【第11回】英語の長文問題、すべてを訳すものと思っていませんか?
受験研究社・編集部 スタッフZ
こんにちは。受験研究社・編集部のスタッフZと申します。
前々回は音読の効果について、そして前回は、音読のやり方について説明いたしました。
音読は、英語学習の基本です。まだお読みでない方は、この機会にぜひご一読いただければと思います。
以前の記事でご説明した英検Jr. ®は、リスニングのみの出題ですが、英検®5級・4級は、ReadingとListeningの配点が1:1となっています。
Speakingテストも行われていますが、英検®そのものの合否とは関係ありません。(級認定には影響せず、スピーキングテスト単位で合否判定される。)
つまり、英検®でしっかりと得点を取るためには、Readingを避けて通ることはできないのです。
今回はそんなReadingに取り組む際に特に大切にしたい「心構え」を皆様にお伝えできればと思います。
先ほどもお話したように英検®5級・4級では、ReadingとListeningの配点が1:1です。
一方で、英検®3級から1級までは、Reading、 Listeningのほかに、Writing、Speakingが出題され、それぞれの技能の配点が均等となっています。
英検®Readingの級別の出題形式は以下の通りです。
『小学 自由自在 英語』を例にとって、Readingの出題形式を確認してみましょう。
①短文の語句空所補充
『小学 自由自在 英語』p.426より
いわゆる4択問題です。文法に関する問題も出題されますが、主に語彙に関する知識が問われます。
②会話文の文空所補充
『小学 自由自在 英語』p.427より
こちらも4択問題です。会話文の空所の適切な文や語句を補う問題です。
③日本文付き短文の語句整序
『小学 自由自在 英語』p.427より
日本文を読み、その意味に合うように与えられた語句を並べ替える問題です。
英検®5級は、上記①~③の出題形式で構成されていますので、いわゆる「長文読解」が出題されることはありません。
④長文の内容一致選択
『小学 自由自在 英語』p.434-435より
英検®4級からは、長文読解問題が出題されます。
長文読解問題は、英検®1級までずっと出題されますし、高校受験や大学受験でもメインで出題されることになりますので、英語学習者は長文読解問題とはずっと付き合っていくことになります。
皆様は「長文読解」と聞くと、どのようなイメージをお持ちですか。
私が塾講師として、中学生に教えていたころ(特に前期)は、
「まず日本語に訳せないといけない。訳すためには、語彙力をつけることが一番大事である。」
「主語と動詞をしっかりおさえながら読みなさい。」
「意味の区切りごとに『/(スラッシュ)』を書き込むと読みやすくなるよ。」
などと説明していました。
もちろん長文読解をするためには語彙力が必要ですし、しっかり英文の意味をおさえながら読み進めていく必要があります。
しかし、「長文読解」=「全文を和訳すること」とは言えません。
例えば、東京にある筑波大附属高校の入試問題では、1000語前後の文章が出題されますが、それを全部訳していくといくら時間があっても足りません。
長文読解の問題を解くときに大事なことは、「必要な情報をいかに早く正確に読みとるか」ということだと考えます。英検®や入試問題において、「必要な情報」とは、「問われている内容」と置き換えることができますね。
ここからは、英検®4級を受験しようとしている小学生に、「長文読解」のやり方を教えるつもりで、話を展開していこうと思います。
題材は、先ほどご紹介した『小学 自由自在 英語』を用いたいと思います。
『小学 自由自在 英語』p.434-435より
popularは「人気がある」って意味だよ。だからこの質問は「日本では何が人気がありますか?」っていう意味だね。
はい。
じゃあ、この質問の答え、つまり「お宝」を本文中から探してみようか。(1)の質問だから文章の最初の方にあるかもしれないね。じゃあ宝探し、よーい、どん!
先生! すぐに見つけました! 1行目に、Japanese curry is very popular in Japan. と書いてあります。
そうだね! ってことは、What is popular in Japan? と聞かれたら、なんて答えればいい?
Curry! です。
正解! じゃあ、もう答えることができるね。(1)は何番が正解かな?
4です!
大正解! よくできました!!
今回は、とても簡単な問題でしたが、例えばpopular の意味を予め伝えなかったとしてもこの「宝探し作戦」は通用しますし、正解を出してからpopularの意味を教えたほうがこの単語の意味が印象に残りやすいかもしれません。
英検®4級レベルだと、設問で使われている語彙と本文で使われている語彙がほとんど同じケースが多いのですが、英検®3級以降は、意味は同じでも使われている語彙が異なるケースが出てきます。
例えば、本文中にはlikeが使われているのに、設問では be fond ofで問われるようなことです。語彙力をつけることは、英語学習をしていく限り、ずっと付き合っていくことになりますね。
さきほど「必要な情報を速く正確に読み取るのが長文読解の問題の解き方」と説明しました。
「検定」や「入試問題」であれば、必ず設問(=読み取らなくてはいけない必要な情報)があります。
「長文読解」は、やみくもに英文を日本語に訳すことではないのです。
しかし、だからと言って文法の学習をおろそかにしていいわけではありませんし、一文一文を丁寧に「精読」する学習は不必要かと言われればそうではありません。
大切なのは「素早く読み取る」力と、「精読する」力を、状況に応じて使い分けることなのです。
その例として、私が尊敬する方のエピソードを紹介します。
その方は以前海外で働いていました。
彼が海外の方とトラブルになった際、契約書を確認する必要が出てきました。
たくさんの書類が入っている段ボールの中から、どこにその必要な書類があるのかをすぐに探し当てました。
さらに、その書類の中から「必要な情報」が書かれている箇所を「素早く」探し当てました。
そして、その箇所を「精読」し、内容を「正確に・完璧に」理解したうえで、トラブルに対応したそうです。
英語を学習する上で、速く読み取る力も必要ですし、正しく読み取る力も必要です。何事も「偏り」は良くありません。
語彙の学習も必要ですし、文法の学習も大事なのです。
英語学習者は、ある分野の「スペシャリスト」になるのではなく、「オールラウンダー」であるべきだと思います。
こういった記事などからお子様の英語学習に必要な情報をさがし、「いいかも」と思ったものをいろいろ試してみる。効果的だと思えばそれを継続させていってほしいですし、そうでないと思えばその学習方法をすぐにやめていいのです。
お子様が「やりたい!」と思えるものをぜひ探し出し、それを続けさせてください。私も様々な情報を提供し続けたいと思います。
などと言っておりますが、次回がいよいよ最終回(笑)。
引き続きよろしくお願いします。