速音読法の指示を出さなくても速く読んでしまうかもしれません。あくまでも音読のやり方の一つとして実践するように話しました。
音読と一言で言ってもいろいろなやり方があります。毎日15分、ストイックに音読できる方であればいいのですが、続けるのはなかなか大変です。Aさん親子も、「音読することが習慣になるまで」上記の方法をバランスよく実践しながら1ヵ月続けました。
1か月後、お母様と話をすると、Aさんの英語力が驚くほど伸びていることにびっくりされていました。まず音読し始めたときは、かなりたどたどしかった音読も、1ヵ月もするとかなりスムーズに読めるようになっていたそうです。
また、リスニング力も驚くほど伸びていたそうです。Aさんに英検Jr.®の練習問題をやらせたところ、正解数がすごく増えたとお母様も大喜びでした。
わたしは、「だまされてよかったですね♪」と言おうと思いましたが、さすがに大人なのでやめておきました(笑)
Aさん親子に伝えたことをまとめると、改めてまとめます。
・できるだけ簡単な教材を用意する
・音声付きの教材を選ぶ
・短時間でいいので、毎日続ける
まさに継続は力なりです。
さて、ここからは別の元生徒のお話をご紹介します。
B君は、少しお調子者で飽きっぽい小学3年生の男の子。
B君のお母さんが、上記の音読のやり方に加えて、継続させるために様々な「しかけ」を用意していたそうです。
まず、お母さんは、近くの量販店などで、B君が大好きなキャラクターのシールを買い、音読が終わったら日付と一緒にテキストの裏表紙に貼るためのシールをあげたそうです。
B君は、お母さんに英語を聞いてもらえることや日付を書いてもらえることもうれしかったのですが、何よりもシールをもらえることに大きな喜びを感じていたようです。「ママにもらったんだ!」とシールがたくさん貼ってあるテキストを誇らしげに私に見せてくれました。
また、B君のおうちでは、「英語発表会」と題して、1週間に1回、お父さん、お母さんと、近くに住んでいたおじいちゃん、おばあちゃんを呼んで、家族の前で英語を音読する機会を設けたそうです。
その様子をビデオカメラで撮影していたそうで、後日見せてもらったのですが、すごく緊張しているB君が家族の前で一生懸命音読をしている様子や、終わった後にご家族が笑顔で拍手をしている様子にとても胸が熱くなりました。
B君からすると、家族の前で英語を音読できたという達成感と、次回はもっとうまく読みたいという思いが、「英語の音読もっと頑張ろう」というモチベーションになったのではないでしょうか。
彼もどんどん力をつけ、小学4年生が終わるころには、英検®準2級を取得しました。
さて、今回で10回目の記事となりますが、終始お伝えしていることは「継続は力なり」ということです。
特に英語は、1週間に1回1時間半勉強するよりも、毎日10分勉強したほうが効果的だと思います。
続けるのは大変ですが、まずは1週間、次に2週間、そして1ヵ月、3か月、半年…と続けることができればそれは習慣になりますね。
また、お子様が音読の習慣がなかなか続かないという場合は、今回紹介した「バリエーション」と「保護者の皆さんのサポート」の2点を意識してみてください。
特にお子様が学習習慣を身につけるためには、やはりお父さん、お母さんの協力が必要不可欠です。
だからと言って、保護者が頑張らなきゃとなりすぎて、先にバテてしまっては元も子もありません。
いかに英語の勉強が大事なのか、英語ができるようになるとどんなことができるようになるのか、そして英語の勉強はいかに楽しいのかをご自身の経験や学びも交えながら、ぜひ伝えてあげてください。
一番大切なのは、保護者の皆様もお子様と一緒に英語を楽しみ、好きになっていくことなのかもしれませんね。
なんか最終回みたいですが、まだ続きます(笑)
最近の参考書や問題集では、CDではなくQRコードで音声が聞けるものも増えてきました。
増進堂・受験研究社から発売されている『小学 自由自在 英語』でもQRコードを読み込むことで紙面上の英文の音声を手軽に聞けるようになっています。
再生ボタンを押していただくとサンプル音声が聞けます。
こういった便利な機能を活用すると、より手軽にお手本の音声を聞きながらの音読練習をすることができます。
ぜひ、活用してみてくださいね。
次回も、小学生の子供たち向けの英語学習方法を紹介していく予定です。お読みいただきありがとうございました。引き続きよろしくお願いします。